2018年7月末、地元に戻ってきて長野の街をぶらりしていた。

就職で香川に行って以来、久々に長野に戻って長野県の主要駅である長野駅を利用しなくもないところに住んでいるわりに駅周辺について、どんなところがあるのかとか、面白いものがあるのかとか、知り合いにきかれた時に「結構困るんだよな、、、」と思いまして、知っているようであんまり知らない街、長野をぶらりして来ました。

歩いたのは、長野駅から善光寺まで。

まず、出発地点の長野駅。北陸新幹線開通に伴い手が加えられ、MIDORIという駅ビルがスタバをおっきくしたみたいな外観になり、立派になっていています。僕の知っていた長野駅と違っていてこの時点で結構な浦島太郎感にさいなまれる。 ここで一番ナイスと思うのは、二階に長野の地酒が飲めるスペースができていること。地酒といっても、長野県は色んなお酒を作っているところが多く、日本酒はもちろん、ビールにワイン各種飲めるようになっています。暑い時期なので冷たい泡の出るやつが美味しい。 MIDORIと言えばのパチンコ屋の裏を抜ける、カツアゲされそうな通路が残っているのに少し安心した。

駅から善光寺を目指そうと思うと、参道となるメインストリートを行くのが普通といえば普通なんですが、一本横にそれたあたりに良い感じの店が増えているらしいとのことでちょっとずれながら歩を進めることに。
確かに小洒落たカフェ的なところが多く、オシャな新刊を扱う本屋もあった。夜から開く飲食店も多そうで、夜に来ても面白いかもしれないが、過去に通っていたり見知ったであろう場所なのに知らない感じが、浦島太郎感に拍車をかける。ジビエを取り扱った店の名前が「罠」で、『注文の多い料理店』みたいに最後は食べられる側になって、血抜きとかされたら嫌だなと思いながら、さらに歩を進める。
こんなところに川あったっけ? とか思ったり、なんて長野らしからぬ小道と思ってすすん でみるとその先には特に何もない。けれど、ここは小学生の時か高校生の時に同じような興味本位で入って行った気もする。精神年齢が変わっていないことについては、浦島太郎なん だから仕方がない。
そこから少しすすんだところに鰻屋発見。ここは昔、祖母が長野に来た時に家族で行った気がする。確証はないけど。昨晩テレビで見てからうなぎが食べたいので、いつか来たいと思う。暖簾がダサくなっている気がする。

さらにほんの少し進んだところに、古いパン屋があった。古い。店からケースからサンド イッチの形式からなにかななになまで、古い。これはかわいいし、かっこいいし、名店ぽい。小腹も空いた。パンに洋菓子に羊羹も売っている。シベリアや焼きそばパン的な日本にしかない惣菜パンはこういうところから生まれたのだろうなと思う。 不思議そうに店内を見回す僕に、店員のおばさまが100年前からやっている店であることを 教えてくれた。食べ歩きしやすそうなアップルケーキを購入。美味しい。僕の好きな洋菓子 ランキングの上位に食い込んで来た。牛乳が飲みたくなる。
そういえばと思い、幼い頃に連れて行ってもらった映画館に行くため、善光寺までの参道を横切りルート変更。映画館はまだあった。古いままの外観に痺れた。発券所が渋い。映画はみなかったけれど、ガラスの扉から透けて見えた売店もそのままだった。幼少期、映画館といえば『とんがりコーン』が売っていたけれど、それはポップコーンからのコーンということで、そういうことなのかなと思った。持参のせんべいをかじるおじさまもいたので、もはや音の問題ではなかったんだろう。

善光寺に近づくにつれて、坂がきつくなってくる。
汗を流しながら坂を上る途中に鹿鳴館がある。長野にも鹿鳴館があるのをご存知だろうか。『タイムマシンにお願い』を脳内で流しながら、ここで心を躍らせた人たちがこれまでにどれくらいいるだろうかと思いをはせていると、今っぽくないサイジングのスーツの怖そうな人と黒のベストに赤い複雑な柄のネクタイを締めたを着た人がでてきた。鹿鳴館は現役のようである。

こんな時だから行ってみようと思い、前職の昼休みによく読んでいたサイトの編集をやっていた人が善光寺近くで始めた店に寄ってみる。欲しかった漫画と雑誌を購入。店番をしていた人が話しかけて来てくれて、共通の知り合いが何人かいることがわかる。久々に口にした名前もあり、微妙に浦島太郎感を引きずる。

近くをぶらついていると、オブセ牛乳の文字が目に入って来た。牛乳が飲める。 旅館を改装して作られた【大福屋】というお店で、喫茶と古本の店だが、昼だけはとんかつ 屋になり、現在はオブセ牛乳フェアを開催中。 一階で古本を眺めていると、香川でお世話になった予約制の古本屋【なタ書】のチラシと店 主の藤井さんについて書かれた漫画の『FULL本屋』を発見。長野で見かけるとは思わな かった。藤井さんは花見の時に「俺にかけっこで勝てたら千円やる」と言い始め、翌年の花見では「俺に相撲で勝てたら千円やる」と言って若者にぼこぼこにされていた。 二階の喫茶スペースに上がり、牛乳をいただく。オブセ牛乳グッズも売られていて、ぐっと 来たけどこの日は我慢した。

「なタ書」のフライヤーと『FULL本屋』発見の件をツィートすると、藤井さんにオブセ牛 乳の説明を求められる。長野県で売っているおいしい牛乳ですと応えようと思ったけれど、 どうしても別の牛乳のパッケージが頭をよぎる。「大福屋」さんがホームページを教えてく れたけど、工場見学とか行けるならいってみたくなってきた。夏休みないけど、夏休みの宿 題的にオブセ牛乳について調べたりしてみてもおもしろいのかも。

なんのなんやねんと言う内容なんですが、いくつか良いところを知れたのと、善光寺の胎内めぐりは一回は体験しておくとよいかもと思うくらいにはおもしろいので、是非。善光寺周辺は、古くて立派な建物が多いので、あてもなくウロウロして町並みを眺めるのが好きに人には良いか街かも知れません。銭湯が結構あったので、一風呂あびて牛乳も良いかも知れない。

亀を助けて、お土産感覚で渡された玉手箱も小さい方を選んだ浦島太郎が最後に痛いめ見るって、何を学べば良いのかとおもったけれど、別にいいやつでも良いことばかりじゃないという結構ドライな話だったのかもしれない。あと、若い体で長らく遊んでいきなり老けるというのはけっこう幸せかもしれない。

追記
長野の街をぶらりした矢先に近所の方から、リノベーションして新たに活用されている店舗等を紹介する町歩きに便利な冊子をもらう。イラストもかわいらしく、これあればもっと効率よくと思えなくもなかったけれど、今回は今回で楽しく、別に目減りするものは何もなかった。冊子はありがたく使わせていただきます。


           2018年7月末にフェィスブックに投稿した内容から

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