見出し画像

2021 やわらか日記 過去ログ6

2021/05/27 網の目の話

 こんにちは。白です。
 今回は精神の網の目のお話です。

 以前私はスガ シカオさんの話を雑文に書きました。
 スガさんが、自分の本領を発揮した楽曲よりも明るい曲のほうが売れて鬱になっていた。でもスガさんの真髄は精神的にさびれた人間にしかわからないところにあって、精神がさびれた人間は少数派なのだから、そんなことで鬱になってもしょうがない。そんなお話をわりと偉そうに書いたのでした。

 「『繊細さん』の本」のなかて私が納得した部分は、繊細でない人は繊細さんが気になる部分がそもそもわからないということでした。
 精神の網の目が1センチある人は、1ミリの網の目の人よりもいろいろなことをザーザーと流してしまえるのです。
 私はそれを、人生が割りきれる人と割り切れない人の違いだと思っていました。人生が美しく割り切れる人と、小数点が出てきれいに割り切れない人の違いだろう、と。
 繊細さんはいろいろなものが網に引っかかるので、精神が細やかであったり、些細なことにつまずいたりもする。そういうことなのかなと思うのです。

 スガさんも精神の網の目が細かい人なのでしょう。そしてスガさんの曲の真髄がわかる人もやはり網の目が細かく繊細な人だと思います。しかし精神の網の目が粗い人のほうが世の中には多いから、明るい曲が売れてしまう。
 私は自分を精神の網の目がそこそこ細かいほうだと思うし、BL界隈にいる方々はセンシティブな人が多いと思っています。いろいろ引っかかる部分が多いですが、それなりに頑張っていきましょうと思うのです。

2021/05/30 Kindleの書籍を出しました

 昨日自作のBL小説をAmazon Kindleで出版しました。読み放題対象です。
 全年齢対象のBL小説の短編集です。BLとは男性同士の恋愛ものですが、友情もののブロマンスも入っています。Web再録に書き下ろしを一編収録しました。よろしければ読んでやってくださいね。

Kind of Baby Blue
https://www.amazon.co.jp/dp/B0964MRVJG/

 イラストが伊藤モネ様、校正が神辺茉莉花様です。
 あと「Great Escape」の内容について如月ふあ様にご教授いただきました。
 ご協力いただいてありがとうございました。

 この作品はライトBLのレーベル『天色文庫』に参加させていただきました。
 レーベル内に「シエル」と「アズール」という区分があって、この作品は一部に性的な行為を示唆する文章が入っているので、「アズール」になっています。
 未成年の方でもBLを楽しめるように作られたレーベルです。表紙に『天色文庫』のマークを入れさせていただきました。
 主催者の楢川えりか様に心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 一番古い話が2003年の「水辺」、新しい話が2021年の「Great Escape」です。
 「水辺」は過去にトラウマがあってうまく生きられないゲイの青年とその親友の友情のお話です。このお話はもともと『物書きさんに100のお題』のシリーズものの番外編です。『100のお話』で現在本編をやっています。冬木くんのお話と私は呼んでいますが、思えば長年私の頭のなかにあるお話です。

 2021年の「Great Escape」は書き下ろしで、心のなかの怪物と戦う少年のお話です。
 年代が新しいわりには一番古きよきJUNEっぽいお話で、書いた当初は「変な話だなあ」と思っておりました。オーウェルの「1984年」のビッグ・ブラザーみたいなものが出てきますが、話自体は似ても似つかぬものです。

 一番好きなのは2020年に書いた「神様に忘れられた楽園」です。これは伊藤モネさんとTwitterで絵と小説を交換して書くという企画をやったときの作品で、モネさんの絵に私があとで小説をつけました。
 モネさんの絵がすごくピュアな感じだったので、「結婚だ!」と勢いこんで書きました。
 現在この話は本編をキャラ文芸の公募に出そうと思ってお蔵入りにしているのですが、今年書き上げて来年出版したいです。

2021/05/31 Kindle書籍の出し方

 こんにちは。白です。
 今回はKindle書籍の出し方のお話です。

 先日Amazon KindleでBL小説(全年齢)のKindleを出版させていただきました。
 Kindleの作り方は同人誌よりは難しくないです。私は以前BL作家さんがKindleの出版についてまとめた記事を参考にしているのですが、最近そのページにアクセスしたら、ページがなくなっていました。なので具体的なお名前は上げられないのですが、記事を出していただいてありがとうございましたとお礼を述べておきます。
 私は一太郎でKindleのmobiファイルを作っていたのですが、六月からAmazonでmobiは投稿できなくなるそうです。EPUBになるのかな……と思っています。一太郎はEPUBも作れるので、次回Kindleを作るときにまた調べておこうと思います。

 Kindleを作るさいには、原稿がきちんと整っているかどうかが重要です。
 Webに投稿した原稿の場合、余計な改行とか、約物(文字・数字以外の記号など)が縦書き表記されるか、そういうことを直す手間がかかります。地味な作業に意外と時間がかかる印象です。
 今回私は神辺茉莉花様に校正をしていただいて、約物やアルファベットの全角半角なども直してあったので、Kindleの製作自体はスムーズにいきました。
 Kindleの出版サービスは有償でココナラでやっている方がいらっしゃるので、初心者の方はそちらにお願いしてもいいかもしれません。表紙も込みで作ってくださるので、安心してお願いできます。

2021/06/06 文化が消える話

 こんにちは。白です。
 今回は文化が消えるというお話です。

 行きつけの図書館で、私は十数年前に借りた本をふたたび借りようと蔵書検索をしました。
「あ……ない」
 その本は図書館の蔵書からなくなっていました。私はつねづね「何で図書館って本が溢れないんだろう」と思っていましたが、その謎が解けました。古くて借りられなくなった本を廃棄しているんですね。それを本の除籍といいます。
 除籍された本は無償で譲渡されるか、廃棄処分になるそうです。除籍にあたる罰則がないので、古本屋さんやネットオークションなどに流通することもあるそうです。
 以前BL小説が図書館で大量に所蔵されて問題になったことがあるのですが、除籍になる本は時代遅れになった本や性的な描写がある本とのことなので、それらのBL小説は今は除籍されたかもしれません。

 レンタルショップでも古くなったDVDやCDが売られていることがあります。
 基本的に私は映像が苦手で、観るのは編集の感覚が合いやすい名画が多いです。
 私が行きつけのレンタルショップに以前借りたDVDを探しに行くと、「ない」ということが多くなりました。
 私がレンタルショップから消えているなあと実感するのは、邦画・洋画の単館ロードショー系の作品です。ハリウッド映画のように派手ではありませんが、人々のドラマで魅せる作品です。そういう映画がどんどん街から消えていくような気がします。文化が消えていくようでちょっと寂しいです。

 Twitterのほうでも触れましたが、私は三十年前の幻の作家さんの作品を紹介したり、二十年前のやおい論のサイトの文章を紹介したりしています。
 消えてしまうには惜しい作品・サイトを自分が管理できるあいだは残しておきたいと思っています。
 作家さんとは連絡が取れず、発表するにあたって許可も取れていない状態なのですが、後世に残しておきたい作品群であるため、敢えて公開を続けています。
 自分が細々と繋いでいるものが、誰かの琴線に触れたら嬉しいです。

2021/06/10 フリーライダー

 すこし前にTwitterで、LGBT差別を法律で禁止する署名を行っていたことがありました。
 Twitterでそれに賛同したフォロワーさんが、「BLのコミュニティなのに、この話題に触れた人がいなかった」とツイートしていました。
 私はLGBT当事者ですが、この署名には賛同しないため、Twitterでも触れませんでした。

 現在LGBTをめぐる差別の問題があることは認識しています。差別が解消される努力をするべきだし、声を挙げていくべきだということも理解しています。
 が、LGBT差別を法律で規制することには反対です。法整備に至るまでのあいだに差別解消を訴える手段がまだあるだろうと思っています。
 思想信条を法律で縛ろうとしても、人の心のなかまでは規制できません。
 一度このような法律ができたら、いろいろな規制へ拡大解釈される恐れもあります。
 そのような理由で私はLGBT当事者でありながらLGBT差別規制の法整備には賛同しませんでした。

 私はアセクシュアル(他人に性的欲求を持たない人)ではありますが、LGBTであることを全面的にカムアウトしていません。
 中途半端にクローゼットにいる身としては、ポリティカル・コレクトネスを声高に主張する人々が何となく苦手です。
 それは私がフェミニズム的な発言をしながらもフェミニストと名乗るのをためらうのと同じです。
 おそらくLGBTでもフェミニストでも、原理主義的な言動が苦手なのだろうと思います。

 LGBTの活動家から見れば、私は「フリーライダー(ただ乗りする人)」です。
 フリーライダーとは経済学の用語です。経済的・時間的・労力的なコスト(費用)を支払わずに、社会政治システムの恩恵だけを受け取ろうとする人のことを指します。

 LGBTでもカムアウトしたくない人、グレーゾーンにいたい人はいると思うんですよね。
 そういう人々が安心してカムアウトできる、というか、カムアウトしなくてもふつうに認められる社会が来ればいいと思います。
 が、その手段を法整備で整えるのは拙速な行為ではないでしょうか。
 私は自分にできる、責任が取れる範囲で、差別解消に向けて行動していきたいと思います。

現在サポートは受け付けておりませんが、プロフィール欄のリンクから小説や雑文の同人誌(KDP)がお買い求めいただけます。よろしくお願いいたします。