音楽と雨粒と心のチューニング
移転作業のつづき。
月末ギリギリに手続きすると、不備のせいで月を跨いでしまうと、もう1ヶ月分の経費がかかってしまうので、先週「えいや!」と解約手続きをすすめた。
一か八かとりあえず、進めていかないと躊躇していても先が見えなくなってしまう。かといって、次の店舗の見積もりも想像以上の金額だから、こっちも一か八かで進めていくしかない。
実際のところ、資金もなくて、働きながら作っていく感じ。
まわりから、私はラッキーだとか、強いとか、特別だとか、言われることがあるけれど、普通の人間が、環境やら起こってくる出来事に対して本気で向き合っているだけのことなので、傷つきもするし、体力も衰えてくる。
「ほっといても大丈夫やろ」と放置されているうちにさらに強くなるパターン。ま、おかげで、アナザーワールド(夢想の世界)で生きる力は養われたからいいんだけどね。むしろそっちの方が楽しみにもなってきた。
私は小さいながらも会社を経営して自分がそこで働くという、ひとり株式会社をしている。家を建てたのは個人の私で、今回お店を作るの会社の社長の私。同じ人間でもお金の出どころが違う。前者の私の貯金は家づくりですっからかん。今回の店作りは会社のお金もすっからかん(いや、マイナス)になる。
還暦も過ぎているのに、またゼロからスタートかぁ。
40年くらい前もすっからかんからミアズを始めた。あの頃をイメージして「なんとかなってきたこの人生」を振り返ると。これからなんとかなるのではないか?とクリエイティブ欲がむくむくと湧いてくるうえに、前例がないことをすることにワクワクする。
実際のところ、今の場所で使っている道具たちは寿命がきているので、半分以上は処分することになる。オーブン4台、ガスコンロ8口、冷蔵庫4台、冷凍庫4台のうち、次の場所ではオーブン1台、冷蔵庫1台、冷凍庫2台、ガスコンロ4口になる予定。でっかい業務用オーブンも処分するので、パンの量は今よりもさらに少なくなる。これは確実。
「残りの1か月の間に是非とも食べておいてほしいな。でも売れ残る日もあるんだろうな。」
そんなことを考えながら「ふぅ〜」と大きなため息をついて雨に濡れる外の木々をながめていた。
「こういう時こそ泳ぎに行こう」と理由をこじつけて(と言いながら毎日泳いでいる)雨の中ラジオを聴きながらプールまでドライブをした。
まわりの走る車を見ながら「かっこいい曲を感動しながら聴きながら運転している人はこの中にいてるのかなぁ?」といつも思う。車で聴く音楽は最高!
特に雨の日は雨粒避けの宇宙船のよう。雨の音に負けないようにボリュームを上げる。
大貫妙子さんの「THE UNIVERS」のなかで、彼女の選曲と潔いコメントを聴いている時に、7月にある彼女ライブが土曜日だから断念したことを思い出した。
「あ!6月末でお店閉めたら行けるやん!」と信号待ちでささっと検索してチケットを買った。
閉店日はいつにするか迷っていたけど、チケットが取れたからは6月30日に決めた。次の瞬間信号は青に変わったことだし。
それにしても土曜日のライブに行けるのは何十年ぶりだろう?(ライブは定休日にしか行けなかったので)リスタートにぴったりだな。
雨の隙間から音が落ちてきて心のチューニングがあうように決断はいつもそん感じだ。それがいいのか悪いのかはわからないけど、とにかく自分の前を見よう。
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