ろジャケット

アルバムコンセプトが出来るまで 「ろ」編

「い」編の続きです。
https://note.com/miccabose/n/n2566a25ffc19

「Mika Type ろ」

前作から約1年半、K達はごっそりいなくなったことですし、レーベル設立後の第二弾は自分の繋がりの中で好きなことをやる、という本来の形に戻しました。
2枚組ということは継続したいと思ったので、1枚目はオリジナル楽曲、そして2枚目はライブアルバムに決めました。
→後に風の噂で聞きましたが、途中でサジを投げたKは「2枚組って自分のアイディアなんだけどぉ~」と言っていたそうで。発端はそうかもしれないけど最後までやり切ってないのにそこだけ主張するんだねぇ。責任感ゼロだったのにあれもこれも自分のお陰だ育ててやったのにと吹聴して業界を浮遊してる奴ら、たくさんいるよね、って書き始めたら止まらないから自粛。笑

この頃には新しいスタッフも増え、音楽活動における事務作業の一部をお願いしていたので、環境は良くなっていました。
そしてスタッフに対しての考えも変わっていました。
●レーベル設立時 -この音楽業界を知っている人に賭けてみたい
●「い」発売後 -私の音楽が好きで理解ある人に任せたい
このように思い、身近で相談出来る関係性の人間を探しました。


さて、そのお陰でアルバム制作は前作とは比べものにならないくらい順調に進み、前回を反省してオリジナル楽曲のレコーディングも日数を増やし、曲間SEなども理想の音をスタジオで作りました。
アルバムジャケットは以前より海外で良くご一緒していた田村吉康さんにお願いし、アルバムリリース時期にはちょうど新宿高島屋での個展も開催されており、記念イベントとしてCD発売に合わせてライブもさせて頂きました。

大変だったのはもう1枚のアルバムです。(前作の時も大変だったけどな!)
こちらはサントラ楽曲のライブバージョンでしたので、楽曲権利を所有している会社への使用申請などが必要でした。
ライブでのカバー演奏でしたら楽曲使用料を支払えば良いのですが、物品として販売するとなると少しハードルが上がります。

権利所有の会社は多岐に渡っていますので、各所への連絡とその返信待ち、その間にも迫ってくる音源納品の締切日、発売や流通に関する手配など細かい作業が一気に押し寄せて来ておりました。

その中で「私は自身の楽曲の歌詞校正が苦手だ」という発言に対し、スタッフからの「それは自分達が目を皿にして校正しますから」という心強い言葉。
とても嬉しかったのではっきりと覚えています。
上記の次々と押し寄せてくる細かい作業をスタッフにお願いしつつ、私は音創りに集中しており何て理想的な制作環境なのだ、と思っていました。


が、しかし!!!
発売後にファンの方が、何故歌詞が違うのだろう、と呟いておられたのを見て確認したところ、
「まどろみ」の最後の歌詞が歌っているものと違う部分があり…。
そもそもオリジナル楽曲のレコーディング時は歌詞を見ずに歌うので、私がその時の気持ちの流れで別の歌詞を最後に歌ってしまいました。
それを現場で言っておけば良かったのですがうっかり言えず、更にその後のデザイン納品時に歌詞の文字校正を誰もしていなかったことが判明したのです…。

愕然としました。
スタッフを責めたい気持ちと、またやってしまったという不甲斐ない気持ちと、心の中は複雑な感情で何日も行ったり来たりしてしまいました。


発売後に振り返って感じたこと。

人を信じる、人に任せる、というのはどういう事なんだろう。
実はこれ以外の別の現場でも数年前に似たような事がありました。相手の言葉を額面通りに受け取った結果、大変な事が起きるという。その時も複雑な心境になったのを覚えています。

その人がやる、と言ったことは、そう言った以上やってもらいましょう、そこに責任を持ってもらいましょう、
と丸投げしてしまう。
そうは言っても出来ないでしょ?と期待値を下げること=信じないこと、それは失礼だよねと思っていました。

言ったんだからやってよ、というのは責任として確かにそうなのでしょう。
でもそれは心のどこかで、面倒な作業はやりたくない誰かやっといて、と思ってしまった逃げでもあります。

しかしそれが仕事であり大切な作品であれば、最終仕上がりの理想はどこ?という具体的な最終形を最優先に頭に置いておかなければいけなかった。
人に任せるというのはただ無闇に丸投げするということではない。
何かあったとしても最終的に自分が一手を打つ、責任は常に自分にある、という気持ちを保たなければいけなかった。


結局ここで置き去りにされたのが、またもや私自身の作品でした。
目の前の大変さとスタッフとの関係性に気を取られた結果、パッケージそのものを含む作品に対して最後の最後で愛情が注ぎ切れなかった。
そして同時に、慣れない作業に振り回されるスタッフを横目で見ながら何気ない発言の責任を感じさせようとする態度は、スタッフに対しても愛情が注げていなかったのだと思います。

私は何度似たようなをぐるぐると繰り返すのだ、自分は馬鹿なのか?

そして「まどろみ」という楽曲に対しての申し訳なさを、次回作まで引きずることになるのです。

つづく。

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