詩 永遠の焔
詩 永遠の焔
この大地が枯れ果てたとき
夜空を照らすのは
心底から祈る人の掲げた
ともしびだ
それは だれにも追いつけはしない
それは いかなる荒廃も肉薄しない
天差す光が失われようと
あらたな光源を求め
どこへでも手を伸ばす試みは
けっして絶えたりしない
けれど同時に
わずかな希望を捨て
二度と手に入らないと
決めつけることもできる
願わくば きみは
その手を伸ばす側であるべきだ
その焔を ともしびのために使うべきだ
いずれ きみの持つ
際限のない寿命は
世界と宇宙の死に臨むだろう
今、想像できる限りの絶望さえも
遥かに通り越した
転覆不可能な終幕を見るだろう
それでも願わせて
きみは
どんな終焉に直面しようと
その焔を 絶やさず灯すべきだ
たとえ一時 燻って
起き上がる気を失くしたとしても
その焔を 祈りに使うべきだ
この祈りが
どれだけ幸福に叛いたものだとしても
幾億の遠回りをしているとしても
それでも 手を伸ばすことを
止めるべきじゃない
どんな絶望にも
どんな欠落にも
どんな別離にも
どんな悔恨にも
燃やし尽くせないともしびは
みずからの祈りからしか
生み出せないからだ
それだけが 無数の別れを定められた
きみの瞳の 輝きを
唯一絶えさせない方法だからだ
それは
すべての悲しみと共存し
すべての慈しみを携えた
人間だけが灯せる
永遠の熱情だ
それは
きみの焔に もっともふさわしくて
きみの焔が もっとも迫るべき
永遠の深淵に 唯一立ち向かえるものだ
『東方永夜抄』に登場する半人半獣『上白沢慧音』
および、同作品に登場する不死人『藤原妹紅』を基にした詩