箱根駅伝全国化に関する私見
今週、第100回箱根駅伝予選会(2023年開催、本戦は2024年1月)と第101回箱根駅伝予選会(2024年開催、本戦は2025年1月)についてニュースがありました。
議論がとっちらかっているので、論点を絞った上で私見を述べたいと思います。
こんな考えもあるのかーと流し読みしていただければと思います。
「全国化1回限り」は茶番か
箱根駅伝は、関東学連が主催する、「関東限定大会」です。
しかし、この種の大会の中では全国で一番の人気、注目度、歴史があります。
そのため100回大会を記念して、全国に門戸を開放することになっていました。
ただ、その次の大会もそれが続くかは不透明でした。
それで今回、門戸開放が1回限りと判明しました。
これにたいして、批判する人がいるわけです。
果たして、「全国化が1回限り」なのは果たして茶番なのでしょうか。
私の見解は「茶番ではあるが、殊更に批判するようなことではない」です。
むしろ、これが通常運転だと考えています。
よくも悪くも。
それはなぜか。理由は箱根駅伝の主催が「関東」学連であるからです。
いくら人気があったところで、特別な事情がない限り、関東の組織が全国大会を主催する義理はないわけです。
確かに、地方の大学のチャンスが制限されることは残念に思う人がいるかもしれません。
しかし、実態は「関東大会の門戸をスポンサーに配慮して無理矢理全国へ開いた」が近いです。
(私の記憶が正しければその旨のネット記事を読んだことがあります)
したがって私は、「101回を批判する」というより「100回を全国化したことを褒める」という立場です。
恒久的に全国化するには
仮に箱根駅伝を恒久的に全国化するとした場合、何が障壁となるのでしょうか。
私の考えは、「関東学連に話が閉じている限り、恒久的な全国化は極めて困難」です。
理由は3つあります。
1つ目は、文部科学省の指導の存在です。
文部科学省は学生団体に対し、「全国大会は選抜大会と選手権大会の2つまで」と指導しているとされています。
現在、出雲駅伝と全日本大学駅伝が2つの全国大会であり、この指導に背かない限り箱根駅伝の全国化は困難です。
とすると、「学生三大駅伝」の枠組みを変える必要性が出てきます。
ここで、これらの大会の主催である日本学連と大会スポンサーとの利害調整が必要となります。
2つ目は各地区駅伝の存在です。
先に申し上げた通り、箱根駅伝は関東大会です。
各地区ごとに、それぞれ地区駅伝があります。
箱根駅伝を全国化することはそれらの大会のあり方にもかなり高い確率で影響を与えます。
変えないとハードスケジュールになってしまいますからね。
ここで、各地区の学連と利害調整が必要となります。
3つ目は主催者です。
このままでは関東の組織が全国大会を主催するいびつな構造となります。
そのようなことをする義理は、果たしてあるのでしょうか。
これら3つの障壁を乗り越えない限り、恒久的な全国化はないのではないのでしょうか。
箱根駅伝全国化は地域経済再生になるか
この議論と同じタイミングでこんな考えが発信されました。
自分は、箱根駅伝全国化の議論に関しては否定はしません。
(ただ、前述のようにハードルはかなり高いですが)
ただ、それが地方経済再生につながるという理論は疑問視しています。
(もう少し筋の通った理論なら納得していました)
例えば、こんな状況を考えてみましょう。
九州出身の選手が地元の大学で箱根駅伝を目指すとします。
予選会は東京都の立川なので、そこまで移動する必要があります。
もちろん日帰りではなく、泊まりです。
応援のご家族も同様です。
するとどうでしょうか。
地方のお金が東京に流出しているではありませんか。
全部そうなるとは言いませんが、むしろ逆効果になりうるのです。
当日自分はこんなツイートをしましたが、
決して原監督を貶しているわけではありません。
本当に言っている意味が分からないのです。
論理のガバカバさに対するコメントです。
「こういう順序で箱根駅伝全国化が地域経済の再生に寄与する」という理屈が思いついた方、ぜひ教えてください。
お願いします。
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