詩 アンチマター
詩 アンチマター
真夜中の蝉時雨
終電の無人駅に
打ち棄てられた
制服とローファー
お土産話と情緒
果てない距離を
渡った二つの手紙
それらが詰まった
スクールバッグと
A4に書かれなかった
苦悩と告白は
ふたりの中にある
重なる部分がぶつかって
対消滅のひかりにより
ふたりの宇宙ごと
消してしまった
あとに残るのは
人も神もいない
人類と想いを忘れた
地上世界だけだった
「出逢うべきじゃなかった」
なんて
きっと言ってない
永遠のような希求を経た
またとない抱擁は
これまでの旅路に傷ついた
ふたりの心と肉体を
あたたかく包んだ
終わりだったのだから
Silent Planetの楽曲『Antimatter』の影響を強く受けています