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朝ふる雨
朝降る雨っていいもんである。
サラリーマン時代はとんでもない。
革靴履いて出て行こうってのに、腹立たしいばかりの雨だった。
雨音で目覚め窓を開けて明け切らない朝をしばらく見やる。
今日一日を考えながらお湯を沸かしてコーヒーを入れる準備をする。
いつもの作業、朝のルーチンである。
そこに母、兄の心配が以前はあった。
母はこの世から去り、兄はまだ愛知に残るが続くコロナでいまだに会おうにも会えない。
歳を重ねるのと共に毎朝の考えるルーチンは減り、違うルーチンが加わる。
でも、もうこれまで以上に重いルーチンは加わってこないように思う。
自身や家族の新たな病気などが重いルーチンになりそうなものだが、多分そうは感じはしない。
そんなのが歳を取ったってことだと思う。
若い頃のはっきりしない不安感、行き着く先の絶望感てものが薄らぐのである。
朝降る雨は私の心を落ち着けてくれる。
過去のくだらぬ私の感傷を少しずつ洗い流してくれる。
朝降る雨が私は好きである。
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