劇場版おっさんずラブ_マスター講座__7_

劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD 感想まとめ【S13:バスの中、春田とジャスティス】

■男子校のノリみたいなやつ

 劇場版は、志尊淳演じる山田正義の存在が素晴らしい。香港から帰国した春田が出勤途中に偶然出会う彼は、春田と何かと馬が合い、「お兄ちゃんみたい」と慕う。このバスの中のシーンでも、二人は高校時代の部活がバスケットボール部で、ポジションはポイントガードだったけれど補欠だったという共通点を見出し、意気投合する。春田と気が合う後輩というポジションは、連ドラ1話の牧を彷彿とさせるので、一見すると春田を狙う新しいライバルかと感じさせる。
 だがしかし、ジャスティスの素晴らしさはここで新たなライバルと見せかけながら、実際は春田にとってもジャスティスにとっても、そうした「恋」の対象となる相手では全くないという点にあると思う。
 この二人は、あくまで「気の合う先輩/後輩」。春田にとってジャスティスとのじゃれ合いは、まさに連ドラ2話で牧との関係の確認に使った「男子校のノリ」にすぎないのである。


 連ドラの時、牧と比較される存在は、荒井ちずだった。春田にとってちずは恋愛相手ではなかったけど、春田の恋愛対象に含まれる存在であることは間違いなかった。だから、個人的には、春田がちずに恋をしていなくても、ちずに対する態度は牧に対するそれとは違って見えた(なんていえばいいのか。色気があるかないか、と言えばいいのかな)。一方で、劇場版においては、春田の人好きのする態度も、ジャスティスに対するそれは、あくまで後輩とのじゃれ合いにすぎない。しかし、牧に対するそれは恋人とのスキンシップそのもので、そこにはちゃんと色気を感じさせたのである。ジャスティスという、牧と同性でありながら、「男子校のノリ」の後輩を出したことで、春田にとって牧がいかに特別な存在なのかがより鮮明になったと思う。


◇個人的なみどころ

 バスの広告「はやし塗装」。これも応援上映で気が付いたネタ。あまりにリアルなその広告の電話番号は、林遣都の誕生日。こういうところにスタッフのおっさんずラブへの愛を感じる。

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