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いまを生きる

デンマークのこと。
いまを生きる手習い塾

一昨夜から、こちらの連続講座が始まった。
「いまを生きる手習い塾」
20年近くロラン島で生活されているニールセン北村朋子さんがホストを務められる全6回の講座。

参加者は、日本全国から。幅広い年代、多様な背景、興味関心の領域や取り組んでいることも様々。
印象では教育方面の方が多いです。あとはサステナブルやエシカル。みなさんの自己紹介を、ゆっくり拝読しなくては!

私は、7−8月のパイロット版(全4回)に偶然飛び込んだご縁で、デンマークの一端に触れるようになった。
その時に、メディアリテラシー教育がなぜ重要なのかであったり、民主主義国家とは何かということについて、考える機会を得て、胸が重くなりながら講義を聞いていた。

前段

世界一幸せな国デンマーク・・・も、たまたま偶然幸せな国だったということではなく、幸せを定義して、幸せを希求して、時間をかけてひたすら取り組んできた結果だと知り、幸せを支える土台や、世界一の幸せに導いた背景に興味を持つようになった。

現在地を明確にし、行き先を定めて、その間を埋めていくこと。
打ち手を見誤らず、忖度に押し潰されず、淡々と継続すること。検証し、更新し、歩みを止めないこと。
変化に対処する十分な時間。変化を促進する適切な制度。その必要性が十分に理解されていること。
「指示する人」「指示される人」ではなく、運命共同体として二人三脚(a人a+1脚)を続けること。

当たり前と言えば当たり前のことだと思う。でも、言うは易し、行うは難し。
なんと言うか・・・ビジョンを持って、ビジョンを共有して、それに向かって行く。
極めてシンプルなことなのだけれど。
いろんな力学が交錯する中で、一朝一夕にできるものではないのだと、途方もない気持ちになる。

それを実現する土台を育てること。オーガニックな仕組み。教育、福祉、社会保障、行政、予算、制度。
成熟した市民と、成熟した社会。その上に成り立つ、ヘルシーな民主主義。
自分の意見を持つことーそれを組み立てるために情報を集めること、考える頭、語る言葉。

要素に分解すると、果てしないのだけれど。していることは至極マットーなことだ。
それをただ地味に正直にコツコツ積み上げて行くことが、規模の大小問わず、組織(国)の力なのだと思わされる。
目の前の現実に嘔吐しそうになりつつ、自分がその中の一員なのだという自覚を忘れないようにしたい。

様々に散らばる、性質の異なる、無数のファクターを、最適にデザインしていくこと。

0.初回レクチャー(10/13・火)


初回のレクチャーは、「食文化&環境」がテーマ。
前半は、朋子さんの講義。
後半は、レストランのシェフ兼野菜農家のアスカさん(Asger Lünekilde Knudsen)のインタビュー。
Den Grønne Verden(The Green World)

全体の流れは、また別に記事がアップされると思うので、そちらにお任せするとして、
私的に一番印象に残った話題は、若い世代のビーガントレンドが急速に進行しているということと、
国家として「真に健康的な食生活は何か」ということを再考して、それを浸透させようとしているということ。

1. デンマークの食生活の流れ

北欧と言えば、beforeCOVITの話になるが、地産地消、というか、森とか自然を感じるような、(実際、土とか虫とか、盛り付けられていたりする訳で)、五感に訴える、繊細さと野趣が織り混ざった、美しい一皿、という(foodieカットで見た時の話になるが)印象がある。

でも、そういうのは、ごく最近(20年ぐらい)のことだそうで、1960−70年代はフランスを追いかけるような洋食が主流だったり、その次のフェーズ(80年代頃、女性の社会進出が進む頃)には、缶詰や冷凍食品が、そして90年代に入ると半加工品等がどんどん食卓を占めるようになって行ったそうだ。

そんな時に、こんなことじゃダメだと「デンマーク人よ、目を覚ませ!生きたものを食べないと!」とシェフが吠えたのだそうだ。レジェンド的存在、ロックスターのような有名シェフが、各種メディアで啓蒙を開始・継続したとのこと。そんなことが重なって行って、2000年頃にnoma的な食の流れにつながって行ったとのことだった。

インタビューに登場されたアスカさんは、27歳。
家具職人を目指そうとされていた頃、金融危機などが起こって、お父さんがされていた農園を一緒にすることに決めたそうだ。そのお父さんも、デンマークの農業が産業化されていく中で「自分の食べたい野菜を作ってくれなくなってきた」ということで、自分で作ることにしたそうだ。農園で作ったものを売り、レストランでも使う。作りすぎない、ダメにしないように徹底。
酢漬けや発酵等、保存食の技も使うし、販売所でのお客さんとのコミュニケーションでは、乾燥したりダメにしそうな野菜をいかに工夫して調理/保存するのか等の情報交換も生まれたりするとのことだ。良い景色。

また、COVITをきっかけに、近所のスーパーには、それまで「どこか」から来ていたものが届かなくなっていったけれど、同時に、地元で賄って行けることにもみんな徐々に気付いて行ったそうな。

2. Tatoo or Not Tatoo?


「食いしん坊のための気候変動適応ヒント22」というのも教えてもらった。
じゃがいも7変化とか、積極的に豆を使おうとか、いろいろ工夫して、肉偏重の食生活からできるだけ苦しくなく、環境に優しい在り方に移行していくガイドライン的なもの。
音頭を取っているのは、気候エネルギー省と環境食料省。省庁の割り方なんて、考えてみたこともなかったけれど、これを見ると、すごく大事なのだと思った。

国を挙げて食生活を変えていこうとするという話では・・・
これまでも「肉を食べたら野菜も食べよう」ということ自体は普及していて、バランスという観点ではバランスされていたのかもしれない。
でも、発想が「肉」基準で、それをバランスさせるだけの「野菜」を摂取するので、全体として食べ過ぎ/カロリーオーバー。
なので、「野菜がメインで、肉は付け合わせ程度・・・と発想を変えよう」とか、「肉は肉だけで調理するのではなく、野菜と合わせて嵩を増そう/満足感をアップさせよう/食べ過ぎを防ごう」とか、「そもそもそんなに食べる必要があるのか」とか、そういうことに、みんなで取り組んでいるらしい。
メディアでも、そういう物事をどんどん取り上げたりするし、地域でも、ディベートや情報交換会が盛んに行われているそうで、こういう政策について「知らない」という国民は、まずいない、というぐらい指針が行動に落とし込める形で、浸透促進されているそうだ。すごい。

お肉を食べない日なんてありえないよ・・・というMeat Loverには、「じゃ、肉・命って、腕にタトゥー入れるのと、止める(減らす)のと、どっちにする?」なんていうやり取りがあったりするそうだ。
で、「取り敢えず、ヘナで様子見・・・」とか。私は、このエピソードがとても好きだ。

自分一人の身体の具合で、塩分や糖分を調整せざるを得ない、ということもあろう。
でも、もう、今の場合「一人一人が食生活を、(地球存続という観点から)見直さないと!」な感じな訳で、大人が真剣に、でも冗談も交えながら、お互いに励まし合って、何とか頑張っていこうとしている様子を象徴しているように思えて。(実際、結構、本気出して取り組んだ方が良い局面だと思うから。)

「臭いものにフタ、見て見ぬ振り、自分だけ助かれば」みたいな在り方でなく、「全員野球、同じ船に乗った仲間」という感じで、取り組んでいるのが、いいなぁと思う。

・・・って、人ごとではなくて、いまここ、の出来事!私も、観察者ではなく、渦中の一人。
この違いは、何?どうしたらいいの?

3. デンマークのエネルギー政策


ビーガン・ベジタリアン・フレキシタリアンの割合は、デンマーク全体で14%、若者(18−34歳)で23%。
若者に限れば、72%が減肉に移行したい意向だそうな。
理由は、動物倫理/持続可能/健康/気候環境、いろいろある。

私自身は、ご縁で、人生の一時期、ビーガンカフェのキッチンをしばらくお手伝いさせてもらったことがある。
その時の先輩・同僚には、本当に感謝していて、いろんなことを教えてもらった。
ビーガンに足を踏み入れるのは、動物倫理、健康側面、そして私は、たまたまだったけれど、調べていくうちに、環境負荷が一番しっくりきた。

ビーガンで調理する方法もたくさん教えてもらったし、当時同居していたパートナーも肉食へのこだわりがローだったので、週一(たぶん木曜)はノーミートにしていた。

ちなみに、デンマークのエネルギー政策、経年での目標設定は

〜2020;全電力消費の50%を風力で
〜2030;石炭火力全廃、灯油ボイラーも段階的廃止
〜2035;電力、熱供給を再エネに
〜2050;電力・熱・産業・輸送、全てを再エネで

「日本のエネルギー政策」で検索してみました。たいへん恥ずかしい話ですが、生まれて初めてです。

経済産業省/資源エネルギー庁
新しくなった「エネルギー基本計画」、2050年に向けたエネルギー政策とは?(2018/07/03)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energykihonkeikaku.html
スマートジャパン(2020/08/03)
日本のエネルギー政策に転機の兆し、再エネ・ソーラーシェアリングはどうなるのか
https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/2008/03/news043.html
EnergyShiftNAVI(2020/07/10)
2020年、日本におけるエネルギー問題
https://bit.ly/3lUdgop


内容の良し悪しは、ここでは保留させていただくことと(無知過ぎて、コメントできない)、参照元も一番手近な検索結果を置いてしまっているこということを、お断りさせてください。
何にせよ、デンマークを贔屓するように聞こえると思うが(実際そうだけど)、明快な言葉で書かれているのが、いいなと思う。10年後(自分が50)、15年後(55)、30年後(70)。あー、自分は、こんな世界を目指すのかと、少なくとも分かる。
私は子供がいないけれど、友達の子供たちの顔や、自分の若い友達たちの顔を思い浮かべて、世界を思い描いてみた。

4.私は、どうするのか(自分的ActionPlanの一歩前)

私は、自分が、「真剣に取り組むべき場面」で、すごく真面目に正論で真っ向勝負で取り組みがちな気質なのは知っている。
だから、そういう、遊びとか余裕とか和やかさとか、ものすごく意識して織り込まないといけないと意識しているし、
一人でいるから目立つものも、みんなでいれば様子が薄まる(一人一人の個性がうまく調和する)と今は思うので、
そういう雰囲気に演出する(嘘や加工は0ミリ。単なる見せ方の違い)ことも、とても大事なことだと思っている。

話は飛んでばかりなのだが、友達がこの本のことを教えてくれた。
The Good Ancestor / Roman Krznaric

私たちは、自分に自分の子供がいようといまいと、もれなく、未来の人たちにとっての先祖に当たるわけで。
どういう振る舞い、どういう行動・選択をすることが、「Good Ancestorになるのか」ということを想像してみることが必要だ。という話をしていた。

本を教えてもらったときはあんまりピンとこなかったけれど、話を聞くちょっと前に、これもお世話になっている方のご縁で、
チェンジ・ザ・ドリーム・シンポジウム というワークショップに参加した(Presented by パチャママ・アライアンス、セブンジェネレーションズ)、
そのときのワークの一つの景色が結びついた。

実際のワークとはズレている可能性があります。私が記憶しているワーク。

50年とか先の未来を想像する。
平和な草原に、子供たちがじゃれ合って集っている。
そこに、年を重ねた自分がいる。(ギリギリ生きているかも。)
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「ねぇ、今、地球/自分たちのいる場所/自分たちの暮らし、はこんなに幸せで豊かだよ。
でも、50年前は、たいへんなことがあったんでしょ?どんなだったの?何をしたの?
その冒険、聞かせて〜!」と、話をせがむ、子供たちに囲まれている、自分。

今の私・・・語る話が、あるのかなぁ。
瞼の裏に浮かぶ子供たちのキラキラとした瞳に、涙が溢れて溢れて、仕方がなかったのだ。


5. 輪が重なっていくこと


「デンマーク関連の連続講座を受講し始めた」と人に話したら、
「ぜひ知らせたい人がいる」と言って、繋いでもらったご縁がある。

私の、この、とりとめのない、活動が、結ぶご縁もあるのだ、と。
うれしく思った出来事。

私は、これまで、書くこと(表現すること)に苦手意識があったけれど、思い描く、接点が増す形に、移行して行けたらいいなぁと思う。

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火曜の夜ーレクチャー
10/13;食文化&環境
11/10;メディア&政治
12/8;教育&家族


日曜の夜ーワーク
10/25;立ち止まり、心の声に向き合う
11/22;呼吸して、新しい知識や美しさに出会う
12/20;整えて、大切にしたい未来を描く

前回の学び

・自分の内側の声に気づき捉え方を学ぶ
・言語化する
・日本語と向き合う
・自分を軸にして話す

関連して気になっていること;

デンマークのLGBTの69%が職場でカミングアウト、78%が職場での幸福度が高いと感じているそうです
https://www.outjapan.co.jp/lgbtcolumn_news/news/2020/6/20.html
ベルギーでトランスジェンダーの副首相誕生 国内では誰も騒がない、素晴らしい理由とは
https://news.yahoo.co.jp/articles/ef832b7c1474c81ea6d72c37c9afcabe395f0e82

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