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星野源は私の闇に寄り添ってくれる

私は星野源さんのファンである。

と、さも得意げに言っているがすっごい濃厚なファン、という訳ではなくて。何か聴こうかなと思った時にまず思い浮かべるトップ3の中に星野源さんの作った曲が選択肢に入る、くらいの好き。
だから大々的にファン、と言うのも烏滸がましいのかなと思いつつも好きだからファンであると宣言させていただく。

私が星野源さんを好きになったきっかけは、第1子の0歳時育児の最中のことである。


産後うつ気味だったあの頃の私

出産が怖くて怖くて仕方がなかった私。地獄の責苦のように感じた出産が終わり、無事に産まれたあとは休みのない長い育児が待っている。
そんなことは妊娠とイコールになっているくらい当たり前のことであるのに、当時の私は何も理解できていなかったのだ。

出産当日から始まる母子同室での新生児との生活、そして全てが初めての育児。分からないことだらけなのに正解は誰も教えてくれない。自分で掴み取っていくしかなかった。自らを追い込んでしまい焦燥感を感じていた。育児を楽しいなんて、とても思えなかった。
母親の精神状況は赤ちゃんに伝わるという。そんな状態では赤ちゃんは中々寝てくれず、睡眠不足が積み重なり精神的にも疲弊を感じていた。

あんなに望んで妊娠、出産したのに。何をしても泣いてしまうばかりの我が子をかわいいとは到底思えず、そんな自分を母親失格だと思い、更なる自己嫌悪に追い込んだ。

産んだ瞬間からトンと背中を押され、抜けられない底なし沼の中に肩まで浸かってしまったような、そんな毎日もがき苦しむ終わりの見えない辛さを感じた。いま振り返れば、その時は産後うつのような状態であったのだろう。


小さな光のように


そんな生き地獄のように感じた育児生活の中で、星野源さんの「恋」がリリースされ爆発的な大ヒットとなっていることを知った。
星野源さんは「恋」が大ヒットとなる前から「SUN」や「時よ」をラジオにて聴いたことがあったためお名前は存じ上げていたのだが、今までしっかり聴いたことはなかったのだ。

ふと思い立って「恋」のMVを見た。
そこには楽しそうに笑いながら恋を歌い踊る星野源さんがいた。
笑顔で踊る星野源さんの姿に、未だ言葉には出来ない何かが自分の中に響いた感じがした。
MVの後のフリートークのようなコメントもとても良かった。本当に楽しそうに感じられるその姿に、よく分からないけれど前向きなパワーを貰ったのだ。

それからは、長男をあやしながら星野源さんの様々な曲のMVをひたすら視聴した。底なし沼のように感じていた育児の合間に、きらりと光る楽しみを貰ったように感じた。
小さな楽しみを貰ったことで、そこから少しずつ前向きになっていくのが自分でも分かった。家の中に引き篭もらず、息子を連れて様々な育児イベントの場に参加できるようになっていた。
少しずつだが、育児を楽しいと感じられるようになり、息子を可愛いと思えるようになっていた。

これが推しの力なのか。なんて柄にもなく考えてしまう程度には、星野源さんの曲が私の産後うつ抜けを助けてくれた。これには本当に感謝しかない。


誰しもが闇を持っている

星野源さんの曲を歌詞を見ながら聴くようになったのは復職後だったように思う。当時はよく通勤中に星野源さんのアルバムを聴いていた。
その中でふと歌詞が全て明るいものだけではないことに気がついた。
育児をしながら聴いていたときにはじっくりと歌詞まで追うことはできていなかった。新たな魅力に気がつけたようで嬉しくて、更に星野源さんを聴き込むようになった。

ダメなところがあっても大丈夫と言ってもらえてるような、優しいそっとした肯定を星野源さんの歌詞からは感じた。
当時の私は自己肯定感が低く自己覚知も出来ていなかったため、精神的に脆い部分があったのだ。そんな私には強く響く魅力があった。

みんな誰しも欠点を持って生きていて闇がある。
至極当たり前なことではあるけれど、いまの世の中はその欠点を上手く隠すことに必死になっていて、さも欠点なんてないように振る舞うことが美徳であるかのように感じる。
あるがままの日常や自分を受容して愛していきたい、と思えたきっかけでもある。そう思わせてくれたことに盛大な感謝しかない。

星野源さんありがとう!!!

よく分からないけど前向きなパワーを貰いました!産後うつ抜けしました!なんていう根拠のないふわっとした想い。なんとはなしに恥ずかしくて今までひっそりと自分の中に秘めてました。
でも当時の自分を見つめ直す余裕も、ありがたいことにnoteのおかげで出来てきたので、改めて言葉にしてみます。
言葉には力があると星野源さんが教えてくれたから。

星野源さん、あなたの楽しそうに歌う姿にとても救われました。その節は本当にありがとうございました。勝手ながらも感謝しかありません。
人が生きている中で誰しもが持つ闇に優しくそっと寄り添ってくれるような、あなたの作る素敵な曲に今でも救われています。これからも日本の片隅にてひっそりと応援しております。


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