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日々考えることのはなし

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毎日考える何か、何かが引き金になり考える何かを綴ってみました
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2023年12月の記事一覧

冬の雨を降らせていた

まだ明けきらぬ雨の朝、一人街を歩み行く。 街路灯は濡れた歩道を照らし、物音は雨粒の独り言のみである。 人のおらぬ街を歩み、降る雨に生を感じさせられる。 冷たくない冬の雨、もうすぐクリスマスがやって来るというのに冷たくない雨に頬をやる。 遠い遠いその昔、まだ私が空気中のチリだった頃、冬の雨は神様が降らしていた。 冬の雨の神様は人間たちにゆっくり休む時間を与えていた。 春まく種は陽を浴びた肥沃な大地で芽吹き、強い夏の雨はその芽を厳しく強く育てた。 花が咲き実を結び心地よい乾いた秋

自然のいのち

兄の終の住処である田原市は愛知県の南端、東三河地方に位置する温暖な気候の土地である。 愛知県の西方には伊勢湾・三河湾がある。 そこには知多半島、渥美半島と二本の半島が突き出しそのどちらもが風光明媚で人間の生きやすい場所である。 私はその渥美半島の根元にある豊橋市で小学4年から中学3年までを過ごした。 豊橋市の私の住まいから渥美半島の先端にある伊良湖岬まで往復がちょうど100キロほどであった。 当時の私は家にいるのが嫌で、日曜日には必ず自転車でこの渥美半島一周かこの半島のどこ

猫は私の心のコック(栓)

猫は私の心のコックかも知れません。 そして私の心から流れ出るのは不思議と猫の思い出ばかりじゃないのです。 毎日のようにハガキを誰かに書いています。他界した母にはアルツハイマーの進行が少しでも遅れてくれればと思い週に1枚か2枚、15年以上書き続け1,000枚以上になっていました。私には変な癖があって、書き出すと必ず通しで番号を書いていきます。だから枚数はだいたい間違っていないと思います。兄には今500枚くらいになりました。官製ハガキの時もありますが、たいていは街で見つけた私が

師走の百貨店を歩く

クリスマスなんて柄じゃないんだが、そんな匂いに誘われて久しぶりに梅田の阪急百貨店に寄ってみた。 年内に兄貴の顔を見に行って今年を終わろうと思い大阪駅前ビルの地下のディスカウントチケット屋まで行った帰りである。 豊橋までの新幹線の安売りチケットを買い、地上に出ると年末ジャンボの臨時販売所が軒を並べてわさわさと人が群がって宝くじを買っていた。今年もやって来た師走を感じ、久しぶりに目の前にある阪急百貨店に寄ってみようかと思ったのである。 阪急百貨店、阪急うめだ本店、多くの人から建て

朝起きて思うこと

気がつけば12月であった。 早いものである。毎年同じことを考えているなぁ、と思う。特に感慨は無く、ただ忙しさに追われ時々自分を失いながら今年もここまでやって来てしまったと思う。 そしてこの12月がいつもリセットにもなってくれていたように思う。日が改まり、月が改まり、年が改まる。同じ時間が過ぎて行くだけなのになぜかこの12月は特別である。何かが変わるわけじゃない。ただいつもと同じように時間が過ぎて行くだけなのにこの12月に気持ちは改まっていく。 私たちは四季とともに生き、その周