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詩 異界の半身へ


詩 異界の半身へ


四次元情報の洪水を
掻き分けてゆく岩舟で
結界の裏側
神社の境内
夢想の箱庭
へと
不時着するから
手を取って
まぶたに手を当てて
わたしの夢を
のぞき見て
そのとき脳裏を走った
享楽でも破滅でもいい
科学では証明できない
あらゆる異界へと
観測を許さない 夢想へと
すべてを置き去って
座礁して

新天地にいる
違う色のわたしに
幸せですか、と問い合って
勝った方の世界に
永住するのも いいかもね
負けるつもりはないけれど
この岩舟に同乗する世界が
唯一、正解だとも 思ってない

それは
滅亡の願いでも
辞世の一句でも
なくて
いつか切れる 希望の残弾に
使えるだけの期待を
いまある世界の外に
求めるが故の
探索だから
どうか
着いてきて
きっと戻るから
たくさんの希望を持って
他の世界のにえにならないよう
戻る努力をするから
ほんのひととき
可能性の岩舟の
向こうに視える
境界を
越えさせて








『秘封倶楽部』シリーズに登場する大学生『マエリベリー・ハーン』および『東方夢時空』に登場する助手『北白河ちゆり』を基にした詩