寂しさを共有したい
「あの人を腕の中に取り戻したところで何がしたいの、あなたは」
夜空を体に移した鯨が疲れた私に問いかけてくるから話をすることにした。
「姉がいなくなってから家の静寂を埋めるものがなくなったんだ。いれば鬱陶しいのにいなくなったら寂しいなんてね。」
人の関係に塩梅なんて取れない。私の学業を理由に独り立ちしていった背中を私はいつも瞼の裏に乗せている。次は私の番。
「それから寂しくなったんでしょ?それくらいは知ってる。それで、あなたは何がしたいの」
目を閉じたままの鯨は果たして私の話を