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よしながふみ 大奥 完結する

学生時代から十年以上にわたり楽しませてくれた大奥最終巻。言わずと知れた、男女逆転で描く徳川家の烈伝です。確かセンスオブジェンダー賞の初回を獲っていたはず。
よしながふみの描き出す将軍や老中、総取締やら医師やら料理人やら農民たちが、抑圧された現状に向かって繰り出す啖呵が実に気持ちよかった。理不尽な現状をロジカルに分析しつつ感情的にキレる、というか。
私自身も、社会人になりたての頃、お役所仕事を絵に描いたような職場やおっさん相手にぶちギレては、よしながふみ的啖呵を繰り出し自爆していた時代を思い出して塩っぱい気持ちになる。けどそれは黒歴史とかそういうことではなく、あの時悔しくて悔しくて泣いて怒って苦しんで、もっとつらっと済ましちゃえばよかったけど、でもあの頃に徹底的に吐き出してそしてやらかしたから、今、それがワクチンのようになっているのかなあとも思うのだ。あの頃の私が吉宗レベルでキレてたとしたら、今の私はそれでも穏やかになったよ。晩年の家定くらいの穏やかさだよ多分。

よしながふみの、理不尽なものに対する怒りのノリってすごく自分に似ていて、読んでいて気持ちが良かった。「怒り」が生きる事のインセンティブなんだと思うのよね、よしながふみって。大奥はそれが一番先鋭的に出ているというか、将軍たちそれぞれに付随したストーリーって、要は「怒り」のバリエーションだと思う。
そして、ケンカ型の将軍にはちゃんと駆け引きを熱くならずにやってくれる加納久道やら阿部正弘がいて何とも羨ましいとか思ってたけど、思い返せば私の女友達の中に、「老中」、何人か思い浮かぶわ、、、。みなみなありがう、これからもわしをよう頼む。マジでお願いします。
十年以上前に始まった連載だけど、あの頃と今と、全然世の中変わって無いのかなとも思う。森さんの辞職騒動で明らかになった感じ。でも、若い世代は変わってきてるのかなとも思うのよ。最近ムカついたことを、こないだ卒業した野郎何人かにグチグチ言うたら、実に客観的な返答をくれたからな、、、。こちらが居心地が悪くなるほどにな、、、。
フェミっぽい漫画の書き手はヤマシタトモコの方が今の時代の騎手って感じだけど、よしながふみがいないと出て来られなかった気もするから、描かれる漫画も、現実と共に進化はしているとは思うのだよね。それが希望かなとも。
兎にも角にも、長く楽しませてくれてありがとうの漫画です。私は家定が一番好きだったよ。
#よしながふみ #大奥

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