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映画『PERFECT DAYS』を観て色々感じた感想【ひとり言】

こんばんは。
役所広司さん主演の「PERFECT DAYS」という映画はご存知ですか?

話題作「PERFECT DAYS」について

この映画は今年のフランス・カンヌ映画祭で男優賞を受賞したり、米アカデミー賞にも国際長編映画部門にもノミネートされていたりと、日本よりも欧米で特に話題になっているイメージがあります。
アメリカにいる夫の友人が最近観て、良かったと教えてくれたことがキッカケで知りました。

ちょうど京都の出町柳にある「出町座」という小さな映画館で英語字幕付きで上映していたので夫婦で鑑賞してきました。

日本・東京を舞台にした映画ですが、監督はヴィム・ヴェンダースというドイツ人で、彼は「Shall We Dance?」を観て以来ずっと役所広司さんのファンだったそうです。

簡単なあらすじ

役所広司さん演じる平山は、独身・一人暮らしの60歳代くらいの男性で公共トイレの清掃員をして生活しています。
毎日朝日が昇る前に起床し、車で勤務地まで移動し、帰宅後は銭湯に行き、夜は眠くなるまで文庫本を読む、と、日々同じような暮らしを過ごしている彼の生活が、ドキュメンタリー調に描かれています。
ほとんど変化がなくまるでループのように日々が繰り返されていくのですが、平山が朝勤務地に向かうまでの車内で聴くカセットテープは少しずつ違っていて、ルー・リードやパティ・スミスの音楽がとても心地良いです。
映画としては姪が登場するまでほとんど何も大きなことは起こりません。

でも最後は何だかとても暖かい気持ちになり、自分の人生も悪くないじゃん、とちょっと幸せを感じながら劇場を出ました。

感想

良かったところ

主人公の平山は社会と繋がっていない男性の典型的タイプかと思いきや、周りの人に対し否定も肯定もしない、でも近づいてくる人は拒絶せず、適度な距離を保って付き合う姿勢がとても良いなと思いました。
無口で余計なことを言わないけれど、相手に警戒心を与えることもなく、姪やスナックのママなど、周りの女性は彼に心を許している描写が多く見られました。

あとは単純に役所広司さんの演技が素晴らしいです。無口でほとんどセリフがない平山ですが、表情は結構豊かで嬉しかったり、怒っていたり、そういった些細な感情の変化が素直に伝わってきました。
特に姪を迎えにきた妹とのやりとりからその後の感情の流れが良くて、自然と泣いてしまいました。

ちょっと残念なところ

日本の公衆トイレプロジェクトから始まった映画らしく、海外の人に向けて「日本の公衆トイレはキレイですごい」をイメージ戦略として広めるためか、かなり美化され過ぎていると思いました。
汚物掃除をしている場面は一度も出てきませんし、清掃中もマスクは付けていないし、ゴム手袋もせず素手で床に落ちてるゴミを拾っています。
マスクは表情が隠れてしまうのでしてなくても映画的にまだ理解できますが、それ以外は現実味が無くてトイレ清掃員の物語を描く上ではちょっと説得力に欠けると思いました。

学びになったところ

私は年齢や性別も平山と重なるところはないのですが、会社に所属せずフリーランスとして働き、子なし夫婦で生きているので、一般的な30代に比べると、社会との繋がりはかなり薄いと思います。その点で平山の「住んでる世界」にはとても共感を覚えました。

「自分の人生を一番に生きる」簡単そうでやっぱり難しい、けれどこれに尽きるのかなと思いました。
人生において大きなことを成し遂げたり、それを他人に認められたいという願望は誰しも心の奥底にあるけど、「自分で自分の人生を受容する」ここがスタート時点なんだと思います。

まとめ

この映画を観て自分の中で最終的に行き着いた答えは、竹内まりやさんの楽曲にもある、「毎日がスペシャル」でした。
それも他人に寄りかかったり依存してじゃなく、自らの力で自分の毎日をどう「スペシャル」と感じられるように出来るのか、それが明日からの人生の課題になりました。
誰もがみんな自分の人生を少しでも「愛おしい」と思えたら今よりちょっと幸せな世界が作れそうですね。


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