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地歌歌詞 新娘道成寺 単語 5 手まり歌 後半

新娘道成寺、歌詞5分の5、
手まり歌後半です。

吉原から室(兵庫)まできました。
その先の下関、長崎へと続きます。

単語的には、
「此身(このみ)」が、体(からだ)、生身(なまみ)という意、
また、
なじみを重ねて」では、気に入った娼妓(しょうぎ)、女の所へ男が通い続ける、という意味であったことが
やっぱり遊郭関係の手まり歌だな、と印象的でした。

歌詞

一(ひ)い 二(ふ)う 三(み)い 四(よ)う 
夜露(よつゆ)雪の日  霜(しも)の関路(せきじ)も
共(とも)に此身(このみ)を  なじみ重ねて
中(なか)は円山(まるやま)只(ただ)丸(まる)かれと  
思ひ初(そ)めたが縁(えん)じゃえ


● 霜(しも)の関 … 下の関の遊郭がふくませてある。

● 関路(せきじ) … 関所に通じる道。関所のある街道。

● 共(とも)に … いっしょに、同じように。

● 此身(このみ)… 1.現にこの世に生きている身。生身(なまみ)。からだ。
2.我が身、自身。3.このような身の上。

● なじみ重ねて … ① なじむ、では、人になれて親しくなる、の意。
② なじみ[馴染み]を重ねる、では、気に入った娼妓(しょうぎ)、女の所へ男が通い続ける。情交を重ねる。情交とは、1.心を許した交際、親しい交際。2.男女の親密な交際、また男女の肉体的な交わり。という意味もありました。
現代人的にさらっとよめば、親しくなるという意味で十分ですが、遊郭巡りの歌なので②をとってみました。


● 中(なか) … 仲。間柄、間の意。

● 円山(まるやま) … 長崎県の丸山遊郭。坂本竜馬、勝海舟、岩崎弥太郎も通ったとのこと。現在も丸窓のたてものなどが街にのこっているそうです。

● 丸かれ … 丸かる、で、かたまる、まとまるの意。丸い、で、物事の状態が穏やかである、事が荒立たないでいる、の意。
丸、では、分割した一部ではなく全部を含むこと、の意。
そのほかに、丸には、吉原遊郭で、遊女の揚げ銭が倍額となる日(正月や節供の日)という意味もありました。
参考にさせていただいた、おくわしい方々は、仲良くという意で訳されていました。

● 思ひ初(そ)め … 思い始める。心にかけはじめる。恋し始める。

● 縁(えん) … 関係をつくるきっかけ
 

訳してみたもの

一日、二日、三日、四日と
夜露、雪の日、霜の日までも、通い詰めて
一緒に、この身体で、男と女の親密なまじわりを重ねて
その仲が、ほんとうにもう離れたくないと
思いはじめたのが、ことの成り行きでございます。


おつかれ様でした。

地歌新娘道成寺は、その前は歌舞伎で、その前は能で、さらにその前は道成寺伝説という話に行きつくそうです。

そんな成り立ちについてはこちらです↓


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