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#9 - 恋はタヒチでアレアレア!

遂にこの楽曲を語る日が来てしまった。先にお伝えしておこう。中学生の時にとあるオーディションで踊りながら歌ったのがこの曲なのである。私にとってはどうやっても忘れられない曲なのだ。

当時はバラエティ番組がとても活発で、バラドル、マルチタレント、という肩書きが流行っていた。その筆頭にいたのが森口博子さんである。
嫌味のない明るさとテレビからも滲み出る人の良さがあり、ずっと観ていられるタレントさんだった。歌手としてはお馴染みのガンダム曲で売れていたが、私が好きだったのは「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」と、ジャンルとしては対極にある「恋はタヒチでアレアレア!」だった。どこで初めて聴いたかは覚えていないのだが、彼女のようなマルチタレントになりたい、と明確に思っていたのは覚えている。

中学の学校帰り、制服のままで広島地区大会のオーディションを受けに行き、歌唱審査でこの歌を披露した。
歌に自信のある人は必ずと言っていい程バラード曲を選曲する。歌い上げることで歌のうまさを聞かせたいからだ。だからこそ敢えて元気な曲を選んだ。そしてオーディションというのはどんなに元気な曲を選んでも審査員はじっとして見ている。1ミリたりとも乗ってくれない。そう、非常にシュールな空間が出来上がるのだ。
この、制服のままで自然体を見せること、敢えて人とは違うタイプの曲を選ぶこと、シュールな空間を生むことで印象を強くすること、これぞ中学時代の私の戦略だったのである。その後の質疑応答では審査員の方々がほぐれた感じで私に話しかけてくださり、何かを答える度にほんのり笑いが生まれる状況になり、見事地区予選を突破!さあ次は東京本戦、そして東京本戦はテレビ放送だ!楽しみ!
…とワクワクしていた矢先、ある日学校から帰ると母が悲しそうに「あのね、あのね、、」というので何かと思いきや、オーディション番組打ち切りによりこれにて終了、のお知らせが封書で届いていた。私はその時とっさに「そうなんじゃー、仕方ないね。次!次!」と答え、母が「あぁ良かった、悲しむかと思って出し辛くてねぇ」と私の気持ちを心配してくれたのを鮮明に覚えている。
当然今よりも若さという可能性があったので落ち込む度合いは低かったと思うが、それでも相当残念だったはずだ。しかしあからさまに落ち込んだ姿を見せて慰められる、という状況の方が私にとっては気まずさ100%なので、即座に切替えた態度をとったのだと思う。

思えば森口博子さんがインタビューで、どうしてもアイドルになりたくてオーディションは受けまくりの落ちまくり、という話を各所でしていらした。そんな何気ない発言からも、知らず知らずへこたれない姿勢をもらっていたのかもしれない。

この曲のカバー動画を公開した後、サポートギターを弾いている飯室さんがご本人に聴いてもらい大変喜ばれたとのこと。
中学時代の私が知ったらどんな反応になったかな。

三日天下session #9 - 恋はタヒチでアレアレア!

オリジナル

(公式で聞けるところがないので、各々で検索してみてください。)

再生リスト*ループでどうぞ!


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