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『FLIPPER’S GUITAR』


出会いは終わりかけの夏だった。
気がついたら「全て飲んでしまったら、このジュースはもう飲めなくなってしまうから、ほんの少し残しておこう」で残った分くらいしかなかった。(我ながら何を言っているんだろうか)

オーイシマサヨシというミュージシャンが、弾き語り配信をしていた。アニメの主題歌をよく歌っていたし、その歌を、彼のことを気に入っていたので迷わずその配信を見て、そこで出会った、と思う。

⚫︎19:15〜 恋とマシンガン

爽やかなギターが、太陽のよく当たる自分の部屋に風を吹かせた。お洒落だ、とてつもなくお洒落だ。

フランスの香りがした。ぼくの頭の中では、シャンゼリゼ通りを金の髪をした白人が、パンを抱えながら歩いていたし、坂道で自転車をこぐ若い男の子がハンチングをくいっとあげていた。

夏が終わってしまうのを悔やんだ。こんなに爽やかで洒落ている曲が聴けるのに、ともに夏を過ごすことができないなんて。


そこからはすぐだった。FLIPPER’Sのアルバムを聴き漁った。漁るたびに好きな曲が見つかった。
小沢健二と小山田圭吾のその後まで好きになった。渋谷系の他のアーティストを聴いても、フリッパーズの感動を超えるものはなかった。他とは何かが違っていた。

さて、ここで、まだフリッパーズを聴いたことのない人たちにむけて必聴曲を紹介したい。

『CAMERA TALK』



1.Young, Alive, in Love/恋とマシンガン

言わずと知れた名曲。ぼくがハマったきっかけで、サブスク時代にはない概念だが、“擦り切れる”ほど聴いた曲だと思う。特徴的な最初のスキャットは「黄金の7人(7 Uomini d'oro)」の『Seven Golden Man』が元ネタ。これがぼくが感じていたフランス感の正体なのか!と納得したときのことを覚えている。

2ndシングル 恋とマシンガン

2.Camera! Camera! Camera!/カメラ!カメラ!カメラ!
アルバム全体の中では異質なテクノポップ調。
もう一つの、サブスクであれば「singles」に収録されているギターポップバージョンの方がぼくは好き。

4.Summer Beauty 1990/ラテンでレッツ・ラブまたは1990サマー・ビューティー計画
曲名が長い!!
この曲もスキャットが使われており、聴いていて気持ちいい曲となっている。洒落た雰囲気を味わいたいときに流せば間違いなし。

5.Haircut 100/バスルームで髪を切る100の方法
アルバムの中でも青々しい曲だと思う。2ndシングルの恋とマシンガンのカップリング曲である。
『singles』にも収録されており、名曲揃いなのでずっとsinglesだけ聴いてればいいのではないか、と思ったりもしちゃう。

12.Camera Full of Kisses/全ての言葉はさよなら
アルバム内では落ち着いた曲である。
元ネタはTHE HIT PARADE『You Didn’t Love Me Then』

THE HIT PARADE『WITH LOVE FROM』



デビューアルバム
『three cheers for our side 〜海へ行くつもりじゃなかった〜』


1.Hello/ハロー/いとこの来る日曜日
全体的にハッピ〜な雰囲気が流れるこの曲。タイトル通り、日曜日にやってくるいとこを楽しみに待つ少年のウキウキ気分が書かれている。

夏のはじめ 明るい日曜日
今日もうじき僕のいとこが来るってママが言った
だから僕は自転車に乗る
ゲートのところで彼女を迎えるために お気に入りのシャツを着て

彼女はにこっと笑って
“ハロー”なんて言うタイプの女の子じゃ全然ない
僕を見てくすくす笑うんだ
僕のほっぺたをつねるんだ
たぶんそれから彼女は“ハロー”って言うんだ

とてもほこりっぽい道のうえ 丘をおりていく
夏のうたを口笛で吹きながら
とてもいいにおいのする森の中 丘をおりていく
聞いたことのないいかした曲を吹きながら

彼女はにこっと笑って
“ハロー”なんて言うような女の子じゃないんだ

(出典↓)

2.Coffee-milk Crazy/コーヒーミルク・クレイジー
コーヒータイムにもってこいのこの曲は、そこらのカフェで流れていても何らおかしくない。
よくカバーされているイメージがある、落ち着いたムードの曲。

7.Happy Like a Honeybee/ピクニックには早すぎる
春〜って感じの曲。和訳するとまた丘が出てくる。丘登ったり降りたりしがち。


10.Goodbye, our Pastels Badges/さようならパステルズ・バッヂ
言い忘れていたがYoutubeにMVが投稿されている。MVはストーリー展開もあり、小山田圭吾と小沢健二の絡みが可愛いのでみて欲しい。

⚫︎MVのプレイリスト

13.Friends Again (Single Version)/フレンズ・アゲイン(シングル・ヴァージョン)
メロディーもさることながら、ぼくが歌詞が好きな曲の一つ。恋愛の儚さと若さが混じった曲。

海辺で初めて会ったのは
ちょうど僕がここに来た日
照れながら一枚の
絵を見せてくれた君

僕に見えるのと
同じ夏が描いてあった
その時から仲良くなったのだけど
昨日の夜君を怒らせてしまって
ほんとバカだ

だから今日仲直りしよう
夏休みも残り少ない
結局いつかは花束をかかえて
僕らはお別れをするだろう
グレーのベレーをかぶった君の
ポートレイトを描くつもり
たとえホグマニーまでには
僕らも全ての言葉はクリシェだって
気づくとしてもね

(出典同じ)

聴いたことのない人間でも、比較的聴きやすい曲を選んだつもりなので、よければ聴いてみて欲しい。

そんなわけで、ぼくのFLIPPER’S GUITARとの出会いと必聴曲を紹介した。おそらくこの後、小沢健二と小山田圭吾(Cornelius)のおすすめ曲も紹介すると思う。そのときもまた、読んで欲しい。

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