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地歌歌詞 新娘道成寺 単語 3 遊女のパート

新娘道成寺、歌詞5分の3、
遊女のパートになります。

この歌のセリフを語っているのは遊女なのだそうです。

白拍子(しらびょうし)とよばれる、舞をまったりする人で、
遊女の方なんですね。おくわしい方のブログ等で説明を読んでわかりました。

歌詞のなかにも遊女的意味のある言葉が使われています。

歌詞

言はず語らず 我が心 乱れしかみの乱るゝも
つれないは只(ただ)移り気な 
どうでも男は悪性(あくしょう)な
桜々とうたはれて いふて袂(たもと)にわけふたつ
勤めさへ只(ただ)うかうかと
どうでも女子(おなご)は悪性(あくしょう)な
東(あずま)育ちは蓮葉(はすは)なものじゃえ

太字部が遊女的意味のある言葉になります。
● わけは、分け前の意。
● わけふたつは、芸娼妓(げいしょうぎ)が主人と分け前をふたつにわけるの意。分けの女郎(じょろう)という呼び名もあったとのこと。
● 勤めは、遊女などが稼業として客の相手をすること、また、遊女の揚げ代、
また、一般的意味では支払うべき金銭、勘定の意。

それにつらなる単語も一緒に調べてしまいますと、

● うかうかとは、しっかりした計画や考えがなくて、いい加減なさま。なにかに気を取られて不注意でいるさま。または、気持ちの浮き立つさま。

となりますので、
遊女的単語を含む行である

桜々とうたはれて 
いふて袂(たもと)にわけふたつ
勤めさへ只(ただ)うかうかと

の訳は、

「桜さくらともてはやされても 主人と勘定を分け合う遊女の身の上、そのお勤めもいい加減」
となると、
参考にしたページでされていました。

ほかの部分のことばの意味も見ていきます。

● 言はず語らず … 何もいわないけれど。言葉で表現しないが。似た意味の語を続けて強調している。

● つれないは … 冷淡だ。

● 只(ただ) … ただもう、むやみに、まったくの意。ちょこっと、という意味ではないのですね。

● どうでも … 間違いなく、確かに、どう考えてもの意。行為や考えが十分に、または様々になされた上での判断を示す。

● 悪性(あくしょう) … 悪い性質、たちのよくないこと。特に酒、色にふけりたがる性質などをいう。

● 東(あずま)育ち … 東国地方、特に江戸で育つこと。また、その人のこと。

● 蓮葉(はすは) … 女性の態度や言葉が下品で軽はずみなこと。また、そのさま。はすっぱ。

全体を訳してみたもの

自分の気持ちを、言いも語りもしないけれどさ

髪は乱れてしまって、私の心のありさまそのまんまさ

冷たいことといえばさ、

ほんとうに移り気で、どう考えても男はたちが良くないよ

桜よ桜よ、と女としてほめそやされたところで

いっても、わたしも分け前半分を主人にわたす遊女の身

仕事のようすといってもほんとうにいい加減なものだよ

どう考えても女はたちが良くないよ

生まれ育ちが江戸だと、

品がなくて行いも軽はずみになってしまうんだね


荻江(おぎえ)節の舞踊のかたのブログによると、
この部分は、クドキというパートだそうです。

踊りの起承転結の中の、
主人公が心情をあらわにし、
それを踊りで表現するパートだそうです。

富山清琴師の歌と演奏でも、
この遊女のパートでは、なるほど遊女の心情を語る場面だなという歌い方をされていることに
気づきました。

そういったテーマを意識することって大事だなっとおもいました。

富山清琴師、歌・演奏の新娘道成寺はこちらです↓


つぎの歌詞単語は手まり歌のパート前半になります ↓


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