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友人と同じ人を好きになった時のこと

「じゃあ、わたし頑張ってみてもいいかな?」

そう言われて、驚きのあまり言葉が出なかった。
この状況を最悪だと思いながら、漫画みたいな出来事が起こったと少し面白くなってしまった。

これは大学生の時に起きた出来事。彼女とは、大学時代に所属していた軽音楽サークルで一番仲が良かった。ゆるっとした雰囲気でマイペース、それでいて自分がやりたい!と思ったことは譲らない、それが私から見た彼女の印象だ。

大学2年の秋。
サークルのライブ帰りで、テンションの上がった私たちは今までしてこなかった恋バナをした。

「好きな人はいないの?」

気になっている人はいる。だけど、同じコミュニティー内の男の子だったため言いたくなかった。うまくいくなんて思っていないし、仲良くなるために行動しているところを客観的にみられたくなかったから。

ただ、そのまま名指しで質問をされ嘘をつくのもなぁと思い、結局知られてしまった。2人仲良いもんね!いけるよ!と応援してくれた彼女に、私は保身のためにきっと上手くいかないと自信のないことを伝える。謙遜というより実際に上手くいくと思っていなかった。自分が好きな人が自分を好きになってくれるなんて、信じがたかった。

すると、彼女は冒頭の台詞を言ったのである。
おおお・・・?
そんなこと言われるなんて思ってなく、唖然とした。その時私がなんて返したのか正直よく覚えていない。少女漫画の知識を振り絞り、一緒に頑張ろうとでも言ったのだろうか…。

その後彼女は言葉通り、彼にアタックを始めデートに誘うなどちゃんと行動に写していた。私がありえないと思ったのは彼女がコミュニティ内の友人に今回の件について相談していたことで、私は外堀を埋めようとする行動に少しもやもやした。彼女は所謂末っ子みたいな立ち位置だったので、相談により周りが彼女を応援するような雰囲気になったら行動しにくくなってしまうではないかと。後から私も好きなんて周りに言いづらいし。私はそんな彼女に焦りつつ、どうしたらいいかは全く分からなかった。

彼とはサークルで出会い、コミュニティ内にまだ友達がいなかった私と話してくれたうちの1人だった。学部が同じだったこともあり、授業で一緒になったりテスト前には情報を交換しあったりと少しずつ仲を深めていった。自分のゼミに誘って一緒になったものの、恥ずかしくて結局ゼミ中は話せなかったり、サークルでも同じバンドに誘い実際にやったにも関わらず、そこでも一定の距離をとってしまったりと、チャンスを不意にしてばかりだったように思う。

振り返ってみると、付き合える可能性はなしではなかったのではないだろうか。私がチャンスを無駄にしてしまったものの、誘いには乗ってくれていたように思う。

ただ、友人の積極的なアプローチに焦った私がとった行動により、事態は変わっていったわけだが…この先は思い出したくないので割愛。

結局、正々堂々としたアプローチができないまま、彼が後輩の女の子と付き合い始めて、私の恋は終わる。

中途半端に終わったことで、私にはやりきれない気持ちが残った。ぐずぐずして想いを伝えず、ふられることもできなかった。私の気持ちはどこに行くのだろうと悲しくなった。あそこまで人を好きになったのは始めてで、大切にしたい気持ちだったのに、行く場をなくしてしまった。

この件で、次誰かを好きになる機会がもしあるとするならば、絶対に行動しようと決意することができた。言えないまま終わってしまうのが1番辛い。

ライバルの彼女とは今でも仲は続いていて、最近このことについて久しぶりに話したが、今思えば私が彼を好きといった後に自分の気持ちを伝え辛かっただろうにとも少し思う。その後の行動が誠意のあるものであったかは置いておいて。

恋って難しい。




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