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詩 焦熱の大火



詩 焦熱しょうねつ大火たいか


 そのひとみさき
 たったひとつをのぞいて
 すべて ちてる
 のうが あらかじめくしたとき
 さきなんて たったひとつしかのこらないんだ

 まだ ほのおげている
 焦熱しょうねつ大火たいか
 あれだけだよ
 わたしたちがくべきみち
 はじめから あれしかなかったよ

 あお芝生しばふ
 数多あまた可能性かのうせい
 幾許いくばくのこあこがれを
 ちるまで、やしくす
 それだけのほのお
 わたしたちはにしたんだ
 だいじょうぶ、そのほのお
 きみのこころを、すこいためつけただけで
 だれのこともきずつけてはいない
 これから、きみの全身ぜんしんくすだけで
 ほかのだれのことも
 うらんだり、にくんだりはしないんだ
 きみは
 そのほのおかがやきにより
 地獄じごくよりも苦痛くつうかもしれない
 最悪さいあく焦熱しょうねつ
 このだれにもできないくらい
 いきおいよく、みずからの言葉ことば
 んでいくだろう

 最初さいしょから、みちひとつしかなかった
 そのことに、遠回とおまわりしてづく
 けれど、それは無意味むいみ時間じかんじゃない
 けっして、むなしいものじゃない
 だからこそ そのやして
 きみがいつか さまざまな事情じじょうかべて
 るのをやめた 焦熱しょうねつ大火たいか
 いまなら
 とどくだろう
 そしたら
 すべての未練みれんくして
 ありたいものへ ちかづけるだろう
 はじめから
 それ以外いがいなかったんだ
 わたしたちには







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および『東方とうほう深秘録しんぴろく』に登場する高校生『宇佐見うさみ菫子すみれこ』を基にした詩