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詩 地霊殿の小休止


詩 地霊殿の小休止


時計台の鐘が鳴ったら
すべての集中を切って
やわい幸福がなだれ込む 合図
まだ自我もない動物が
膝下に 肩に 頭頂に
伸し掛って髪は崩れる
一匹ずつ 意識を読み
急所を静かに 撫でる
きみの快が瞳を伝って
わたしの脳へと伝わる
今だけはすべきことも
全部放りだしてしまう
十五分間の柔い午睡に
矮小で尊大な我が身を
勝手気ままにゆだねる

家出がちのいもうとも
この鐘の音を聴くため
毎日決まったじかんに
書斎にはいりこんでは
獣たちをひったくって
ほほを擦り寄せていた

赤毛の猫も 八咫烏も
つぎの鐘が鳴るまでは
はかない けど確かな

すいの時間







東方とうほう地霊殿ちれいでん』に登場するサトリ妖怪『古明地こめいじさとり』を基にした詩です
先日参加したイベント『博麗神社例大祭』にてリクエストいただいて即興制作しました