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素材の魅力とは?〜素材が社会に与えたインパクトについて紹介

はじめに

 本稿では社会にイノベーションをもたらした”素材”の一例を紹介し、身近な”素材”について興味を持ってもらうことを目的にしています。読者の方が”素材”だけでなく、それを供給している”素材業界”に目を向けるきっかけにもなれば嬉しいです。

素材とは「もととなる材料。原料。」(広辞苑より)

 ”素材”は日常生活で消費しているあるゆるモノのベースとなるものです。ただ、消費者として”素材”を購入することやそれを目で見る機会はかなり限られているため、素材のイメージが湧かない方は多いのではないでしょうか。そこで、本稿では社会にイノベーションをもたらした素材の一例を以下で紹介します。

素材によるイノベーション 〜 ナイロン 〜


 皆さんは「ナイロン」はある企業の商標名であることをご存じでしょうか?現在はポリアミド系高分子化合物の総称として一般的に使われている言葉ですが、元来はデュポン(DuPont de Nemours, Inc)から発売された合成繊維の商標名です。衣服、歯ブラシの毛、傘、自動車エンジン部品、ロープ、釣り糸etcの多岐に渡って使われている非常に身近な素材ですね。
 シルクの代替品として開発されたナイロンは軽さと丈夫さを兼ね備えた全く新しい素材で、工業化の当初は「鋼鉄よりも強く、蜘蛛の糸よりも細い」というキャッチコピーの下、ファッションやインテリア用途での広がりを見せました。その後、工業用途での爆発的需要増に伴い、世界中の人々が名前を知る”素材名”となりました。

工業用途でのナイロン活用の一例)

 GM(ゼネラルモーター)のGM3800エンジンは、ナイロンを使うことで、従来のアルミ製に対して重量を65%まで削減し、燃費の改善効果によって260万バレルを越える石油削減効果を実現した。(日本の石油消費量 380万バレル/日;出典:BP Statistical Review of World Energy 2020 - Oil: Total liquids Consumption)

 現在は石油由来ではなく、植物由来且つリサイクル可能なナイロンの開発が進んでおり、環境負荷低減への貢献に大きな期待が寄せられています。ナイロンは私たちの生活必需品として定着しているモノとなっていますが、これからもまだまだ進化し続けて、私たちの生活をより豊かにしてくれるだけでなく、環境問題などの様々な課題のソリューションとなってくれる、まだまだ大きな可能性を秘めた素材と言えます。

素材によるイノベーション 〜炭素繊維〜


 ここからは、F1マシン、小惑星探査機「はやぶさ」、風力発電用風車ブレードなどの様々な先端技術分野で使われている素材である「炭素繊維」について紹介していきます。

 炭素繊維は軽量で強く(鉄との比較:比重 Δ75%、比強度10倍)、また腐食しない特性を持っており、自動車、建築材料、環境・エネルギー、エレクトロニクス、医療などの幅広い工業用途で使われています。

 炭素繊維の開発起源はかなり古いもので、トーマス・エジソンが木綿や竹を焼いて作った炭素繊維を用いて発明した電球まで遡ることが出来ます。

 工業化されて市場に出始めたのは1950年代後半ですが、当初は高価であったということもあり、使用用途がなかなか広がらない状況が続きました。1970年代に入り、釣竿やゴルフクラブのシャフト、テニスラケットなど、スポーツ用品での活路が見出され、また、1970年代半にNASAが燃費削減プログラムを始動し、これに東レの炭素繊維が採用されたことによって、航空宇宙産業用途へと広がっていきました。

 その後、炭素繊維に樹脂を混ぜた複合材であるCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics;炭素繊維強化プラスチック)がボーイングやエアバスなどの民間航空業界に受け入れ始められると、消費量が加速度的に拡大し、用途も多方面に広がっていきました(ちなみに、「ボーイング787」は機体構造の重量比50%が炭素繊維複合材から成ります)。CFRPの開発は非常に難しく、欧米企業の多くが撤退、事業縮小をしていく中で、日本企業は開発に苦しみつつも、市場ニーズへの細やかな対応を粘り強く続けて、シェアを拡大してきました。

 現在、炭素繊維市場の世界シェア50%以上を日本企業3社が握っており、炭素繊維は日本が世界に誇る素材としての地位を確立しています。

終わりに 

 素材について興味を持ってもらえましたか?本稿に上げた例だけではなく、素材は私たちの豊かな生活を支えるベースとなっています。そして、私たちが抱える社会課題解決のために大きな役割を期待されているものでも有ります。

 MI-6は素材を生業とする素材産業の抱える課題をMIというソリューションで支援しています。一緒に素材産業という窓を通して社会イノベーションを起こしていきませんか。

 同じ思いを持つ方々からのコメント・コンタクトをいつでも歓迎しております!最後までお読み頂き有難う御座いました。

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