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飲み屋に恋する男のはなし

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酒抜きで語れぬ私の人生、そのほんの一部をお聞きください、、
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#昭和

恋のおわりは

今日から私が以前、恋の病に取り憑かれたように始めた『立ち飲み屋』の話を綴りたく思います。 多くのお客さまに足を運んでいただきました。 多くの友人も日本中から集まってきてくれました。 やんごとなき事情で再び方向転換をするまでの一年半の時間をともに過ごしていただいた皆さんとのお付き合いの話が中心となります。 今日は簡単に店の周囲の雰囲気をご理解いただければと思います。 私は大阪の人間ではありません。大阪は人に優しい街だと思います。 その中でもこの『阿倍野』って街が、素敵に優しい

熱燗が好きなはなし

弥生三月も半ば、熱燗の時期でもないだろうが、と思われるかも知れない。 しかし、熱燗に季節は無い、四季折々に熱燗の味があり、人生がある。 50歳半ばを過ぎて、サラリーマンを辞めて気まぐれに飲み屋を始めた。 サラリーマンにはほとほと疲れた。 つくづく向かぬと三十年間続けて答えが出せた。 大阪は阿部野の飲み屋街の場末、古いビルの一階の端っこに遠慮がちに出した店は立ち飲み屋、自分で言うのもなんだが落ち着いた雰囲気の自分でも客になりたい店であった。 私が好きな奈良の美味い酒

酒を片手に考えた

ゼネコンの営業マンだった私は毎朝『日経新聞』を片手に満員電車に飛び乗って会社に向かう生活を送っていた。 普通のサラリーマンを辞めた今も日経が気になる、一年ほど前から電子版に変えたが、、 3月11日で東日本大震災から10年を迎える、日経がこれまで行われてきたインフラ整備の検証のような記事を書いていた。 これまで37兆円が投じられ、被災の中心となった岩手、宮城、福島三県での県内総生産は全国平均より高くなった。 まだ原発の大きな問題が残っているものの、インフラ的にはかなりの