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シェルター(避難所)ではなくベース(基地)

先週,共立女子大学のリーダーシップ開発の研究会で講演してきました.いろいろな質問をいただいたなかで,ひとつ「女子大でリーダーシップ開発を行うことの意義はどこにあるか」という重要な問いかけがあり,その場では「女子大生が外に出かけていくことを前提に,安心して帰ってこられる場所としてリーダーシップ開発の教室を位置づけられるのではないか」という趣旨の回答をしました.その後もう少し考えてみて「シェルターではなくベース」という表現を思いついたのでここに書いておきます.

ジョージ・コーリーザー(IMD教授・コンサルタント,心理学出身)らが『セキュア・ベース・リーダーシップ』という本を書いています(プレジデント社,2018年).これはまだ「理論」と言えるほどに多くの研究者の賛同を得ていないので,その意味で「持論」のレベルなのかもしれませんが,しかし示唆に富んでいます.安全な基地(セキュア・ベース)を持っていると,危険なツアーやミッションにも出かけて行きやすいことが実務の世界で知られています(探検や登山も然り,戦地も然り).これは一つには補給や休息のためです.それ以外に,直近のツアーやミッションの振り返りと作戦会議の機会を提供できることからきています.これは近年わが国でも頻繁に言われた「心理的安全性」の提供でもあります.コーリーザーは物理的な「安全基地」があることに限らず,心理的に安全な居場所が重要で,そうした場所はリーダーシップがあって初めて構築され維持されるのだと強調しているように読めます.これをさらに敷衍すると,「安全基地」の存在意義は,危険に出会ったときに逃げ帰るシェルターや退避壕であることにとどまらず,安全基地において補給や休息や作戦会議を行うことを通じて,安全基地がない場合には出かけていく気になれないような(一見)危険なツアーやミッションにも出かけていきやすくなって,ヨリ高い成果を目指せるようになることです.

これを女子大の意義について言い換えると,女性だけの場所に一つ安全基地を持つことによって,よりハードな場所にも再び出かけていきやすくなっていればおおいに意義があることになります.それには女子大においては安全基地の形成と維持がいっそう容易・迅速で,たとえば出かける前と帰ってきたときに基地に居て迎えてくれるメンバーが異なっていても,出かける前と同様の共通言語とカルチャー(心理的安全性と学習を促すリーダーシップ)が根付いているといったことでしょう.確かにこれはリーダーシップ開発によって組織開発も進み,文化といいうるほどに定着すればおおいにありうることと思われます.それは,いわば進化した女子会が随時開催されている状態なのかもしれません.



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