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おにいちゃん1周年


双子1歳誕生日の前日、夕ご飯を食べていたときのこと。
長男に何気なく、「そうだ、あっくんとちーくん、明日お誕生日なんだよ」と話した。
すると、長男の表情がみるみるうちに曇って、じっと机を睨みつけながら、
「そんなの、やだ。こもたろのお誕生日じゃなきゃ、やだ」と言った。

やったね~おめでとう!くらいの返事を想像していたので、予想外の展開に慌てる。
「えっでも、こもたろのお誕生日もあと1か月したらくるし、明日はあっくんちーくんのこと、みんなでお祝いすればいいんじゃない?」
「そうそう、みんなで美味しい夜ごはん食べて、特別にデザートも食べて、きっと楽しいよ」
夫婦でなんとか長男の機嫌回復を試みるが、表情は険しいまま。
「ぜったい、ぜーったい、やだからね。こもたろは、ずっと、おへやのあっちのほうで、なにもいわずに、みてるから。ずーっと、みてるだけだから!」
結局「デザートは食べたいけど弟たちの誕生日はお祝いしない」と主張し続け、この話はうやむやなまま食事を終えた。

〇〇〇

それからお風呂に入って、みんなの歯磨きをして、少し玩具で遊んだ。長男は明日のことはすっかり忘れて、機嫌を直したようにみえた。
私が双子を1階で寝かしつけている間も、2階から長男のケラケラと笑っている声が響いていた。
長男は、イチゴ忍者という夫のオリジナルキャラクターが主人公のお話が大のお気に入り。
夫はほぼ毎晩、リクエストに応えて「ゴモラとバナナヒーローとイチゴ忍者がでてくる話」や、「ウルトラマンとイチゴ忍者が戦う話」などを話して聞かせている。
この日は盛り上がったようで、いつも以上に長い時間、2人の話し声が聞こえてきた。

〇〇〇

子どもたちの寝かしつけが終わって、私はリビングで眠る双子を背に、扇風機で髪を乾かしていた。
「寝かしつけのとき、こもたろかなりハイテンションだったんだけどさ」
夫がキッチンでコーヒーを入れながら、声量をおさえて話し出した。
「長い時間はしゃいでて、それでやっと静かになった頃に、急に言ったんだよね。< あした、あっくんちーくんのおたんじょうび、たのしみだね >って。」
「それで、< さっきはごめんね。あしたはみんなでデザートたべようね >って言うんだよ。ごはんのあと、特にこちらが何か言ったわけじゃないのに、自分で考えて、そんなこと言えるなんて、優しいなって。それで楽しみとまで言ってさ、健気だなぁって、ほろっときちゃった。」
キッチンが薄暗くてよく見えなかったけれど、夫はちょっと目が潤んでいるように見えた。
優しい父子だなぁと思って、私も少し泣きそうになった。

〇〇〇

翌朝、起きてすぐに1階に降りてきた長男は、私と目が合うなり「きのうはごめんね。あっくんちーくん、おめでとう」と言った。
「おめでとうって言ってくれてありがとね。こもたろも、おにいちゃん1歳おめでとう」と返すと、照れくさそうに「へへ~」と笑って、私に抱きついた。

この1年をぎゅっと凝縮したような夜と朝だった。様々な葛藤がありつつも、弟たちをかわいがってくれた優しいおにいちゃん。
おにいちゃん1周年おめでとう、ありがとう。

お誕生日の夜はみんなでお祝いできました!
双子たちはくまさんプレート。完食!!!


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