怖い話　読み返していない日記#26

コロナを機に俺の会社でもリモートワークが導入された。通勤時間がない分余裕を持って朝を過ごせる。今日は柄にもなくトースターでパンを焼きサンドウィッチを作った。

食べこぼしがキーボードに落ちないよう気をつけながらモニターの中のカレンダーを見つめる。今日はリモート会議まで暇だ。暇と言っても通常業務はあるが。

そんなことを思いながらタイムラインを開くと、見たことのある画像が表示された。検索してはいけない言葉を検索すると出てくる画像だ。検索してはいけない言葉には様々あるが、それはURLを踏むと画面の操作が効かなくなり大量の手形が表示され最後には血まみれの女性の顔が出てくる、そんな内容だった。

中学生くらいの時に友達とパソコンで調べたな。あの時は大盛り上がりであったが仕組みが分かった今ではそこまで怖くない。

ちょっと検索してみるか。なんて思いつつ、検索ウィンドウに懐かしい文字列を入力した。

朝から見るもんじゃないなと1人笑いながらURLを踏むと、画面の操作が効かなくなった。

このこれ、なんて思いながら、少し怖気付いて画面から離れて待つが、何も起こらない。

「焦れて画面に近づいたタイミングで驚かすやつだな」

なんてわざとらしく口に出して笑っていると、いまいち様子がおかしい。画面は動かないしPCから聞いたことのない、ガガガというような音が聞こえてきた。

こんなんだったか？と思いながらモニターに目をやると、しおらしい音を出しながらPCの電源が切れた。

なんだったんだと思ってPCを付けるがデスクトップが映らない。まずい。何かまずいことが起きている。興味本位で検索してはいけない言葉を検索したら予想よりもまずいことが起きた。リモート会議に出席できないのがまずいしそれ以前にこのPCは会社からの貸与品だ。故障したなら修理に出せばいいかもしれないが

「検索してはいけない言葉を検索しました」

なんて言えるか？中学生の時にやっていたことだぞ？言い訳を考えながら会社に連絡する。大人なのでうまく嘘をつき、とりあえず会社に持って行くことになった。

会社に着くと、「つかなくなっちゃったんだって？」と部長に声をかけられた。見てあげるよ、なんて言いながらPCを電源に繋ぐ部長を置いて、対面で会議に参加することになった。普段は怖いしとっつきづらい部長だが、こういう時は結構頼りになるので尊敬している。

PCちゃんと直るかな、なんて思いながらどこかうわの空で会議に参加していたら、デスクの方から部長の悲鳴が聞こえてきた。

会議中であったが、慌てて皆で見に行くとそこには腰を抜かした部長が白い顔で俺のモニターを指さしていた。

「ち、血まみれの幽霊が！！！」

俺は人生で1番頭を回転させ、うまい言い訳を考えていた。