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詩 捨てきれなかった夜たちに
詩 捨てきれなかった夜たちに
人生の
あらゆる時間を費やして
みつめてきた 夢は
もう 両の手のひらのうえで
砂になったよ
風に吹かれて
零れて散って
一粒だって残らない
終わりだね
畢ったんだよ
けれど
日々は、生活は、義務は
終わることがない
たとえ希望がなくたって
臥して涙が流れたって
日々は
終わってなんかくれない
息をし続ける以外
選択肢なんかない
身を投げることができなかった
どうしようもない生涯の残り香
何もかも失くしても
大人のふりをして
日々を生きてくしかない
そうやって
あと何年 懐いた情景を
甘い悪酔いで濁していけば
忘れることができるだろう
砕けた骨さえも
世界には拾われない
それでも
どうしようもなく見続けた
くだらない白昼夢に
何度も 身を焦がされた
初老を迎えようとする 人生にとって
きみの存在は
狡いだろ
どうして
今になって
鏡越しのパラレルが
いま そこに現れるの
託すよ
あまたの夢を
願った未来を
迎えられなかった
あの夜たちを
捧ぐよ
眼窩へと
境界を暴く
ふたりの
まなざし
へと
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『秘封倶楽部』シリーズの音楽CD『旧約酒場』を基にした詩です
下記の詩歌集に収録しています