セクハラ、痴漢、冤罪話題に寄せて その1

セクハラ、痴漢、冤罪話題に寄せて その1

このところSNSに浸かりずぎて、ひとのこころの闇と病みに大変辟易なのだが、知っておきたい事も多かったりして足の踏み入れ具合の加減が難しいところである。

私が目にしている反応はごく一部であるのだろうが、それでもこういう人たちが一定数は存在しているんだなとか、そういう捉え方があるのかと感心したり驚愕したり、本気なのかにわかに信じられなかったり、煽り層の存在が見えたり、感情の揺れ的にはキツイものがあるものの、良くも悪くもSNSの普及は凄いなと思う日々だ。


取り敢えず2週間くらい前にウワーっとトレンド入りしたあたりで、多くの男性側の痴漢冤罪恐怖の深さを垣間見たわけだが、それにしてはきちんと調べようとしている人はほぼ見かけず、デマで煽る愉快犯だかなんだかよくわからない人たちが一定数現れ、フォロワーを巻き込んだ寸劇まで興味深く拝見させていただいた。
この盛り上がりにより、あまり知られていなかった拡散されるべき情報も拡散されたのかなとは思うが、痴漢撲滅の動きそのものを嫌悪、或いは必要性を軽視する人々が余りにも多かった事に驚いた。

それからおそらく最も多く、最も意識を変えることが容易で、最も働きかけるべき層とは、無関心の他人事層なんだろうなという事も見せてくれた。
無関心他人事層にもいろいろなパターンがありそうだが、これは情報を摂取し続けて認識を改めてもらうしかないのだろう。

性犯罪の問題についての反応を見ていると、男女ともに悲しくなる言葉を吐いている場面に遭遇する。
なぜこのような考え、感性が育ったのか、或いは人権意識が育たなかったのか、非常に興味深い思考サンプルではあるが、心底その存在に打ちのめされる思考である。

さて、私は女性であり、中学から都内女子校10年、同じ学校へ通う姉と二人姉妹であった。
そのような環境では、変質者や痴漢はGの如く湧いて出るものであり、学校周辺で先生方が警戒態勢を取る事態が何度か起こったり、生徒から話題が上ったりする、日常的に警戒が必要でちょくちょく見かける身近な犯罪者であった。

(現在より女子中高生のエロコンテンツ化は末期的悲惨さではなかったはずだが、それでも制服は大変な吸引力を持っていたようだ。
因みに「JK」というのは元々エロコンテンツ用語として広まったものであり、便利な省略形ではあるが、あまり気軽に使用しない方が賢明だろう。
「巨乳」程侮蔑的ではないかもしれないが、快楽の為のコンテンツとしての「JK」であり、やはり差別用語だと認識したほうがいいと思う。)

そこで今回のSNSでの反応を眺めていて、うーん、そうかー、そうなのかー……となってしまったのは、普通の男性で痴漢を何処かにいるらしい幻の珍獣だと思っている層が結構分厚そうだなということだ。

そして何故か自分を含め男性は性被害に遭遇するはずがないと思い込んでいて、関係ないと思っているのだ。
更に何故か自分が被害に遭う場合に想定される加害者は、好みのお姉さんである可能性が高そうな感じがするのは気のせいだろうか。
もしそのような思い込み、先入観があったとしたら相当エロコンテンツなりなんなりに意識が侵食されている事を自覚した方がいいだろう。
そんなことはないと思わせてほしいものだがどうにも疑わしい雰囲気である。

私が子供の頃は、男の子も気をつけるようにという感覚があったような気がするのだが、地域的なものなのだろうか?

実際、女性差別社会で女性の被害が圧倒的に多い犯罪の被害を男性が訴え出るのは、場合により女性以上に困難だ。
被害者がホモソーシャル的男性社会で非常に蔑まれる事が容易に想像できる。


ここで、ちょっと興味深い記事が紹介されていたのでチェックしていたが、辿るのに苦労してやっと引っ張ってきた。

https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/wetoo-zerohara-chosa

痴漢冤罪話題についてはほんの2週間ほど前に大変色々考えさせられた現象だったが、その時考えたことを辿るのもすでに大変な作業である。
時の流れと脳の劣化具合にビックリである。

上記リンクの記事では痴漢被害と暴力被害についての男女別アンケート結果が載っているが、性的でデリケートな問題についてはおそらく被害があったという回答もしたくない人々もいるはずで、実数はもう少し変動しそうな気もする。

しかしそれでも痴漢被害に関して10人にひとりくらいは男性被害者が存在する事が数字で出てきている。

実際私自身も成人男性から成人男性への性的ハラスメントをこれまでに3件目撃している。

1、路上で酔っ払った半裸の男性が、連れらしき男性に抱きついてキスしようとして心底嫌がられている場面に遭遇。
2、上司のオッサンに同僚の若手男性社員がイイケツシテンナと尻を掴まれる場面に遭遇。
3、若手社員で休日に集まってお泊りレジャー中、ホロ酔い先輩男性が後輩男性のパンツを女性陣も居るところで降ろす場面に遭遇。

以上3件。
なお3件目の男の子は泣きました。
加害者は同僚女性に窘められてはいたが、当時の感覚だとこれは明確な性加害であると認識できた人は居なかったと思う。
幸い前は見えなかったけど、尻は見えました…。
こっち側も被害者ではある。


男性への性加害は、女性に対するそれよりも、明確に性欲と切り離された加害も相当多いのではないかと推測する。
悪質な悪ふざけ、加害欲、支配欲、マウンティング、ストレスの発散。
いじめという暴力に性加害が加わる事も珍しくな筈だ。

女性に対しても痴漢犯罪は特に、純粋な性欲というよりはそうした悪意とサイコパス思考、依存症的病理から犯行に及ぶ場合が多いようだ。

それから勿論、性指向が男性へ向いている痴漢も居るだろう。
世間が思うよりも、若ければとか、少年なら男でもOKという異性愛者とされる成人男性が多いだろうことは古今東西の歴史が証明している。
異性愛者とされる人全員が完全異性愛者な訳ではなく、濃淡グレーゾーンも相当数存在する筈だ。
文化的に忌避されるゆえに、自ら進んでそちらを選択する人が少ないだけだろう。

ガラの悪い男子校だったという男性も、入学早々後ろの貞操の危機を感じて戦慄したと話していた覚えがある。

こうした男性被害に関して、最近ようやくメディアなどでも取り上げられるようになってきたようだ。
匿名のSNSでは男性の性被害者の訴えも見かけるし、NHKでも特番があったようだ。
童貞のプロデュースをテーマにした有名映画での深刻なパワハラセクハラも注目を浴びるようになっている。
これは相当何年も前から本人が訴えていたようだが、被害者が成人男性だったために、世間の意識レベルが追いつかなかったのだろうと思う。

男性なら本人の意思を無視して無理矢理性体験をさせても構わない、むしろいい事をしてやっているというような風潮も、悪しき男性社会の典型的性加害だろう。
やっと男性被害者も声を上げられるようになり、それが性加害であると認識されるような社会的意識になってきているのだ。

(書きながらちょっと検索していたらホモソーシャルについてのわかりやすい記事があったので貼っておく。
https://wezz-y.com/archives/48746

本も出ているようなので読んでみようかな?
https://www.manetama.jp/report/work-think-book-20/

男性視点の意識分析が出来る人は貴重なようなので興味がある。
こういう話題にここまで問題意識を持って注意を向けるようになったのはごく最近なのだけど。)


女性から男性へのセクハラ痴漢行為も、自分は女性なのだから痴漢行為にはならない筈だという思い込みからくる加害も多そうだ。
これも男性優位社会における文化的認識の弊害だ。

今も旧式の意識レベルで生きている存在は多そうだが、私自身も含めて早急にアップデートしていかないと、セクハラ、痴漢、性加害の被害者はどんどん増えるばかりである。
性的な被害の精神的ダメージは、どれほど側から見て軽度であろうと、人生を蝕む苦しみだ。
大抵の場合は加害者側の身体的優位が明らかであり、自己の意思と尊厳を踏みにじられる怒りとともに、被害者が心身の安全と生命を脅かされる、この恐怖についても軽視される、想像力の無さというか共感力の欠如というか、ひとりの人間、人権の軽視という得も言われぬ非人間的感性が、荒涼とした社会文明的貧しさを現しているようで遣る瀬無いのである。


最近見かけた日本の性犯罪裁判に関する海外メディアの記事に、将来的に性犯罪に関する国際的な共通認識の確立が望まれるというような事が書いてあった。
ぜひ早急にそうなってほしい。
つまり、日本の認識が先進国レベルから非常に遅れていると言われているのだ。
日本の刑罰の、性犯罪に対する寛容さは異様である。
男性へのレイプが法的に認められたのでさえ2017年である。

ジェンダーギャップ世界121位は伊達じゃないというか、こういう所にも現れていると思う。
やっと今少しずつ改善してきているのだろうけれど、意識の置いてけぼりを食らっている層には、なかなかこれも性差別社会の弊害であることを理解できないようだ。

そこそこニュートラルな意識状態の人は、解説をされれば「男らしく」の様々な弊害も理解できると思うので、話題になる事はいい事なのかもしれないが。

私も説明されればそうだよな〜と思うが、どっぷりそういう価値観の中に意識が浸っていると、おかしいと思ってもなかなかハッキリとした形を捉えることが出来ないようなものだろう。


セクハラや性加害についての感覚は、20年前の私はえ〜そんなことで?と思う事が多かったように思う。
同じようなことを今見聞きしても、そうだよねとしか思えず、時代の意識も確実に変わってきている。
20年30年くらい前のメディアは今なら完全アウトな性加害思考情報を平気で垂れ流していたようなので、その辺りの感性からアップデートしていない世代は特に危機的状況である。

先ずはセクハラ、痴漢という性犯罪は、人間の意思と尊厳を踏みにじる男女共通の犯罪であるという認識が広まって欲しいと思う。


これまで私は実際にセクハラを見かけた人たちに何も出来なかったし、ネットで苦しみを訴えている人たちにもささやかな賛同をすることしか出来ないが、自分の意識を変えていくことはできるし、こうして考えてみたり、もの想いを書くことはできる。

過去の私がセクハラ、痴漢被害に遭った時、誰も助けてくれなかったし、セカンドレイプ女に打ちのめされたし、保護助力を期待でできる筈の存在から見捨てられた絶望的気分を味わったが、今その時の私へこころを向けることはできる。
これからひとりでも、あの苦しみを味わうことが無くなるように。


https://www.asahi.com/amp/articles/ASMCW4FHDMCWUTIL022.html?__twitter_impression=true


ちょっとセクハラ痴漢話題から逸れるが、最近オープンしたらしい中高生向け性のお悩み相談サイトのようなものが目についたのでメモがわりに貼っておく。
https://www.value-press.com/pressrelease/233162
回答者が関連各分野の専門家であり、複数回答があるのはいいと思う。
性暴力に関する項目もあり。
実際に被害にあった場合の相談窓口も載っている。
https://seicil.com/sodan#seihigai

ここはマスターベーション器具の有名メーカーが運営しているようだが、こういう性に関わる組織こそ、世間の性に関する意識を牽引する責任があり、規範を示してほしいと思う。


具体的な痴漢行為にはどんなものがあるのか?
https://meiiku.com/staffblog/chikan01/







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