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優柔不断でお困りのあなたへ。

社会人になって2年が経った。
1人で暮らしていく分には困らないくらいに懐も安定してきて。
中高生の頃は、コンビニでグミひとつ買うのも躊躇われ。スーパーの方が安いからスーパーで買い溜めておく、とか。可愛い!と思った服がブランド物で中々手が出せなくて、学生の味方のWE◯Oで同じ様なデザインを探して我慢したり。
自分のお財布と相談して、悩みに悩み、物を大切に買っていたあの頃が愛おしく懐かしく思うこの頃なのだ。

良く飲むお茶ははジャスミン茶。
おにぎりの具は鮭とツナマヨ。
ドレッシングはゴマドレ。
お酒を飲むときは、基本カシオレオーダー。
ソフトドリンクはジンジャエール。
ラーメンスープは味噌。
物や服の色は水色かピンク色。

社会人になって、好みがはっきりするようになった。
否。
考える時間が面倒で、好きな物を固定するようになってしまったのでは無いかと。

社会人の朝って何故あんなに時の流れが早いのか。
神様のいたずらで朝だけ世界の時間倍速に動かしてるんじゃ?ってくらいに、朝の5分ってとっても貴重。

何度目かのアラームを寝ぼけ眼のまま止めて。
時間を見たらあと10分で家を出なければ間に合わない時間。

「やばい!」

と言う、低めの掠れた自分の独り言が、部屋に響く。
大急ぎで、お手洗い、洗顔、歯ブラシ、着替え。
出勤用鞄に携帯を突っ込んで、靴を履きながら外に出て、鍵を閉める。

階段を駆け下りながら、朝ご飯もお昼ご飯も無いことに気付き、通勤途中のコンビニに寄ろうと考える。

まだ、寝ぼけていて、眠いのか。体調が実は悪いんじゃ無いか?と思ってしまうくらいの怠い体を一生懸命動かして、自転車を漕ぐ。

よく聞く、ドアの開閉音が自然と耳に入ってくるのを感じながら。
とりあえずは、飲み物コーナーでジャスミン茶。
そのままサラダコーナーでサラダと、30円のゴマドレ。
おにぎりコーナーで鮭とツナマヨ。
体が勝手に動いて、いつのまにかレジへ。

「レジ袋ください。支払いはスイカで」

今日初めて人とする会話がこれかと思うと心の中で苦笑い。リーダーにスマホを当てて

「ピッ」

会計終了。

時間をスマホ画面で確認しつつ、自転車を再び走らせる。コンビニでの所要時間3分。好みが決まっていれば朝の忙しい時間3分でお昼ご飯が買える。効率的。

※※※※※※※※

さて、今日は夕飯作るの面倒だし、お仕事も頑張ったから、スーパーの美味しそうなお惣菜を買って帰ろう。
と思いスーパーの惣菜コーナーを見物しているが、どの惣菜もぱっとせず、食べたい!と思うものが思い浮かばない。
一人暮らしを始めた頃は、お惣菜の美味しさに感動し、あれこれ買って食べていたが、それも暫くしたら飽きてしまい、お惣菜を買って食べると言うことが

「特別」

では無くなってしまった。

冷凍庫の中にストックしてあるアイスも、どうせ食べるから、食べたい物数個買ってしまえ。と買い物かごに放り込む。

お菓子コーナーで、お菓子も選ぶのが面倒で適当に数個買って帰ろうと思い、とりあえずじゃが○こに手を伸ばす。

隣の駄菓子コーナーで男の子が手に沢山のお菓子を抱えて、陳列された商品と真剣ににらめっこしていた。隣にはお母さん。

「そんなにはダメよ。一つって約束したでしょ。どれにするの」
「はーい」
駄々をこねるのでは?と思っていたが、男の子はすんなりお母さんの言う事を聞いて、お菓子が握られた自分の手元をじっと見つめている。
「うーん、このおまけカードが欲しいけど、お菓子の量が少ないの。でもな」
独り言が全て駄々漏れている。お母さんは隣で早くしてとでも言いたげな顔で、男の子の選択を待っている。
「これにする!」
と、お母さんの買い物カゴに入れたのは、戦隊モノのカードのおまけが付いたウエハースだった。

男の子がお菓子を選んでいた、

「優柔不断」な時間

私は素敵だなと思ってしまった。

お母さんは早く買い物を済ませたかったかもしれないが、欲しいものがたくさんあって、悩んだ選択肢の中からあのお菓子を選んだ時の、
「喜びと満足感」
多分もう大人の私は、お菓子では感じられないのかななんて。
そう思うと、小さな幸せに気付かず日々を過ごしているのではと思った。

出勤の時信号に引っかからなかった。
お気に入りのアイスが安くなってた。
人に、ありがとうと感謝された。
家族から元気か?って電話が来た。
友達と遊ぶ約束をした。
通りすがりのお花屋さんで、一目惚れの花束を買った。

全部当たり前だけど、小さな幸せにカテゴライズすればそれはきっと小さな幸せな出来事。

20年間生きてきて。
この世の中に慣れてきて、当たり前になって。
当たり前すぎて。
固定概念も、自我も、がちがちに形成されてしまって。視野も狭く、視点、脳みそも、お固くなってしまった。

男の子の
「優柔不断の時間」
が、きらきらした時間に見えた。
どれも欲しくて、でも一つに選ばなきゃいけなくて。
好きな物の中から、今欲しいものを選ぶ。
その過程で起きた
「優柔不断の時間」
は、好きで溢れていて素敵だな、と。

​飲食店に入って、食べるものが決まらないとか。
遊びに行こうって出た案の中でどれも良くて、これがいい!って決められないとか。

考えるのがだるくて、どれでもいいって言う人もいるかもしれないけれど。

多分、この人は全部
「好き」
で、好きの中から、更に一つに絞るのは大変。
「優柔不断」
は、好きな物で頭の中をいっぱいに出来る、
「きらきらな幸せな時間」
で。決められなくてどうしようって焦っちゃう人も居るかもしれないけど。
私は、その時間を大切にしてあげたいなと思ったり。

「選択肢のある中で、自分の意思で選ぶ」
と言う行為は、当たり前だけど、当たり前じゃなくて。とても、
「自由な事」
だな、と。

優柔不断をマイナスとして捉えないで欲しいな。
世の中の、優柔不断でお困りの方!笑
貴方にとって、悩んでいる時間は、
「好きなものがいっぱいある素敵な世界にいるんだ」
と、思ってみてはと私は思ってみたり。





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