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原石鼎を研究する 初読篇②

大正三年

本の上に蜜柑の皮や松の内
 松の内で納得 このや切れ、かなり楽しい

蝦汲まず見て居る春の海広し
 見て居る、からこそ

日永さに春菊摘まんなど思ふ
 独身 と前書

人間の足と知り居る寄居虫かな
 知って、近寄ってくるのか、遠ざかっていくのか 

陽炎や浜に地網の二ところ
 季語がおもしろい

湖と水田と通ふ霞かな
 「と」かなりいい

春風や野にふるひたつ山椒の芽
 強い切れがある 奮い立っているのは風のせいってわけじゃない きっかけに過ぎないなと思う

春風や吹かれこぼるゝ岩の砂
 こっちは切れてるけどつながってる

人影や巌に吸ひつく桜貝
 人影や!!!!!!

心地よき腹の痛みや暑気くだし
 ポジティブ

引潮にいよ/\高き蜻蛉かな
 秋草へいよいよ強き月の照り 昭男 とはまたちがういよいよ
 
野分あとの腹あたゝめむぬかご汁
 因果が成立していないところがいい

味噌汁に根深もすこし浮く秋ぞ
 すこしだからいい 秋ぞ

秋風に殺すと来る人もがな
 秋風や模様のちがふ皿二つ の次の句 とは思えん ぞわぞわした

凩や提灯もちて田舎人
 揶揄いではなく、尊敬っぽい気がする

青空へ荒れ居る浪や冬の雁
 写生

浜草にたまる霙を見てゐたり
 見てゐたり いい 素朴