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読書ノート:ファンダメンタル認知言語学(第15章 まとめ)(著:野村 益寛)

はじめに

認知言語学の本を、LLMと伴走しながら読み進めるシリーズ(13/X)。章ごとにまとめた内容を参考に、設定した「課題」に回答させている。

追加質問で、いろいろまとめについて質問したが、なかなかわかりやすい図は出なかった。最後に記号言語システム構築シミュレータを作ってもらったが、意味不明であった。(涙)

追記:気を取り直して、冒頭の認知言語学の基調をなす言語観についての質問にはそれなりにいい感じで答えてきた。

画は、Imagen3
Factory woman rolls up her sleeves with her bicep , big machines behind her ; Russia's Propaganda Posters style


「課題」の設定

認知言語学がどこまで進んだのが、10年前の古いテキストだけど、これってLLMと伴走して読むとどうなるか?みたいに、すこしインタラクティブ読書っぽくやってみた。

知りたいこと、明らかにしたいこととしては、まず浅いレベルでは、LLMが世界モデルを具現するというか、人間の認知の世界でいわゆる身体性みたいなものを模擬できて、よって認知言語学に現れるメタファーがLLMに組み込まれており、メタファーの写像とかが、LLMで代替できることを知りたい。

さらに、少し深堀りして、仮に、身体と世界との相互作用を通じて、自分の中で「内部の世界」が形作られ、そのとき、言葉の役割が大きいのであるとすると。では、いったん言葉で切り取られて構築された、内部世界が、どのような要因により豊かな精神世界を構築してゆくのか?、また逆に、どのような要因により、例えば何らかの偏り(例えば進歩とか、上昇とか、不足とか)が生じ、困ったことになるのか?、世界を言葉で切り取り分るってのは、どうしてそれが腹落ちあるいは定着するのか、そして前出、ネガティブフィードバック、ポジティブフィードバックを含めて、ひとつのシステムの仕組みとして明らかにしたい。

15章 まとめ

認知言語学は、認知と言語の関係について、<認知システムとしての言語>と<認知能力の反映としての言語>という2つの考え方に立つ。本章ではこれらの認知言語学の基調をなす言語観を振り返り、まとめる。

15章イントロより

1.認知システムとしての言語

現前のものが<意味>として立ち現れる際、その立ち現れにはふつうことばが伴う。「<意味>として立ち現れることを可能にする心の動き」を「認知」と呼ぶなら、人間の場合、言語が認知システムの一翼を担っていると言える。この認知システムの一翼としての言語が、形態素から文レベルまで、様々な記号から成り立つことを本書では見てきた。ここで「記号」とは、形と意味の慣習的な結びつきを指す。さて、この記号の体系としての言語は、次の図ように、抽象度と複合度の2つの軸で記述することができる。

図1 記号の体系としての言語

縦軸は、抽象度。上に行くほど記号の意味および音形が抽象的になる。横軸は記号の複合度。右へいくほど、複合度が高まる。伝統的に「語彙」と「文法」と呼ばれてきたものは。縦軸の抽象度によって区別され、上半分が文法、下半分が語彙に相当する。

語彙のうち、右の部分が形態素に相当。形態素は意味を持つ最小単位であり複合度はゼロ。形態素が組み合わさって複合度が増したのが、複合語彙項目である。これは catsのような2つ以上の形態素からなる語や、cat-loverのような複合語、コロケーション、イデオム、ことわざ、引用句、常套句などが含まれる。

文法は語彙から立ち上がる、「文法マーカー」は普通の形態素に比べ、抽象的な意味を表すことから、形態素の上の部分に位置づけられる。さらに形態素および文法マーカーの意味を抽象・一般化して得られるのが「品詞」である。文法マーカーの音形が具体的であるのに対し、品詞の音形は非特定的で抽象的なので、図では、文法マーカーの上に位置づけている。

図で点線で分けられている領域は、領域が明確に二分できないことを表している。とりわけ重要なのは、語彙と文法は峻別できないと考えられる点である。同様に、複合語彙項目と構文の間も明確には二分できない。Gimme a break!は、慣用表現なので複合語彙項目に、SVOOが構文に属するとすると、Give me Oや give O Oは両社の中間に位置する。12章で取り上げた文法化は、語彙から文法が立ち会がある漸進的な発達であり、語彙と文法が記号としての性格を共有し、連続した存在であることの証左となる現象である。

図1のような記号の体系は、言語共同体において長い時間をかけて培われ、共有されてきたものである。自分が帰属する言語共同体の慣習的な捉え方が刻印された記号の体系を身に着けることによって、私たちは(外界の事物であろうと、内界の”思い”であろうと)世界を<意味>としてとらえる認知の営みに携わることが可能となる。その一方、このことは、認知が自分が属する言語共同体の言語によって(ある程度)枠をはめられるということも含意する。

2.認知能力の反映としての言語

1章でふれたように、言語が人間にもともと備わってきた認知能力を基盤にして立ち上がったと考えると説明が付く。

本書で取り上げた、主な認知能力を簡単に振り返ることとする。取り上げた認知能力は以下の(1)~(6)である。

(1)カテゴリー化
(2)捉え方
(3)類推
(4)参照関係
(5)図と地
(6)モノ化

(1)の「カテゴリー化」は、第2章で述べたように、もっとも重要な認知能力の1つである。人間の場合、世界をカテゴリーに分けることは、同時に、言語をカテゴリーに分けることである。その結果、言語のあらゆる側面にカテゴリーを見出すことができる。たとえば、Aさんが「あ、あ、あ」と3回「あ」を発音すると、同じ「あ」としてまとめられる。意味についても同様で、第7章では、多義語の意味同士が、メタファー、メトニミー、シネクドキーなどによって結ばれ、カテゴリーをなすことをみた。また第10章、第11章では、品詞(名詞、他動詞)、文法関係(主語)がプロトタイプを備えたカテゴリーをなすことをみた。さらに文法(構文)がカテゴリーとしてまとめられるプロセスについて第9章1節でみた。

(2)の「類推」は、第4章でみた通り、メタファーの基盤となっている。一方、(4)の「参照点関係」ーきわだった参照点から目標への注意の焦点を移行する能力ーーは第5章で取り上げたメトニミーの基盤になっている。比喩のもう一つのシネクドキーは、カテゴリーの上限関係に基づくもので、(1)のカテゴリー化が基盤にあると言える。こうした認知能力を基盤にしたメタファー、メトミニー、シネクドキーが意味変化(第6章)、多義語(第7章)、さらには文法化(第12章)といった現象の根底にあることについてもみた。

(5)の「図と地」については、第10章で主語の認知的基盤となっていることをみた、また、(6)の「モノ化」は、第10章でみた通り、名詞という品詞の認知的基盤になっている。

このように言語の在り方を、人間にもともと備わっている感覚、知覚、注意、記憶、推論などの認知能力の観点から説明しようとするのが、本書でみてきた認知言語学を特徴づける基本的な考え方である。

LLMによる「課題」への回答

この章のメモから、gpt-4oとClaude 3.5 Sonnetに、「課題」で示した問いに答えてもらった。

gp-4oさんの回答

言語は、認知システムとしての役割を果たし、形態素から文のレベルまでの記号体系を介して人間の内部世界を形作る。この内部世界は、個々の言語共同体で長時間かけて培われた慣習的な捉え方が刻印された言語の記号体系を身につけることで、認知活動に参加できるようになる。言語のカテゴリー化、類推、参照関係、図と地、モノ化などの認知能力が内部世界の広がりに寄与する一方、偏った情報や経験の蓄積が進歩や不足といった偏りを生じさせる可能性がある。言語を通じて世界を切り取るプロセスは、ポジティブフィードバックやネガティブフィードバックを含むシステム的な仕組みを持ち、その結果として得られた理解が腹落ちし定着すると言える。

gp-4o,2024.9.12

Claude 3.5 Sonnetさんの回答

言語と認知の相互作用による内部世界の構築と発展は、複雑で多層的なプロセスです。言葉を通じて切り取られた世界は、個人の経験、感情、そして社会文化的文脈との絶え間ない相互作用を通じて豊かさを増していきます。この過程では、新たな概念の獲得、既存の概念の再構成、そして異なる概念間の関連付けが行われ、より複雑で洗練された内部世界が形成されます。一方で、固定観念や偏った情報入力、限られた経験などにより、この内部世界に偏りや歪みが生じる可能性もあります。言葉による世界の理解が「腹落ち」するのは、その理解が個人の既存の知識構造や経験と整合し、感情的にも受け入れられるときです。このシステムは、新しい情報や経験(ポジティブフィードバック)によって拡張され、同時に既存の構造との整合性を保つ機能(ネガティブフィードバック)によって安定化されるという、動的な平衡状態にあると考えられます。

Claude 3.5 Sonnet,2024.9.12

感想

gpt-4oさん、「言語は、認知システムとしての役割を果たし、形態素から文のレベルまでの記号体系を介して人間の内部世界を形作る」、はて?言語が認知システム?。Claude 3.5 Sonnetさん、「言語と認知の相互作用による内部世界の構築と発展」、さらに、「そして社会文化的文脈との絶え間ない相互作用を通じて豊かさを増し」、「より複雑で洗練された内部世界が形成されます」だそうだ、なんか足らないなあ?

勝者:ともに敗者

追加の質問

Claude 3.5 Sonnetさんに、以下の追加質問をしてみた、

これらの6つの認知能力と、メタファー、メトミニー、シネクドキーなどの仕組み、あとはカテゴリーやプロトタイプという3つのサブシステムの間の構成要素の相互作用で認知のシステムが立ちあがる様子をシステム図として表現できるか?

Claude 3.5 Sonnetさんの回答

```mermaid
graph TD
    A[認知システム]
    B1[カテゴリー化]
    B2[捉え方]
    B3[類推]
    B4[参照関係]
    B5[図と地]
    B6[モノ化]
    C[比喩的思考メカニズム]
    D[概念構造化メカニズム]
    
    A --> B1
    A --> B2
    A --> B3
    A --> B4
    A --> B5
    A --> B6
    A --> C
    A --> D
    
    C --> C1[メタファー]
    C --> C2[メトニミー]
    C --> C3[シネクドキー]
    
    D --> D1[カテゴリー]
    D --> D2[プロトタイプ]
    
    B1 -.-> C1
    B1 -.-> C2
    B1 -.-> C3
    B1 -.-> D1
    B1 -.-> D2
    
    B2 -.-> C1
    B2 -.-> C2
    B2 -.-> C3
    B2 -.-> D2
    
    B3 -.-> C1
    B3 -.-> D2
    B3 -.-> B1
    
    B4 -.-> C2
    B4 -.-> D1
    B4 -.-> B5
    
    B5 -.-> D2
    B5 -.-> B2
    B5 -.-> B6
    
    B6 -.-> C1
    B6 -.-> D1
    B6 -.-> B1
    
    C1 -.-> D1
    C1 -.-> D2
    C2 -.-> D1
    C3 -.-> D1
    
    D1 -.-> D2
```

以下の変更と強調点があります:

1. 6つの認知能力(カテゴリー化、捉え方、類推、参照関係、図と地、モノ化)が個別の要素として表現されています。
2. 各認知能力が直接「認知システム」から派生しています。
3. 認知能力間の相互作用も表現されています。例えば:
- 類推はカテゴリー化に影響を与えます。
- 参照関係は図と地の認識に影響します。
- 図と地の認識は捉え方とモノ化に影響を与えます。
4. 各認知能力と比喩的思考メカニズム(メタファー、メトニミー、シネクドキー)および概念構造化メカニズム(カテゴリー、プロトタイプ)との相互作用がより明確に示されています。

この詳細な図は、認知システムの複雑さをより深く表現しています。各認知能力が他の能力や思考メカニズム、概念構造化と密接に関連し合いながら、全体として動的で適応的な認知システムを形成していることがわかります。この相互作用の複雑さが、人間の認知の柔軟性と適応性の源となっています。

Claude 3.5 Sonnet,2024.9.12

感想2

なんか、うまくいかないなあ、「2.認知能力の反映としての言語」を素直に図にしてもらう。

追加の質問2

以下の説明を、図に表してほしい、
<2.認知能力の反映としての言語>の内容

```mermaid
graph TD
    A[認知能力]
    B[言語現象]
    C[比喩的思考]

    A --> A1[カテゴリー化]
    A --> A2[捉え方]
    A --> A3[類推]
    A --> A4[参照関係]
    A --> A5[図と地]
    A --> A6[モノ化]

    B --> B1[音韻]
    B --> B2[意味]
    B --> B3[品詞]
    B --> B4[文法関係]
    B --> B5[構文]
    B --> B6[多義語]
    B --> B7[意味変化]
    B --> B8[文法化]

    C --> C1[メタファー]
    C --> C2[メトニミー]
    C --> C3[シネクドキー]

    A1 --> B1
    A1 --> B2
    A1 --> B3
    A1 --> B4
    A1 --> B5
    A1 --> B6

    A3 --> C1
    A4 --> C2
    A1 --> C3

    A5 --> B4
    A6 --> B3

    C1 --> B6
    C2 --> B6
    C3 --> B6

    C1 --> B7
    C2 --> B7
    C3 --> B7

    C1 --> B8
    C2 --> B8
    C3 --> B8

    A1 -.-> |基盤| C3
    A3 -.-> |基盤| C1
    A4 -.-> |基盤| C2

    B3 -.-> |プロトタイプ| A1
    B4 -.-> |プロトタイプ| A1
```

承知しました。この説明に基づいて、より詳細な図を作成します。この図では、各認知能力の特徴と、それらが言語のさまざまな側面とどのように関連しているかを示します。

この図は以下の関係を示しています:

1. カテゴリー化(A1)は、音韻(B1)、意味(B2)、品詞(B3)、文法関係(B4)、構文(B5)、多義語(B6)など、言語のほぼすべての側面に関連しています。
2. 類推(A3)はメタファー(C1)の基盤となっています。
3. 参照関係(A4)はメトニミー(C2)の基盤となっています。
4. カテゴリー化(A1)はシネクドキー(C3)の基盤となっています。
5. 図と地(A5)は文法関係、特に主語(B4)の認知的基盤となっています。
6. モノ化(A6)は名詞という品詞(B3)の認知的基盤となっています。
7. メタファー、メトニミー、シネクドキーは多義語(B6)、意味変化(B7)、文法化(B8)の基盤となっています。
8. 品詞(B3)と文法関係(B4)は、プロトタイプを備えたカテゴリーとしてカテゴリー化(A1)に関連しています。

この図は、認知能力、言語現象、比喩的思考の複雑な相互関係を視覚化しています。各要素が他の要素とどのように関連し、影響し合っているかを示すことで、言語と認知の密接な関係を理解するのに役立ちます。

Claude 3.5 Sonnet,2024.9.12

感想3

こっちのほうが、素直な図だな。

追加の質問3:言語シミュレータの生成

これらの認知プロセスで、内部の認知システムが言語記号のシステムとして構築される様をシミュレーションしたい。

内部の認知システムが言語記号のシステムとして構築される過程をシミュレーションするモデルを作成しましょう。

Claude 3.5 Sonnet,2024.9.12
言語記号システム構築シミュレータ

このシミュレータは以下のような特徴を持っています:

1. 言語システムの主要な側面(音韻、意味、統語、語用論)を表現しています。
2. 各認知プロセス(カテゴリー化、類推、参照関係、図と地、モノ化)が言語システムの各側面にどのように影響するかを定義しています。
3. 時間の経過とともに、各認知プロセスが言語システムの発展に寄与する様子をシミュレートします。
4. 言語システムの各側面の発展度合いをプログレスバーで視覚化しています。

このシミュレータを使用することで、以下のような洞察が得られます:- 異なる認知プロセスが言語システムの異なる側面にどのように影響するか- 時間の経過とともに言語システムがどのように発展していくか- 各認知プロセスの相対的な重要性さらなる改善点としては:

1. ユーザーが各認知プロセスの影響度を調整できるようにする
2. 言語システムの各側面間の相互作用を組み込む
3. 特定の言語現象(例:メタファーの形成、文法化)をトリガーするイベントを追加する
4. より詳細な説明や理論的背景を提供するこれらの機能を追加することで、より包括的で教育的な言語認知システムのシミュレーションが可能になります。

Claude 3.5 Sonnet, 2024.9.12

感想4

まったく正しいかもどうかわからない、記号言語システム構築シミュレータが爆誕。意味不明。

追加の質問4:認知言語学の基調をなす言語観の両立

結局、<認知システムとしての言語>と<認知能力の反映としての言語>という2つの考え方はどのように両立できるのか?

<認知システムとしての言語>と<認知能力の反映としての言語>という二つの考え方は、実際には相互補完的で、言語の本質を理解する上で両方が不可欠です。言語は確かに認知システムの一部として機能し、私たちの思考や世界理解を構造化しますが、同時に、それは人間の基本的な認知能力(カテゴリー化、図と地の区別、メタファー的思考など)の産物でもあります。この二つの視点は、言語と認知の関係を循環的なプロセスとして捉えることで統合できます。つまり、私たちの認知能力が言語システムを形成し、その言語システムが今度は私たちの認知プロセスを形作るという相互作用的な関係です。例えば、メタファーという認知能力が言語表現を生み出し、その言語表現が私たちの思考や概念形成に影響を与えます。このように、言語は認知能力の反映であると同時に、認知を形成するシステムとしても機能しており、両者は動的な相互作用の中で共進化していると考えることで、これらの見方を統合的に理解できます。

Claude 3.5 Sonnet, 2024.9.12

感想5

「この二つの視点は、言語と認知の関係を循環的なプロセスとして捉えることで統合できます。」、「つまり、私たちの認知能力が言語システムを形成し、その言語システムが今度は私たちの認知プロセスを形作るという相互作用的な関係です。」、言語と認知の相互作用か、いいところまで来たが、Claudeのfree枠を使い切ってしまった。。今日はここまで



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