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2022年 詩集



光と影

みんなの黒い影におびえてる

みんなが怖くて

恐怖が肥大する

影がこくなる

太陽の光は眩しい

人混みの中で

こころ

大切なものがなくなった
大事に大事にしてたのに

喉が渇いた
たくさん水を飲んでも
瞳は乾くばかり

雨が降ってきた
私のかわりに空が泣いてくれているようだ

その日から私は雨女

雨が降ると思い出す

なくなったものが見つかった
それは「私のこころ」

季節はずれの花

寒い冬に季節はずれの不思議な花が何故か咲いている
まだはやいよと言われながら…

満開の春に季節はずれの花が
泣く泣く散る

まだはやいよと言われながら…

黒い鏡

手鏡見て
私を眺めていたら
いつもの私が映っていた

偶然落とし割れた手鏡見て
私を眺めていたら
知らない私が映っていた

真実の私は誰も知らない
鏡だけが知っている
見透かされているのかしら

真実は鏡にもうつらない
真っ黒な夜中に映つる
手鏡の中の私

鏡は暗闇をうつすばかり

希望の星屑

夜空の小さい星を数えてた

小さい星を点として線を指でひいた

本には載ってない

新しい希望の星座を見つけた

りんごのほっぺ

ほっぺが赤くなったのは
赤いりんごを食べたから

ほっぺが赤くなったのは
初恋の味を食べたから

懐かしい赤いりんごの味がした

秋桜

黄昏の空
秋桜がゆれる

夕焼けが赤く染まるのは
この初恋の終わりを照らしてるから

黄昏の空
秋桜がゆれる

そこにいたのは乙女のわたし

むなしい青空

広い空
どこまでもつづく空
むなしい青空

晴天の空とうらはらに
青年の顔は晴れない

胸が苦しく
のどの奥がつっかかる

冷たい炭酸水がほろ苦い

大人の味がした

百年の沈黙

ヤッホー
やまびこがひびいた

自然の笑い声は聞こえない

ヤッホーヤッホー
やまびこがひびいた

自然はただあざ笑うばかり

そして自然は沈黙した

純情センチメンタル

君のうわさを耳にした
すぐに忘れてしまうところは
爽やかすぎてつらい

君より僕のほうが弱いと気づいた
感傷に浸ってる
自分が嫌になる

感傷に溺れる僕
笑ってくれ
僕は誰よりも女々しい男
笑ってくれ
君の笑い声をもとめてる

ひまわり

甘い眼差し
快い視線を感じる

日光はひまわりを照らす

黄金に咲くひまわり

うつむく首
閉ざす瞳
さみしげに朽ちる

わたしを忘れないで

わたしを忘れないで

愛の果実

長い時刻を刻んだ
熟され過ぎた愛の果実

熱で腐敗されても
魂までは有毒にならない

崇高な愛の香りがたちこめる暮夜

明暗

うつしき 現世
みえるみち
こえたい こえたい
うつくしき うつしよ

うつしき 常世
みえたみち
はかなし はかなし
うつくしき とこよ

美人

垢抜けた
つややかさを
心配する

君は悩ましいほど美人になった

垢抜けた
あでやかさに
後ろめたくなる

君は恐れるほど美人になった

垢抜けた
なまやかさに
悲しくなる

君は僕の知らない美人になった

私のシンデレラストーリー

私は貴方との結婚に賭けたいのよ

笑わないで
私は真剣なのよ

トロフィーワイフだなんて
おとぎ話
誰も信じない

でも私はおとぎ話を信じてみたい

私に人生を賭けてみない?

真夏の雪

南国に12月が来た
白い雪をみてみたい
憧れはつのるばかり

白い雪の綺麗さ
白い雪の肌触り
知らずに過ぎていくなんて

いつかいつかと夢のまま
雪に恋する
太陽の光が眩しいクリスマスイヴ

南国に雪は現れずに
今年も幕を下ろした

涙の接吻

涙が大嫌いだった私

涙の接吻で目が覚める

涙の味を知ったのは
あなたからの贈りもの

家族の肖像

忘れられて眠っている
ほこりをかぶったアルバム
古惚けた家族写真

言葉で語りはしないけど
白黒写真から聞こえる息吹

最後のページは金婚式

どこを探してもみつからなかった
私の知りたかった答え

粋な家族像が
祖父母が残して逝った
アルバムにみつけた