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原石鼎を研究する 初読篇④

大正五年

街中に眠れる船や寒習
 眠れる船という把握。寒さのなかでの芸の所作。取り合わせは意外なようで、そこまで距離があるとも思わない。

スケートにあかず帰るや家暗し
 あかず帰る、の実感。や切れからの場面転換。わいわい遊んでいたのに、家ではひとりぼっちになってしまう。

灯一つに明るき四壁や厚布団
 上五の省略がうまい。四壁を感じるということは、床に横たわっているからこそのことであった。

山宿やくれてすぐ敷く古布団
 めっちゃ薄そうな布団だけど、旅に慣れている人だろうからすぐに眠れるはず。

残雪にかゞやく日ある谷間かな
 感覚的な切れが気持ちいい。写生だけど写生でないような。

われを刺す眦に在り濃白酒
 前書「恋」だったかな、帰ったら確認します。すごくいい。

街中に銀杏大樹や花曇
 あをあをとした銀杏なのでしょう。

裏戸出てまた入る杣や花曇
 短い時間の切り取り、観察のうまさ。花曇ののっぺりした感じ。

稚児達に昼風呂わきぬ花の寺
 花の寺への集約。

行春や碁石ちらばる客のあと
 季語が動かない。客のあとの省略。

谷深く烏の如き蝶見たり
 烏の如き!!!!!!

柿の葉のかへす光や初袷
 柿の葉が絶妙。心地良い光。

梅雨の街に塵紙買うて戻りけり
 俗に全振りした句もあるんだ。

縁を日去つて曝書全し蟬時雨
 ようわからんけどきになる。

仲秋や高蘆わけて舟出づる
 意外と情緒的。

芋洗へば水濁りつゝ流れけり
 観察。

秋風やこゝろに一つ冷えしもの
 好き~~~~~!!!!

雨去るやまた一しきり柳散る
 去る→散る の順番おもろい

旭にとける霜の白さや枯芒
 白さ→枯芒 の見せ方おもろい

冬の日の暮にのどかさありにけり
 のどかさ
 
提灯に月の枯野を戻りけり
 月の枯野!!