石油ファンヒーター

その存在を知ったのは、数十年前に寒冷地に引っ越してからだ。それまではエアコンと、足もとが寒ければセラミックヒーターや電気カーペットを使っていた。

石油ファンヒーターを稼働させるには、まず灯油を買ってきてタンクに入れ、電源を入れる。スイッチを押すと点火され、灯油を燃料として内部で燃焼した温かい空気が、ヒーター内部の電動ファンで前へ送られ、部屋をすばやく温める。床に近い高さから暖気がでるため、低い位置にいる人間を早く温めてくれる。天井近くに設置されたエアコンよりも早く。

使い慣れて数年経ったある冬の日、うちの石油ファンヒーターが突然故障した。スイッチを押しても稼働しない。寒冷地なので困る。

町の電気屋さんに持っていき、壊れた旨を伝えたら、忙しそうに「そこに置いといてください」と言われた。見ると、自分のものと似たような製品が5、6台ならんでいる。思わず「2000年問題ですか?」と聞いてみたが、「いえ、違います」とのことだった。
直ったら電話してもらえるとのことで、その日は帰宅したのだが、今ひとつ納得していなかった。そんなに何台も故障する?

若い方はご存知ないかもしれないが、2000年問題とは、西暦が1999年から2000年に変わることでコンピューターシステムに混乱が生じ、社会に大混乱が起きるのではと心配された問題だ。マイクロコンピューターが入った電気製品から、金融システム、果ては他国の弾道ミサイルまで、誤作動が起きて大惨事につながるのではないかと懸念されていたのだ。

Wikipediaで「2000年問題」を見るともう少し詳しく書いてあるので気になる方はご覧いただきたい。今みると、見えないところで未然に防いだり、障害に対応したりという動きがあったようだ。

各方面で対応してくださり、大きな混乱を防いでくださったすべての方々に、遅ればせながらお礼を申し上げたい。

その節(1999→2000)は、ありがとうございました。


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