見出し画像

Biblia studere LⅩⅢ, Luc 10‬:‭38-‭42、マルタとマリア

生成AIを使って聖書研究に取り組んでいます。そのお裾分けを記事にしています。

今回はルカによる福音書10章38-42です。生成AIは天秤AIで によるOpenAI o1-Previewを中心に使います。お付き合いください。

テキストのご紹介

「一行が歩いて行くうち、イエスはある村にお入りになった。すると、マルタという女が、イエスを家に迎え入れた。 彼女にはマリアという姉妹がいた。マリアは主の足もとに座って、その話に聞き入っていた。 マルタは、いろいろのもてなしのためせわしく立ち働いていたが、そばに近寄って言った。「主よ、わたしの姉妹はわたしだけにもてなしをさせていますが、何ともお思いになりませんか。手伝ってくれるようにおっしゃってください。」 主はお答えになった。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。 しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」
                               ルカによる福音書‬ ‭10‬:‭38‬-‭42‬ 新共同訳‬

編集史的視点での解説

今回はOpenAI o1に編集史のパースペクティブからテキストを解説してもらいました。

「編集史」とは原始キリスト教諸グループが伝えたイエスに関する伝承や資料を集めて一つの福音書として編み上げた人たちの信仰表現(神学)を明らかにしようとする研究です。

その視点から今回のテキストについて以下のようなことが言える、というのです。

ルカによる福音書10章38-42節は、イエスがマルタとマリアの家を訪れた際のエピソードであり、ルカ独自の資料(L資料)に基づくと考えられています。この物語を編集史の観点から解説すると、以下の点が重要です。

**1. ルカの編集目的**

ルカは福音書全体を通して、以下のテーマを強調しています。

- **普遍的な救い**:ルカは、イエスの救いがすべての人々に開かれていることを強調しています。この物語では、女性であるマリアが主役となり、イエスの教えに直接触れる姿が描かれています。当時の社会では、女性がラビの足元で学ぶことは一般的ではありませんでしたが、ルカはこれを敢えて描くことで、救いの普遍性を示しています。
- **神の言葉への応答**:ルカは、行動や奉仕以上に神の言葉を聞きそれに応答することの重要性を強調しています。マルタの奉仕も重要ですが、マリアのように主の言葉に耳を傾ける姿勢が「良い方」であるとされています。

**2. 他の福音書との比較**

このエピソードは、他のシノプティック福音書(マタイ、マルコ)には記載されていません。そのため、ルカが独自にこの物語を挿入した意図を考えることが重要です。

- **ヨハネ福音書との関連**:ヨハネ福音書にもマルタとマリアが登場します(11章、ラザロの復活の物語)。ルカがヨハネの伝承を知っていたかは定かではありませんが、共通する人物が登場する点は興味深いです。

**3. 物語の配置と文脈**

ルカ10章は、「善きサマリア人のたとえ」(25-37節)に続いてこのエピソードが配置されています。

- **隣人愛と神への愛のバランス**:善きサマリア人のたとえでは、隣人への愛(行動)が強調されています。一方、マルタとマリアの物語では、神への愛(聞き従うこと)が強調されています。ルカはこれらを組み合わせることで、信仰生活における行動と霊的な学びのバランスを示しています。

**4. ルカの神学的強調点**

- **逆転の主題**:ルカはしばしば社会的な逆転を描きます。ここでは、家庭内での伝統的な役割(女性がもてなす)を逆転させ、マリアが弟子のようにイエスの言葉を学ぶ姿を描いています。
- **女性の役割**:ルカは他の福音書に比べて、女性の登場やその信仰を強調しています。この物語もその一例です。

**5. 編集史的意義**

- **独自性の強調**:ルカは自身の福音書において独自の資料を用いており、この物語もその一つとして、彼の神学的視点を伝えるために編集されています。
- **読者へのメッセージ**:ルカは異邦人を含む幅広い読者を想定しており、この物語を通じて、文化的・社会的な境界を越えて、イエスの教えがすべての人に届くことを示しています。

**まとめ**

ルカによる福音書10章38-42節は、ルカが独自の資料を用いて編集した物語であり、彼の神学的テーマである「普遍的な救い」「神の言葉への応答」「社会的逆転」などを反映しています。編集史の観点から、このエピソードの配置や内容は、ルカが意図的に読者に伝えたいメッセージを強調するためのものであると考えられます。

もう一つの解説

Gemini Advancedにも解説してもらいました。先の解説とは趣の異なるところがほんの少しあります。


ルカによる福音書10章38-42節は、マルタとマリアの物語を描いており、イエスが二人の姉妹の家を訪れた際に、マルタはもてなしに忙しく、マリアはイエスの足元に座って教えを聞いていました。この物語は、一見単純なようですが、編集史の視点から見ると、様々な解釈や考察が可能です。

**1. マルタとマリアの対比:**

この物語は、マルタとマリアを対比させることで、ある種のメッセージを伝えています。マルタは「多くのことに心を配り、苦労していました」が、マリアは「良い方を選びました」。この対比は、当時の社会における女性の役割や、イエスの教えを聞くことの重要性を示唆していると考えられます。

- **女性の役割:** 当時の社会では、女性は家事やもてなしを担当するのが一般的でした。マルタはその役割を忠実に果たそうとしていますが、イエスはマリアの姿勢を評価しています。これは、女性が家事にとらわれず、神の言葉を聞くことの重要性を示しているという解釈があります。
- **聞くことの重要性:** イエスはマリアの行動を「良い方」と評価し、「それは彼女から取り上げられることはありません」と述べています。これは、イエスの教えを聞くことが、何よりも大切なことであるというメッセージだと考えられます。

**2. ルカによる福音書の文脈:**

ルカによる福音書は、他の福音書と比べて、女性に対する肯定的な描写が多いことが特徴です。マルタとマリアの物語も、その特徴を示す一例と言えるでしょう。ルカは、女性も男性と同じように、イエスの教えを受け入れることができ、救済に預かることができるというメッセージを伝えていると考えられます。

**3. 後世への影響:**

マルタとマリアの物語は、後世のキリスト教思想にも大きな影響を与えました。特に、中世の修道院では、この物語が「観想生活」と「活動生活」の対比として解釈され、修道士たちの生活規範に影響を与えました。

**4. 編集史の視点からの考察:**

マルタとマリアの物語は、ルカによる福音書独自の内容であり、マルコによる福音書やマタイによる福音書には見られません。これは、ルカが独自の資料や伝承に基づいて、この物語を構成した可能性を示唆しています。また、ルカは、この物語を通して、当時の社会における女性の役割や、イエスの教えを聞くことの重要性など、独自のメッセージを伝えていると考えられます。

**結論:**

ルカによる福音書10章38-42節は、マルタとマリアの対比を通して、当時の社会における女性の役割や、イエスの教えを聞くことの重要性を示唆する物語です。編集史の視点から見ると、ルカが独自の資料や伝承に基づいてこの物語を構成し、独自のメッセージを伝えていると考えられます。

これらの編集史の視点からの解説がテキストから読み取れることのすべてではありませんが、有意義であることは間違いありません。

私は「良きサマリア人の譬」との関連を対比的にではなく、内的にその関連を考え続けたいと思っています。

ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?