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小説

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フィクションや、フィクションということにしておきたいもの
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記事一覧

エアプランツ

 やたらと長い春休みをだらだら過ごしてしまうことは、二年前から知っていた。そこで、春休み…

まいける
1年前
7

投影する・白

「またこんなもの買って…」 彼女曰く、僕の好むものというのは偏りがあるらしく、その偏りと…

まいける
2年前
2

麗しい一万円の彼女

 「どうやら私は一万円らしいよ。」  友人は泣きながら言った。 何の話か理解できなかった…

まいける
5年前
28

おやすみ

始発の電車、プールの後の窓際、休日の十八時。あの空気が好きだ。よく、雨の降る日の空気が好…

まいける
5年前
6

川の流れのように

山手線をただなぞる休日を過ごしている間だけ、自分が時間の中にいることを感じられる。十二時…

まいける
5年前
6

ラブホテル

普段よりワントーン高い彼女の声は、黒い僕の脳にネオン管のように浮かび上がってくる。それは…

まいける
5年前
5

Kill the mood

兼岩は不機嫌であった。今日は付き合って初めてのデートのはずで、だからこそ案外簡単な性格の兼岩の気持ちは高揚していたのだが。 「なんでスプラッター映画やねん。もっとあるやろ」 そんな小さな呟きは、けたたましい銃声に掻き消される。確かに二十歳を優に超えた男二人で、女子高生向けの恋愛映画を行くのが不自然なのはわかる。だからといって、スプラッター映画か?前作に続き今作も高い評価が絶えないあの監督の作品だとか、自然を描いた超有名アニメーションの実写化だとか、何か他にもあっただろうに。右

並んだ、並んだ

ぼんやりと見ていたテレビジョンの中で、粧し込んだ女が偉そうに言う。 「ほら、別れる男には花…

まいける
5年前
4

幸せになりたくない

貴方を愛していた 見返りを求めるわけでもなく ただ貴方を愛していた 貴方の行動のひとつひと…

まいける
5年前
10

ワールド1-8

「まるでプロポーズみたいですね」 そう言った私と夜桜に当てられて柄でもないロマンチックな…

まいける
5年前
7

15階から綴る昔話

「あったことかなかったことか」。ハンガリーの民話はこう始まることが多いらしい。日本でいう…

まいける
5年前
10