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地方に住み、自治体と働くということ⑮ ~個人が自治体から業務を請負うまでのストーリー

現在発売中のTURNSで興味深い記事があったので、ぜひ紹介させていただきます。

はじまり

埼玉県秩父郡横瀬町にある、小さな保育園「タテノイト」。

開設したのは、大学で地球惑星科学を研究していた舘野さんご夫婦。研究者という職業柄、転勤が多かったけれど、娘さんが生まれてから社会のありように目が向き、教育問題に関心を持つように。

多くの保育園を視察する中で、管理型教育に疑問を持った舘野さんは、娘さんを安心して通わせられる保育園を自ら作ることを決意。「消滅可能性都市」に指定されながら、豊かな自然とコミュニティが魅力的な横瀬町に保育園を作ることにしたそうです。

その保育園では、デンマーク発祥の保育スタイル「森のようちえん」を参考に、好奇心を喚起して子ども自身の主体性を引き出すカリキュラムを考えていたのですが、今年4月のオープンを控えてコロナウィルスが流行し、園児は娘さん一人となってしまった。

そこで、この1年間を「準備期間」と割り切り、カリキュラム作りや地域の人たちとの関係づくりに重きを置いた活動を始めました。

興味深いのは、その後の展開

もともと大学の研究者としてオンラインツールを使いこなす舘野さん。町の方と話していると、地元の小中学校が全くオンライン対応できていないことに気づきます。

そこで、「自分たちにできることがないか」と町長に相談したところ、ちょうど町でもオンラインの企画を予定していたので、その枠内で小中学生向けの授業をしてみないか、というオファーがあったそうです。

舘野さんは、保育園だけでなく小中学生向けにも好奇心の種をまきたいと思い、オファーを受諾。結果として、自治体からの新しいビジネスチャンスが生まれました。

このケースからの学び

地方都市では、町長や村長など自治体トップとの距離が近く、様々な場面で直接話をする機会があったりします。地域の困りごとを都会で培ったスキルで解決できることが分かれば、舘野さんのように「ちょっとやってみない?」とお声がかかることも。

以前の記事では自治体からの個人発注事例をご紹介しましたが、移住者が全く事前のコネクションもなく、地元企業や地域外の大手企業と戦っていくことはハードルが高いです。

ふらっとやってきて、いついなくなるかわからない人には、虎の子の税金を使って委託することはないでしょう。長く居続ける覚悟で地域に入り込み、まちづくりや福祉活動などを通じて地域の課題に寄り添っていった先に、自治体のネットワークができて仕事につながるのです。


ちなみに舘野さんご夫婦の経歴が面白すぎてぶっ飛びます。

「世界で初めて地球中心の圧力温度条件を達成」とか「成果がサイエンス誌に掲載」(しかも二人とも!)という経歴。

保有資格も「博士(理学)・保育士・第一種放射線取扱主任者」など、『え…見間違いかな?』と二度見するレベル。

お二人のお話、いちど聞いてみたい!!

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