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(雑談)マリリン・モンローと写真の話

マリリン・モンローが好きです。
彼女の出演作をあらためて見ると、ずいぶん無駄な使い方されてたんだなあ、と思います。

そして、カポーティの指示どおり、『ティファニーで朝食を』が彼女の主演で撮られていたら、さぞかし素晴らしかっただろうな、と思います。

彼女の不遇な少女時代はあちこちで語られているので、わざわざここでは書きませんが、
小さな女の子がいるなあ、と、彼女を見るたびに感じます。
私には彼女が、「成熟した大人の女性の体に閉じ込められた、小さな女の子」に見えます。

彼女はとても勉強熱心で、人体やポージングを研究し、いつでも完璧に写真におさまることができるようにしたそうで。ピンナップガール時代からすでに、見てとれます。

いわゆるセックスシンボルとして、客体化された性の対象として、完璧なイメージを作ったのだと思いますが、それが彼女をスターにし、同時に苦しめもしたんじゃないか、という気がします。
似たような「ブロンド美女」役ばかりが来てしまった、というのも然り。
そして、少女時代にたびたび性暴力の被害に遭っていた彼女が、そのセクシーさほぼ一本で自分を公に押し出すというのは、心にどういう影響を及ぼしたか。
勝手に自分自身と重ね合わせてしまいます。
彼女は実は、性行為が全然好きじゃなかったのでは、と憶測します。不倫関係にあったトニー・カーティスは、「マリリンとベッドにいる時は、いつも彼女が何を思っているのかわからなかった。彼女は女優だから、男が求める女性像を演じることができるんだ。」と言っていたそうで。すごく納得がいきました。

低迷していた36歳の時、再起をかけて、バート・スターンが、雑誌ヴォーグの為に撮影をしたという、最後のフォトシュートがこちら。
マリリンが、写真を使わせないよう、フィルムにバツ印をつけたというのは、有名な話。
私も実は、酷い写真だと思います。老いた彼女による、セルフパロディのようだと思います。
呪いのように付き纏うステレオタイプ、クリシェを自ら焼き直したようだと感じます。

Bert Stern 

話は変わって、マリリンが信頼していた数少ない人物、イヴ・アーノルドという写真家がいます。
『荒馬と女』撮影時、スチール写真を担当した、(当時はまだ珍しい)マグナム所属の女性写真家です。
イヴによって撮られたマリリンの写真が、すごく好きです。先出の、バート・スターンと近い時期です。「にも関わらず」と言うべきか。

Eve Arnold
Eve Arnold
Eve Arnold 
Eve Arnold

職場なので、もちろん完全に素ではないと思いますが、これらの写真の中、
少女のまま保存されたような彼女自身が、笑顔だったり、もの思う表情の中に、見えるような気がするんですよね。。

(余談: イヴ・アーノルドは、34か38で写真を始めたと言われています。1940-50年代の30代半ば〜後半、とくに女性というと、今よりもっと晩年感あるような気がしています。そこから100歳近くまで生き、なくなる直前まで撮ってたそうで。彼女の写真に写る女性はどなたも良い顔で、知らないはずの彼女に親しみを覚えます。ポートレートは、被写体を写すと同時に、撮影者の鏡でもあるんですよね。私は同じカメラを使っていて、それでさらにシンパシーを感じてしまいます。)

マリリンの話に戻ると、もっと長生きして、もっと自由になってからの人生を感じてもらいたかったと、本当のことなんて何も知らない私ですが、ついそんな事を考えてしまいます。

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