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Biblia studere LⅩⅣ, Luc11:1-4、主の祈り

生成AIを使って聖書研究に取り組んでいます。そのお裾分けを記事にしています。

今回はルカによる福音書11章1-4です。生成AIは天秤AIを使ってOpenAI o1-Previewを中心に使いました。お付き合いください。

テキストのご紹介

イエスはある所で祈っておられた。祈りが終わると、弟子の一人がイエスに、「主よ、ヨハネが弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈りを教えてください」と言った。 そこで、イエスは言われた。「祈るときには、こう言いなさい。 『父よ、 御名が崇められますように。 御国が来ますように。 わたしたちに必要な糧を毎日与えてください。 わたしたちの罪を赦してください、 わたしたちも自分に負い目のある人を 皆赦しますから。 わたしたちを誘惑に遭わせないでください。』」
‭‭ルカによる福音書‬ ‭11‬:‭1‬-‭4‬ 新共同訳‬

伝承史の視点から OpenAI o1 previewの解説

テキストは「主の祈り」を含む有名な箇所です。今回はその伝承のプロセスに注目してテキストを分析・観察する伝承史と呼ばれる研究の視点から生成AIに解説してもらいました。

天秤AIでいくつかの有力な生成AIサービスを比較しましたが、 OpenAI o1 previewの解説が懇切だったので、それを短く区切りながら注釈を添えてご紹介します。

**はじめに**      -テキスト概観と影響-

**はじめに**

ルカによる福音書11章1-4節は、「主の祈り」として知られるイエスの教えを含む重要な箇所です。この祈りは、キリスト教の伝統において中心的な位置を占めており、その起源と発展を理解するためには伝承史の視点からの分析が不可欠です。本稿では、ルカ11:1-4を伝承史の観点から解説し、初期キリスト教におけるこの祈りの形成と伝達について考察します。

テキストが短く概観され、キリスト教共同体の神礼拝と精神活動において、この祈りが中心的な位置を占めてきたことが紹介されています。そして、テキストをよりよく理解するために伝承史の視点からの分析が不可欠であると述べています。もっともなことだと思います。

*1. 祈りの伝承と初期キリスト教の背景**

**1. 祈りの伝承と初期キリスト教の背景**

イエスの弟子たちは、ユダヤ教の伝統的な祈りの形式に親しんでいました。しかし、彼らはイエスが独自の祈りのスタイルを持っていることに気づき、彼に「私たちにも祈ることを教えてください」と求めました(11:1)。この要請は、当時のラビたちが弟子たちに特定の祈りを教えていた習慣に沿ったものです。

ラビとはユダヤ教の教師です。聖書の律法を解釈し、共同体の充実のために指導的な役割を担っていました。イエスも人々からラビと呼ばれることがありました。このテキストに見られるイエスの振る舞いの中にも当時のラビたちと同じ様子が観察されると述べています。

**2. マタイ版との比較**

**2. マタイ版との比較**

「主の祈り」はマタイによる福音書6章9-13節にも記されていますが、ルカ版と比較するといくつかの相違点が見られます。ルカの祈りはマタイのそれよりも簡潔であり、いくつかのフレーズが省略されています。伝承史の視点から、これらの相違は初期の伝承が異なる形で各共同体に伝わり、福音書記者がそれぞれの神学的関心や執筆目的に応じて編集した結果と考えられます。

マタイ版とルカ版のとの比較から伝承の初期段階から「主の祈り」は異る形で伝えられ、それぞれの福音書に受け取られ、編集されたと述べています。

**3. Q資料仮説と伝承の発達**

**3. Q資料仮説と伝承の発達**

新約聖書学において、多くの学者はマタイとルカが共通して使用した「Q資料」(Quelle=「源泉」の意)と呼ばれる仮説上の文書の存在を提唱しています。この資料にはイエスの言行録が含まれており、両福音書の共通部分を説明するものとされています。ルカ11:2-4の祈りは、このQ資料に基づいている可能性があります。

伝承史的には、イエスの口述した祈りがまずオーラル・トラディション(口承伝承)として弟子たちや初期の信徒たちに伝えられ、その過程でさまざまな形に発展したと考えられます。各共同体が自らの礼拝や教育の文脈で祈りを用いる中で、細部において差異が生じた可能性があります。

「Q資料」(Qは「源泉→資料」を意味するドイツ語のQuelleの頭文字から採用されており「クー」と発音します)。この仮説は蓋然性は高く、ここに書かれている説明のとおりです。なお、少し後の時代の文書で、その存在が確かめられているグノーシス色の濃いイエスの言葉を中心に構成されている「トマス福音書」が「Q資料」との関連で注目されています。

**4. 各節の詳細な解説**

**4. 各節の詳細な解説**

- **11:1 - 弟子の要請**
   
   イエスが祈りを終えると、弟子の一人が祈りの教えを求めます。この場面は、祈りが弟子たちの共同体生活において重要な位置を占めていたことを示唆しています。また、「ヨハネが弟子たちに教えたように」という言及は、洗礼者ヨハネの弟子たちにも特定の祈りの伝統があったことを示しています。
   
- **11:2-4 - イエスによる祈りの教え**
   
   イエスは弟子たちに具体的な祈りの言葉を教えます。
   
   - **「父よ、御名が聖とされますように」**
       
       神を「父」と呼ぶ親密な呼びかけは、イエスの独特な神観を反映しています。「御名が聖とされますように」という願いは、ユダヤ教的な神の聖性への敬意を示しつつ、新しい時代の到来を期待するものです。
       
   - **「御国が来ますように」**
       
       神の国の到来はイエスの宣教の核心であり、この祈りは神の支配が現実化することを求めています。
       
   - **「私たちに日ごとの糧をお与えください」**
       
       日々の必要物資の供給を願うこの祈りは、神への全面的な信頼を表しています。「日ごとの糧」は物質的なパンだけでなく、霊的な養いも含意していると解釈されます。
       
   - **「私たちの罪をお赦しください。私たちも、自分に負い目のある人を皆赦しますから」**
       
       罪の赦しを求める祈りと、自らも他者を赦すことの宣言は、神と人との関係性だけでなく、人間同士の関係性をも重視しています。
       
   - **「私たちを誘惑に陥らせないでください」**
       
       試練や誘惑からの救いを求めるこの部分は、信仰生活の中での困難や悪の力に対する意識を反映しています。

一言だけ説明を加えます。
神に呼びかける「父よ」は、イエスとその時代の人々が用いていたアラム語(古代シリア語)では「アッバ (אבא, Abba)」です。それは家庭内で子供が親を呼ぶ際に親しみ深く尊敬の念を込めて発語される言葉でした。新約聖書の中で「アッバ」が使われる例は、マルコ14:36(ゲッセマネの祈り)などに見られます。

**結論**

**結論**

ルカ11:1-4は、イエスが弟子たちに教えた祈りの核心を伝えています。伝承史の視点から見ると、この祈りは初期のキリスト教共同体において口伝えで受け継がれ、各地域や共同体の状況に応じて形を変えながら伝達されてきたと考えられます。ルカとマタイの異なる版の存在は、その伝承の多様性と豊かさを物語っています。

最終的に、この祈りは初代教会の信仰と実践に深く根ざし、現代に至るまで多くの人々にとって祈りの模範となっています。その伝承の背景と発展を理解することで、私たちはこの祈りの持つ深い意味と力をより深く味わうことができるでしょう。

もう一つのLlama3.1による解説

参考に天秤AIで比較したLlama3.1による回答(解説)を注釈なしにご紹介して終わりにいたします。

## AIの回答 5 Sonar Large(Llama3.1)

ルカによる福音書11章1-4節は、イエスの祈りの教えに関する重要な部分です。この節を伝承史の視点から解説するために、以下の点に焦点を当てます。

### 原文と文脈

ルカ11章1-4節の原文は以下の通りです:

```
1. ある日、イエスが祈っていたとき、その弟子たちが近づいてきて、「主よ、ヨハネが彼の弟子たちに教えたように、我々にも祈り方を教えてください」と言った。
2. イエスは彼らにこう言った。「あなたがたが祈るときには、このように祈りなさい。『父よ、天にあなたの名が聖とされますように。
3. あなたの国が来ますように。
4. 我々の日ごとのパンを今日も与えてください。
  我々が罪を犯した者に赦したように、我々の罪も赦してください。
  我々を試みに引き入れる者から救ってください。』」

```

### 伝承史的背景

- **マタイ福音書との比較**: ルカの祈りは、マタイ福音書6章9-13節(主の祈り)と類似していますが、いくつかの違いがあります。マタイのバージョンはより長く、詳細な内容を含んでいます。一方、ルカのバージョンは簡潔で、核心的な要素に焦点を当てています。この違いは、各福音書が異なる伝承源やコミュニティの需要に応じて編集された結果と考えられます。
- **ヨハネの影響**: ルカ11章1節では、弟子たちがヨハネが彼の弟子たちに教えた祈り方を教えてほしいと求めています。これは、初期キリスト教コミュニティにおいてヨハネのバプテスマ運動が重要な役割を果たしていたことを示唆しています。イエスはこの要求に応じて、独自の祈りの教えを提供しています。
- **祈りの構造**: ルカの祈りは、父なる神への呼びかけ(「父よ」)、神の名の尊厳(「天にあなたの名が聖とされますように」)、神の王国(「あなたの国が来ますように」)、日々の必要(「我々の日ごとのパンを今日も与えてください」)、赦し(「我々が罪を犯した者に赦したように、我々の罪も赦してください」)、試みからの救い(「我々を試みに引き入れる者から救ってください」)という順序で構成されています。この構造は、初期キリスト教徒が神との関係や生活における基本的な願いを表現するための枠組みとして機能しました。

### 伝承の流れ

- **口伝の段階**: イエスの祈りの教えは最初、口伝で伝えられていました。弟子たちがイエスから直接学んだ内容が、コミュニティ内で共有され、伝承されていく過程で、さまざまなバリエーションや編集が加えられたと考えられます。
- **文書化の段階**: ルカやマタイがこれらの伝承を文書化する際には、それぞれのコミュニティや聴衆に対するニーズや視点を反映して編集を行ったと考えられます。例えば、ルカの福音書は特に外邦人(非ユダヤ人)にも向けたメッセージを含んでおり、そのためより簡潔で普遍的な祈りの教えを提供している可能性があります。

### 結論

ルカによる福音書11章1-4節は、初期キリスト教徒が神との関係や生活における基本的な願いを表現するための重要な祈りの教えを提供しています。この節を伝承史の視点から見ると、口伝の段階での変遷や文書化の際の編集が反映されており、各福音書が異なるコミュニティや聴衆に対してどのように編集されたかを理解するための貴重な資料となっています。

ここまでです。お付き合いくださり有り難うございました。

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