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垣谷美雨さんの小説にハマった2023年夏

こんにちは。
本日の投稿は趣味の話です。

今年の5月頃から垣谷美雨さんという女性作家の小説にひたすらハマっています。

ハマるキッカケとなったのがBOOK OFFでタイトルだけ見て面白そうと手を取った文庫本の『夫の墓には入りません』でした。

以下、読んだ順に自分なりの解説をしていきます。

1. 夫の墓には入りません


確か後ろ帯のあらすじに「子供のいない夫婦で夫に先に立たれた妻の義家族との付き合い」のようなことが強調されていて、子供のいない夫婦を題材にした小説というところに共感を覚えたのと、自分も子供がいない夫婦であり、現実的に考えて年上男性である夫の方が先に亡くなるだろうというところから、自分の将来のためにもなりそうかも?と惹かれました。

主人公が義家族とのいざこざを経て、タイトルの「夫の墓には入りません」と自信を持って言えるできるようになるまでの過程が描かれていて、作中で分かりやすく強調はされていないですが、中年女性の精神的自立が全体を通してのテーマになっていると言えます。


2. 七十歳死亡法案、可決

高齢者が国民の3割を超え破綻寸前の日本。政府は「日本国籍を有する七十歳以上の国民は誕生日から30日以内に死ななければならない」という七十歳死亡法案が可決される。施行は2年後。

主人公の東洋子は55歳の主婦で、義母の介護に追われつつも自由を求めて七十歳死亡法案を心待ちにしています。2年後に退職を控える夫、一人暮らしを始めた長女、引きこもりの次男、義家族を中心によくある日本の家族が抱える問題が描かれています。

テーマは日本社会が抱える問題で、作品のタイトルもなかなか過激ですが、さすが垣内作品だけあってシリウスになり過ぎず、最終的には「家族の温かみ」を大事に描いている物語です。

3. 定年オヤジ改造計画

妻や母目線で語られる作品が多い中、こちらのお話は女性は生まれながらに母性を持っているから、みんな子どもを愛していて喜んで母親業をしている、同時に男性は育児に向いていない、と凝り固まった考えで出来ているおじさんが定年退職を迎え、会社から家庭にシフトしていく過程で様々な気づきを通し成長していきます。
“老害おじさん”が変わっていく様がとても気持ち良いです。

日本では毎日のように少子高齢化の問題が騒がれているのに、子どもを産めば女性はキャリアを諦めて専業主婦もしくはパート勤務になるが一般的。正社員のまま子育てされている方ももちろんいますが、そうなると今度は仕事と育児の両立の壁に悩むことに…。
男性は男性で家庭を守るためにますます働いて働いて家庭を顧みることが難しくなる、結果女性にばかり負担が増える。
それもこれも全ては政府の思惑なのか?主人公が問いかけるシーンにはハッとさせられました。

「早く結婚して子どもを持たないといけない」、と顔を合わす度に説教臭い父親に対して「お父さん世代が全員死なないと(日本は)変わらない」と娘が言い放つセリフが的を得ているな〜と思います。

4. 四十歳、未婚出産

1度の過ちで付き合ってもいない同僚男性と関係を持った結果、妊娠してしまった39歳の未婚女性が、会社では妊娠を隠し、嘘を重ねに重ねて出産まで進んでいくお話です。

姉や田舎の母親はどうにか主人公を結婚させ、シングルマザーとして子どもを育てる道だけは避けさせようと躍起になります。
周りには不妊治療を何年もしても出来なかった仲の良い同僚がいたり、誰にも相談できずにシビアな現実に直面する主人公。

主人公は自覚なく周りの人間を振り回しているけど、みんな優しく手を差し伸べてくれます。私は2人姉妹なので分からないけれど、なんだかんだで甘え上手な三兄弟の末っ子故なのかも。

まとめ


どの垣谷作品にも共通しているのは、題材が今どきの時事ネタであり、タイトルが少し奇抜・センセーショナルである、しかし根底にあるのは普遍的な「家族」の繋がりである、ということです。

物語の中盤まではあまり何も起こらず、淡々とした日常の中の問題に沿って話が進んでいくのですが、後半にかけて小さな出来事が起こり、それをキッカケに一気に駆け上がっていくような疾走感が堪らなく、病みつきになってしまいました。
なので物語の中盤からエンディングまでは1日くらいで読み切ってしまいます。というか、読むのを止められなくなるといった方が表現として近いかもしれません。

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