マジック:ザ・ギャザリングのルール文書について

マジック:ザ・ギャザリングには、さまざまなルールに関する文書が存在する。それらは相互に絡み合って、影響を及ぼしている。そんなルール文書に関して、説明をしていく。

マジック総合ルール(CR)

英語名は「Comprehensive Rules」であり、マジックにおける基本的なルールのソースとなっている。

例えばライフが0以下になったら負けである、というのが書いてあるのもここである。文書自体は以下のページにある。

ライフが0になった負け、というのは119.6と704.5a、704.5t(チーム戦)に規定されている。

オラクル(Oracle)

これは、基本的にはカードに書いてあることである。ただし、エラッタなどが当たっている場合もあるため注意が必要である。Gathererには正確なオラクルが書いてある。

例として、チャネルの場合は、以下の通りである。

https://gatherer.wizards.com/Pages/Card/Details.aspx?printed=false&multiverseid=518293

ここにはオラクル本文と、それに関わる裁定が書いてある。ただし、某カードゲームとは異なり、基本的に裁定はルールから導き出せることがほとんどである。

このカードの裁定は、「ライフが0の時、たとえ敗北していない状況であってもそれ以上ライフを支払うことはできない」とある。これは、CR119.4により、0点でないライフを支払う場合は、自らのライフ以下のライフしか支払えないという規定から導くことが可能である。

まあ、稀に手に負えないカードがあったりするのだが。

https://gatherer.wizards.com/Pages/Card/Details.aspx?multiverseid=1611

それでも最低限の裁定は出している。

マジック・イベント規定(MTR)

英語名は「Magic: The Gathering Tournament Rules」であり、トーナメントの進行に関する規則が書かれている。

例えば多くの大会では50分という制限時間が設定されているが、これは付録Bに定められた時間である。制限時間は40分以上である必要があり、シングル・エリミネーションの準々決勝以上以外であれば、推奨される制限時間は50分とされている。

また、オポとかそういう用語も出てくるが、これは3.1に書かれたタイブレーカーのルールにある「オポネント・マッチ・ウィン・パーセンテージ」のことである。

あとは、大会には主催者・ヘッドジャッジ・フロアジャッジ・スコアキーパー・プレイヤー・観客の6種類がいて、それぞれの役割があるとか、大会のルール適用度とかの話も、ここに書かれている。

また、スタンダード・パイオニア・モダン・レガシー・ヴィンテージのフォーマットの定義や、禁止カード・制限カードに関してもこのMTRの管轄である。

マジック違反処置指針(IPG)

英語名は「Magic Infraction Procedure Guide」であり、ルール違反に対する懲罰に関する指針が示されている。

例えば、意図せずにカードを過剰に見たような場合は、警告の懲罰が与えられる。この警告というのは、記録が残る懲罰ではあるものの、それ以上のペナルティは受けないものである。

懲罰には4段階あり、警告・ゲームの敗北・マッチの敗北・失格がある。ゲームの敗北とマッチの敗北はそのままの意味なので良いとして、失格というのは早い話が大会からの追放である。

ルール適用度が一般の場合のジャッジ法(JAR)

英語名は「Judging at Regular Rules Enforcement Level」であり、カジュアルな大会における、より簡易な違反の処理方法を規定する。

ここでいうカジュアルな大会とは、ルール適用度が「一般」の大会のことであり、例えばプレリリースや、フライデー・ナイト・マジックなどのことを指す。

マジック・デジタルイベント規定(DTR)

英語名は「Digital Tournament Rules」であり、MTRと対になるルール文書である。

Magic: The Gathering Arenaで行うトーナメント用であり、オンライン固有の問題などに関しても言及されている。また、ヒストリックのフォーマットの定義もなされている。

マジック・デジタル違反処置指針(DIPG)

英語名は「Digital Infraction Procedure Guide」であり、IPGと対になるルール文書である。

あとの説明はDTRとほぼ同様である。

各カードセットのリリースノート

これ自身はルールの根拠たり得ないが、新規もしくは再録のメカニズムやキーワード能力、キーワード処理の説明や、カード別の追加の説明が書いてあるので、それを理解するにはこれを読むと楽である。

銀枠関係

通常のゲームであれば、この辺りだけで足りるのだが、銀枠(正確にはUnfinityリリースに伴い「アン-ゲーム」と呼ばれるようになった)のゲームの場合は、ルール文書だけでは説明がつかない場合が多い。そういう場合は、リリースノートを読んだり、よくある質問を読むなどすると、何となく掴めるかもしれない。

失格裁定に関するFAQ

失格になったプレイヤーに渡される紙である。これは日本語を貼り付けておく。

https://blogs.magicjudges.org/o/files/2015/03/PlayerDisqualificationFAQ-JA.pdf

簡単に言えば、

  • 失格になったことに関して、証言をすることができる

  • 調査には8週間から10週間ほどかかり、その結果「追加措置なし」「文書警告」「出場停止」のいずれかの措置が行われる

    • 「追加措置なし」 - 文字通り、追加の措置は行われない。失格措置自体は有効だが、ヘッドジャッジによる不適切な措置だった可能性もある

    • 「文書警告」 - 失格措置自体は妥当だが、それによって得られたアドバンテージは大きくなく、特に危害を加えたわけでもないため、出場停止措置をするほどではない。文書での警告だけで終わりである

    • 「出場停止」 - 失格措置自体が妥当であり、それによって得られたアドバンテージは大きいか、危害を加えたなどの理由で、期間を定めて、大会への参加を禁止する

  • 措置に関してはヘッドジャッジが知る立場ではない。ヘッドジャッジは失格に至るまでの報告はするが、失格の後の措置に関しては関与しない

ということである。

ヘッドジャッジによる失格裁定の手順

こちらは、失格を出すヘッドジャッジが、失格裁定を出すまでの流れと出した後のプロセスが書かれている文書である。これも日本語で貼り付けておく。

https://blogs.magicjudges.org/o/files/2015/03/HeadJudgeDisqualificationProcedure-JA.pdf

やるべきことを整理すると

  1. 失格の説明をする

  2. WERに違反と罰則を入力する

  3. 証言を集め、1週間以内に報告する

これだけである。後のことは調査委員会が判断する(追加で質問は求められるかもしれないが)。

失格裁定に関する主催者向けFAQ

こちらは、失格を出した後の、主催者側に向けてのよくある質問集である。

https://blogs.magicjudges.org/o/files/2017/01/TournamentOrganizerDisqualificationFAQ-JA.pdf

簡単に言えば、失格にしたプレイヤーがいる場合、その後どうなるかが書いてある紙である。

スタッフ数のガイドライン

これはルールというよりは会場運営の指針といった方が良いかもしれないが、以下の文書に示されている。

まず、ルール適用度が「一般」の場合は、見込みプレイヤー70人以下のトーナメントであればレベル1ジャッジで良い。71人以上いる場合はレベル2ジャッジが必要である。ジャッジはプレイヤー35人を超えるごとに1人必要である。

ルール適用度が「競技」以上の場合は、見込みプレイヤー35人以下のトーナメントであればレベル2ジャッジ1人、以後35人増えるごとに上限3人までレベル2ジャッジの要求数が増える。106人以上の場合、1人のレベル2ジャッジと、それに付随するジャッジが必要で、35人ごとに必要なジャッジの数が1増える。また、140人以上のプレイヤーが見込まれる場合、レベル3ジャッジがヘッドジャッジを務めることが望ましい。

いずれの場合であっても、150人以上いる場合は、スコアキーパーを置くことが望ましい。

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