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目撃談

路上にて

タカナカ「あれ、シブヤ?」

シブヤ 「ん?おお、タカナカじゃん!久しぶり!」

タカナカ「久しぶり!いつぶりだっけ?」

シブヤ 「きのこ狩り以来じゃない?」

タカナカ「おれ行ってねえよきのこ狩り.」

シブヤ 「あれ?おかしいな。記憶だと一緒に・・・あの時後ろにいたのって・・」

タカナカ「背格好にてるからヨシオカじゃねえの?」

シブヤ 「思い出した。あれだ。後ろにいたのは、背中にしょってたきのこ入れるカゴだ」

タカナカ「俺とカゴ間違えてたの?」

シブヤ 「うん。まあ1年前くらいだからな。記憶の中でぼんやりと映ってたカゴが、タカナカに見えたんだよね。ごめんね変な気持にさせちゃって」

タカナカ「本当だよ。俺をそんな風にみてたのかよ。まあいいや、最近どうなんだよ」

シブヤ 「んーまあ、普通に働いてるよ」

タカナカ「あーそうなんだ。なんか、友達からもお前の目撃談とかなんにも聞かないからさ。なにしてんのか全然知らなくて」

シブヤ 「まあ、毎日会社と家の往復だけかな。毎日8往復だよ」

タカナカ「なんで頻繁に家に帰るんだよ」

シブヤ 「あ、そうだ思い出した。俺はお前の事見たよ」

タカナカ「え?どこで?」

シブヤ 「1ヵ月くらい前かな?駅前の花屋にいなかった?」

タカナカ「一か月くらい前?いや、たぶんいないけど。花なんてここ数年買ってないし」

シブヤ 「おかしいな。駅前の花屋の前で揺れてるの見たけど」

タカナカ「花じゃねえかなそれ」

シブヤ 「えー、花と見間違えるわけないじゃん」

タカナカ「俺、一回カゴと見間違えられてるんだよね。あと、花屋の前で揺れてるのってだいたい花だから」

シブヤ 「そっかあ、声かけなくてよかったよ」

タカナカ「まあ、そういう問題でもないんだけど」

シブヤ 「でもさ、そうなってくるともう、今話してるお前が本当にタカナカなのかどうかも怪しいね」

タカナカ「今回は大丈夫だよ」

シブヤ 「電柱とかじゃないよね?」

タカナカ「カーディガンきてるだろ。大丈夫だよ」

シブヤ 「そっか、電柱はもっとサイズがデカいか・・・」

タカナカ「いや着ないんだよそもそも。あ、そうだ俺ノゾミちゃん見たよこの前」

シブヤ 「えっノゾミちゃんて、めちゃくちゃかわいい、クラスのマドンナクラスの?」

タカナカ「ややこしいな。短時間に2回もクラス使わないでくれよ。そうだよ、あのノゾミちゃん」

シブヤ 「変わってた?色とか」

タカナカ「いや、肌色だったよ」

シブヤ 「よかったあ」

タカナカ「変わってたところと言えば、髪を結構長めにしてたくらいで、そんなに変わってないかな」

シブヤ 「そっかあ、いいなあ。俺もそういう目撃談がほしいよ。俺は同級生にばったり会ったりとか全然ないもん。他はいろいろ見るのに」

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