音楽の「ど真ん中」について

ジャズは広大なジャンルです。

正直、入門しにくい。

例えば、ジャズミュージシャンで一番有名なのはおそらくマイルス・デイビスでしょう。

そしてマイルス・デイビスで一番有名なアルバムはKind Of Blueでしょう。

しかしそのKind Of Blueはモードという考え方を全面に押し出した作品で、あんまりジャズど真ん中とは言えないのです…勝手に言ってるだけですが。

自分が思うジャズど真ん中とは、

  • 器楽作品である(ボーカルが入っていないか、コーラス程度)

  • 激しく動くコード進行

  • 経過音をうまく使ったフレーズ

  • リズムは高速シャッフルビート

  • ベースはウォーキングベース

くらいの感じでしょうか。

他のジャンルに比べ、「ど真ん中」をイメージしやすいと思いますが、そのわりには「ど真ん中」を聞いたことがない。

自分が聴いて気に入ったのは、マイルス・デイビス、ジョン・コルトレーン、セロニアス・モンク、ジョー・パス、グラント・グリーン、キース・ジャレットあたりです。

どのミュージシャンも一癖も二癖もあって、あまり「ど真ん中」をやってない印象です。

セロニアス・モンクが一番真ん中に近い気がするけれども、同時にモンク独特の響きみたいなものが確固としてあります。

ここまで考えて思ったのが、実はこれって、他のジャンルでも同じなんじゃないかということ。

ソウル、R&Bが好きなのですが、スティーヴィー・ワンダー、プリンス、カーティス・メイフィールド、マーヴィン・ゲイ、ディアンジェロと言った好きなミュージシャンたちは、ソウルを代表していると同時にオリジナリティに溢れまくっています。

ミュージシャン単位で見ると、例えばビートルズで有名な曲はイエスタデイやヘイ・ジュード、レット・イット・ビーあたりでしょうが、

これらの曲がビートルズの「雰囲気」を代表しているかというと、違う気がするのです。

(雰囲気でいうとア・ハード・デイズ・ナイトやシー・ラブズ・ユーあたりが「代表曲」に思えます)

こういう現象―「代表」よりその周辺のほうが本質を表している現象―はいろんなところで起こっているのではないか。

つらつらと書いてきましたが、ここから得られる教訓は、「ヒット曲だけを聴いてすべてを分かった気になってはならない」ということですね。

(その意味ではやはり、アルバムという形態は重要だった気がします…)

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