見出し画像

発注者が受注者に「選ばれる」戦国時代。担当者の熱量が戦を勝ち抜くカギ

いつも読んでいる木下さんのnote。今回もうーんと唸り、言葉を失ってしまいました。ダメなメンバーをいくら集めてもゴミしか生まれないということ(ゴミとは言ってないか)。

良いメンバーを集めるにはそれなりのフィーが必要で、100億円の整備事業なら10億円は委員謝金やコンサル費として払うべしという主張です。いつ読んでも、どの記事も、語り口鮮やか。

コンサルだって人だもの~人が動く原理は大きく2つ

私はこれまでいろんな自治体のPPPアドバイザーを経験してきましたが、肌感覚としては100億円の事業費に対して委員会・コンサルフィーが多くても1~2億円くらい。事業費の10%とは言わないけど、せめてリテイナー3%+競争環境を生み出すことでコスト縮減できた分の一部をサクセスフィーとしていただけたらありがたい、とは常々思っています。

とはいえ、地方自治体のお財布事情を考えると、すべての自治体が数億円のコンサルフィーを払えるわけではないのも事実。

そうなると、人が動く原理はシンプルで、①今後、他で大きな商いにつながるか、②お金ではない価値を得られるか、の2択になります。

いずれも「NO」だと判断すれば、さっと手を引くだけ。

お金がないからこそ、お金ではない価値を大切にする

じつは、自治体案件ではこの「②お金ではない価値が得られるか」が極めて重要なのです。

誰しもコスパのみを考えて生きているわけではありません。人生において大切にしたいことには、進んでお金を払い、自分の時間を投入していきます。これは必ずしも趣味や余暇に限ったことではなく、ボランティア活動や西野亮廣さんのオンラインサロンなどもそうでしょう。普通だったら対価を受けとる価値のある労働を、自分のお金を払ってまで提供している。

なんでそんな一見矛盾した事象が起こるかと言えば、それらの経験を通じて自分が成長したり、志を同じくする仲間と出会えたり、世の中のセーフティネットを作ることで将来の安心に備えたり、という「お金ではない価値」を得ているからにほかなりません。

予算が限られる地方の小規模自治体で、将来の横展開も期待しづらい事業の場合、私がアドバイザーとして手を挙げたいかどうか(会社を説得したいか)の判断基準も上記とほぼ同じ。

「行政担当者が難しい課題に日和らず、あきらめず、部分最適ではなく全体最適に向けて果敢にチャレンジしているか」「初対面なのに2時間くらい熱く語れる相手か」というあたりが、結構重要だったりします。

一会社員としては、会社に潤沢な利益をもたらすことが命題なので、「こんな担当者が動かしている案件なら、全国から注目される面白い案件に仕立てることができます!」「この案件がきっかけで、当社のプレゼンス爆上がりです!!」とアツく上司を説得したくなるもの。

木下さんの記事でも、次のような記載がありましたね。

じゃカネがなきゃ駄目かと言われると、民間で小さくともプロジェクトを進めていくときに「絶対にフィー支払えない」ような実績ある人にぜひとも協力してほしい時は、覚悟と夢を語るしかありません。
こんなに熱意をもってやる気があるのであれば、プライスレスで協力する人はでてきます。地域のプロジェクトの早期の成功というものは、まさにここです。手持ち資金は限られるけど、覚悟と夢で仲間が集まり、少人数で突破するということができると、次の展開はまた変わります。
が、カネも払わないし、かといって、覚悟と夢も担当する人にないという場合には、まぁつまりはもう最初からその程度の人達が集まってきて、もうどうにもならなくなります。よくあるのは相談されているのに熱意がないから「なんでそれやるんですか」と言ったら「上からいわれてやらざるを得ないんです」とかいう答えですね。
そんなものに誰も人生の時間をかけたいとおもうはずはありません。

最初の担当者と意気投合したのに、その後担当者が異動してしまい盛り下がり、残念な思いをすることは山ほどあります。

それでもめげずに良い成果を出そうと頑張り続けられるのは、当初の担当者との間で語りあった「事業にかける想い」を何度も思い出しながら心の中にある炎を大切にともし続けているから。

行政と仕事をするコンサルにとって、同じ方向を向いて一緒に汗をかいてくれる担当者は本当に貴重で、ずっと忘れがたい大切な存在です。

コンサルだって、人だもの。札束で頬を叩くような担当者と出会ってしまったら、二度とその自治体には近づきません。

なので、公民連携を担当する自治体職員の皆様にどうかお願いです。

予算がないなら熱意をください!

「予算がないけど市も一緒に動くから、良いものを一緒に作ってほしい」という言葉が欲しいです!

・・・おっと。暑苦しいですか?

発注者が受注者に「選ばれる」時代

すでに気付いている自治体担当者もいると思いますが、時代はすでに公民連携戦国時代。公民連携事業者だけじゃなく、コンサルだって自治体間で奪い合いが始まっています。

毎日、全国で10件単位のPPPアドバイザーや事業者公募が公示されていますが、対応できるコンサル・事業者のパイは限られ、不調になるケースもちらほら出てきています。

受託者の立場からすると、案件情報がありすぎて選べない状態に陥ると、アクセスしやすい大都市や収益性の高い金額規模の大きな案件に集中してしまうのも必然です。

そんな中で、予算規模が小さくても参加したくなる案件もあります。

一つは、自分が人生をかけて解決したい社会課題に直結している案件。これは正直、担当者の熱意というよりも自分の熱意の問題です。自分の思いを担当者にぶつけて火をつける。補助金情報を提供して一緒に予算を取りに行く。勝手に今後のマーケット規模を予測して何とか会社を説得する。そりゃもう必死です。

もう一つは、担当者の熱意にほだされる案件。新聞報道で気になる記事を見かけ、今後の事業化スケジュールや発注の見通しをヒアリングすることがあります。ヒアリングの結果、金額は思ったより少なかったとしても担当者が熱意を持って取り組んでいることが分かった場合、いろんな補助金を探して情報提供したり、来年度以降のスケジュールと予算の想定を提案したりして、会社が納得できるレベルの収益化のストーリーを描きます(その通りには行くことはまれですが・・)。

コンサル側も社内稟議を通すためのあれこれが必要です。とっても面倒くさいんです。その手間をかけるだけの意義があるかどうか、言い換えれば「担当者にそれだけの魅力があるかどうか」というのが、限られた予算を抱えながらも戦国時代を勝ち抜く秘訣だと思います。

限られた予算でいいものを作りたい。その気持ちは行政もコンサルも同じです。

だからどうか、暑苦しいくらいの熱量をください!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?