ミカシネマ vol.7:「ラブ&ドラッグ」

20世紀FOXジャパンが、「モテ♡コメ〜あなたはナニキ?」と題してラブコメもののレンタルを3作連続リリースしてて(何年も前の話だが)、この間「ヤルキ」にあたる「運命の元カレ」(2011年)を観て、めっちゃ面白いじゃんと思ったので、他の作品にも手を出してみようかと思って、「エロキ」にあたるこの作品を観てみた。

「ラブ&ドラッグ」(2010年)

エドワード・ズウィック監督作品で、主演はジェイク・ギレンホールとアン・ハサウェイ。ジェイク・ギレンホールといえば、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019年)でミステリオをやってたのが記憶に新しい。俺はこれを書く直前に知ったのだが、どうやらこの映画、実話が元になっているらしい。

ストーリーはこう。プレイボーイのジェイミーは、火遊びが過ぎて家電販売員の仕事をクビになってしまう。弟のジョシュの紹介で、大手製薬会社ファイザーのセールスマンに転職するが、ライバル会社のやり手セールスマンにことごとく阻まれ、成果を上げられずにいた。そんなある日、ジェイミーは、営業に行った病院に通院していた、若くしてパーキンソン病を患っていたマギーと出会う。2人は体の関係を築き、お互いの事情に深入りすることを避ける。だが、勃起不全の治療薬バイアグラを売り始め、出世街道を歩み始めたジェイミーは、次第にマギーに対する気持ちが本気になっていく。

あらすじからも分かる通り、一応「ラブコメ」にあたる映画だが、実際観ていると、途中からマジのラブストーリーのように思えてくるのである。なんだろう、感覚としては、「メリーに首ったけ」を観ていたら、途中から「50回目のファースト・キス」になったような気分。分かりづらくてごめんネ。だけど、それぐらい、序盤と終盤では物語のテンションが違うように感じた。

だが、そのテンションの違いを生んだのは、紛れもなく主人公ジェイミーの心の動きであって、それがこの物語の良いポイントだと俺は思った。ジェイミーは自他共に認める自己中で(その性格には生まれ持った注意欠陥障害が関係している)、初めは営業の成績を上げるためには躊躇もしなかった。自分が持ってきた抗うつ剤のゾロフトを買ってもらうために、ライバル社が持ってきたプロザックのサンプルをこっそり全部回収してゴミ箱に捨てるとか。良い子はマネしちゃダメなやつ。だが、マギーと出会ってセフレの関係を続けるうち、本当に彼女に恋をし、パーキンソン病に苦しむ彼女を支えたいと考えるようになる。ラストシーンでのジェイミーのモノローグでも言ってたんだが、出会いが人を変えたのである。なんてロマンチックなんだ、ってね。

それと同時に、ジェイミーと付き合うマギーの姿もとても良かった。パーキンソン病は未だに典型的な治療法が確立されていない、言わば不治の病だ。マギーは、病気のために元カレ(実はジェイミーのライバルのセールスマン)と上手くいかなかった経験から、ジェイミーとも恋愛関係ではなくセックスだけの関係を保とうとしていた。だが、徐々に真剣になっていく彼を見て、彼がいつか自分に愛想を尽かしてしまうこと、バイアグラのセールスで出世のチャンスをモノにできる彼の人生に水を差してしまうことを恐れて別れを告げる。取り乱して「私より健康な人と付き合えばいい」と叫ぶシーンは痛々しく、そして悲しかった。病気を患っているからこそ相手に迷惑をかけてしまうかもしれないという気持ちは、当然出てしまう。その気持ちが画の見せ方や演技で上手く表現されていた。アン・ハサウェイすげぇよ。

とまぁ、基本後半の話ばかりしてしまって、「なぁんだ、ただのラブストーリーじゃん」って思われるかもしれない。でも笑えるシーンは多い。ジェイミーの弟ジョシュが、ジェイミーとマギーがセックスしているのを撮ったビデオを観てオナニーをしているところをそのジェイミーに発見されるところとか、ジェイミーがパジャマパーティでバイアグラを飲んだら副作用でペニスが急激に固くなってしまい、ジョシュが車のシフトレバーと間違えて強く握ってしまうところとか、きったねぇ下ネタも満載です。まさに俺好みである。

あと、ジェイミーとマギーががっつりセックスしてるシーンもあるし、アン・ハサウェイの生乳も拝めます。前述の下ネタと合わせて、こういう系あんま好きじゃなかったり苦手な人にはオススメできないな。みんなで「メリーに首ったけ」を観よう!(それもダメだよ)

ということで、下ネタ映画だと思ってたらラブストーリーだった、しかも実話が元になってたとかいう「ラブ&ドラッグ」を観た話ですた。今日のミカシネマはここまで。

それではまたnoteを書きます。

P.S.ミカシネマを読んで実際にその映画を観てみたって人はいるのだろうか。多分いないか


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