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足元を見よ

 社会全体は、20%くらいの人たちの働きがあって、成り立っている(そうだ)。たしかに全員が、知的で思慮深く、なんでも理解が早く・・・というのが望ましいが、望むべきものではないかもしれない。少しでも良き世界を望むことには変わりはないけれど・・・。
 巷では、弱者救済や生活保護が叫ばれている。いま飢えている人がいるのであれば、早急に救いの手が必要であり、まずそこからである。腹を満たし、寝る場所を確保し、トイレがあって・・・必要最低限の条件であり、少なくとも安心して一日が暮らせることである。まず生身の身体を保護し生き永らえることが最優先である。

 養育費をもらえないシングルマザー。
 一日中、親子でスマホをやっている生活保護家族。
 コロナ禍で仕事を失った、雇止めにあった・・・・。
 それぞれの事情があると思もわれるが、ただ放置し手をこまねいていては先行きが見えない。社会は、権利の主張でだけでは成り立たたず、そのしわ寄せをダイレクトに受けているのは現役の若い人たちである。権利や義務は、はいよって渡すことができる代物ものではなく、自らの意志で構築していかなければ自分たちのモノにはならない。そのようにしてようやく社会は運用されていく。それでも救い切れない問題は残る。それ故セフティーネットを構築する必要があるだろう。おそらくこの課題を解いていくためには、いろんなものが絡み合い、そう簡単ではなく気長に付き合っていくしかないが、身の回りで起こりつつあることを、自己責任などと言って突き放したようなことはせず、ことあるごとに対処することである。小さな積み重ねが、気がついたら手に負えなくなっていた、というゴミの問題に近い。目の前からゴミが消えたらゴミはなくなったのではなく、どっかにゴミは堆積されている。みんなで少しずつ片付けていけば、大事にいたらず、負担も軽くなり、ある程度健全な社会が訪れるのではないだろうか。
 若い人が、不理屈な重荷を背負わされないような仕組みを予防医学的に準備することが、求められている(と思っている)。

 雑草は丁寧に除草を行っていくしかない。薬剤で一挙に除草したところで根絶はできない。毎年同じような繰り返しであり、薬剤で除草を行った大地(土地)は、循環が出来ず弊害が起き、悪戯を始める。薬剤で除草し、自然を伐採し、蜂がいなくなり蜂蜜がとれなくなっているという。また蜂が減少し果物などの授粉ができず生産者は困っていると聞いた。アメリカでは蜂が大量死してアーモンド畑が壊滅状態であると新聞でみた。どうも「土地の神様」がいない国は、近代化が進み今日、大国として君臨している。アメリカや中国・ロシヤなどの農業(工業化された農業)である。逆説だが、イタリアやフランス、日本など土地の神様がいる国の人々は、健気で地味だが裕福に見える。そういえばイタリアやフランス、日本は農業国であり、ファション(ミラノ・パリ・東京)は最先端であるが、同時に日常はジーンズ(労働着)である。「ヨーロッパ鉄道の旅」を見ていて、あらためて気がついたが、果たして現在の日本は、どうなんだろう、少し心もとなくなった。そんなことでポストコロナについて考えてみたいと思う。

 この頃、気になっていることがある。木材は高騰し、トイレやガスボイラーが手に入らず3月待ちだそうである。いってしまえば外国にアウトソーシングした結果であり、地方自治自体が掲げるアウトソーシングもいずれは、同様の結果になるだろう。インフラや医療、教育など採算性が悪いということで、株式会社化したり、丸投げ状態でアウトソーシング(英語)し、最後はウイン、ウインなどと間抜けな顔していっているが、そもそも公共とはなにか、理解していないのではないだろうか。どうも公務員という職業は、安定し給料が民間よりは頂ける、程度なのであろう(全員ではありません。念のため)。アウトソーシングして物事が済むなら、あなた方が不要であるということになりますが、いかがですかと聞いてみたくなる。今回のコロナ禍で、日本のシステムや政策がいかに脆弱であったか知ったはずである。東日本大震災の時も、流通が途絶え、なすすべがなかった。すべては大手の企業に吸収され、地元で材料や資材を調達できず、各家々の復旧さへ困難であった。その後、国も地方自治自体も有識者も親身に考えず今回のコロナ禍を迎えることになった。

 現在、世界では、コンテの船積ができず流通は滞り、外国航路の船も船員がおらず運用ができずにいるそうである。それが高騰の原因でもあるらしい。日本でも外国からの労働者が不足して、農業従事者は困っているとメディアが伝えていた。
 医療・教育・介護・・・多くの分野に外国人労働者が算入し働いている。少子化対策などで政府の肝いりでの政策であるが、一方日本人は、発展途上国の人々をかつての植民地主義のように取扱い、職業のいかんに問わず、自分たちは働くこともせず、まるで物品を横流しし暴利をむさぼっている人たちに似てきた。世界中が、賃金の安い人々を雇い、気がついたら自ら車の運転は出来ず、畑は耕せず、部品を加工できず・・・かつて日本人が働き身につけた知恵や技術を放棄してしまったのと、同様な社会が広がっている。
以前から思っていることだが、日本にそのうち生産の仕事に従事する人が減少し、非生産者(公務員・金融・不動産・中間業者・・・)だけの国になったら財政は、いずれ逼迫するだろう、ということである。古い人間なので、時代にそぐわないかもしれないが、現在の日本の社会は、不必要な仕事で満ち溢れているようで、たぶん明日から生存していくために必要な仕事を上げたら、ほとんどは除外されていくだろうと思われる。ただし、人間は、必ずしも合理的なことだけではなく不合理にことに一生懸命いそしむという性がある。それを否定するつもりはない。そんな人間の性を含めて考える時期には来ているようだ。


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