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詩 失踪
詩 失踪
確かに手に取れる感覚をさがして
母胎の肚のなかをさまよう
粘り気のある羊水
微か聴こえる話し声
流れ込む感情
しかし優れぬ視界
視えないからこそ感じられる
やがて光を知り
海を知り 川を知り 山を知り
言葉を聞き取り
味と食感を知り
姉という存在を知り
知覚する 認識する 体験する 会得する
歓びを、優しさを、
労りを、勇ましさを、
咽びを、侘びしさを、
怒りを、浅ましさを、
憤りを、疎ましさを、
綻びを、希望が途絶する様を
知覚する 認識する 体験する
会得する前に、感覚を断ち切った
なぜ踊る
ひとの心がわかって
恐ろしいから
なぜ手放す
ひとの心に染まりそうで
堪えれないから
認めたくない
ひとの心がわたしの中に巣食っているなんて
気付くその前に
意識の海は凍りついた
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『東方地霊殿』に登場する無意識の妖怪『古明地こいし』を基にした詩です
詩歌集『イノセント・ロスト』に収録した書き下ろしになります。本日は5月14日、ファンの間で呼ばれる「こいしの日」なので、全体公開しました。