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【恋愛リアリティーショー】は「リアリティのあるショー」だということ

ABEMAやAmazon Prime Video等、様々な配信サービス上で放送されている恋愛リアリティーショー。

「恋リア」と略されるこれらの番組は、10代20代の若者を中心に見る者を熱狂させている。

人気作品は次々とシリーズ化しており、いざ新シーズンが始まれば毎週の放送を楽しみにしている方も少なくないだろう。

僕もその1人だ。

放送時間になるとハッシュタグをつけてTwitterで呟きまくっている。

恋リアに興味がないフォロワーさんにとっては申し訳ないと思いつつも、そのようにSNSを使って盛り上がれることも恋リアの強みだろう。

最終回後には番組名がトレンド入りし、賛否両論様々な意見が飛び交っている。

しかし、ここ最近は「否」の方が増えているように感じている。

何故なのか。

そもそも恋リアという番組はどんな番組なのか。

そんな根本を再確認しながら、自分なりの考えをまとめてみた。

(※ここで言う「否」とは、メンバー個人の行いに対するものではなく、番組に対してのものを指す)


視聴者が恋リアに求めている事と3つの変化

そもそも視聴者は、一体何を求めて恋リアを見ているのだろうか。

あくまでも個人的な意見だが、一番の理由は「共感」を得たいからだろう。

番組にもよるが、出演者の多くは10代~20代で視聴者の年齢層と重なっている。

そんなメンバー達が見せる恋愛模様を自分に重ね合わせ、時にキュンキュンしたり、時に切なくて涙を流したり出来ることが恋リアの醍醐味だと言える。

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だとすれば、恋愛を見せる番組である以上、必然的に恋愛模様は見られるはずであり、誰かしらの恋や行動には共感を得るはずである。

そのため、本来なら「否」はなく満足して終わることが当然とも言えるが、なぜここ最近は否定的な意見が増えていると感じるのか。

その理由は、恋リアにおける3つの変化が関係しているのではないかと考える。

★3つの変化
1.コンテンツに対する需要と期待
2.出演者の知名度
3.有料コンテンツの増加


1.コンテンツに対する需要と期待

数年前までの「恋愛リアリティーショー」はある種挑戦的なコンテンツであり、今ほど世に溢れていたわけではなかったと思う。

とは言え、昔から「ネルトン」や「あいのり」といった番組は地上波でも人気があり、全く目新しいコンテンツだったかと言われればそうでもない。

ただそれらが流行った時には、テレビが同様のコンテンツで溢れていたわけではなく、現在ほどの需要があったとも言えないだろう。

その違いの要因となるのはやはり、配信サービスの充実化だと考える。

いつでもどこでも気軽に見られる配信サービス上で恋リアというコンテンツを提供したことは大成功だったと言える。

スマホ世代と視聴者の世代が上手く合致したからだ。

その結果今では、挑戦的なコンテンツから安定したコンテンツに移り変わった。

定番のシリーズともなれば、そのルールや展開にもある意味テンプレが出来ており、その通り放送しても勝手に話題となるのが現状である。

昔から恋リアを見ている人ならわかると思うが、予算も確実に増えている。

だからこそ、制作側としては安定したコンテンツを作ってリターンを得なければならないし、そのために必勝パターンをなぞることは当然であるとも言える。

最近はコロナ禍による影響で、変更を余儀なくされている部分もあるが、どれも大きくはその路線を外れていない。

しかしここで難しいのは、当然の如く視聴者の期待値も膨れ上がっているということだ。

シリーズが続けば続くほど視聴者の目はどんどん肥えていき、求めるものが高くなる。

自分が好きだったシリーズと比べて悪かった点を挙げ、「今回はあんまり良くなかった」と評価を付ける。

本当は、その評価には視聴者自身の環境や年齢の変化も含まれているのだが、当人らはそれに気づかない。

だから番組、もしくはそのシーズンがおもしろくなかったと判断する。

とは言え、制作側としては視聴率もある程度取れている中で大きなテコ入れをすることはリスクでしかない。

それに、そういった視聴者はなんだかんだ言いながら、大抵は次のシーズンも見ている。

だからこそ、恋リア(番組)人気はそのまま、ないしは高まっているのに、その結末に不満の声が出るような現状があるのではないか。

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2.出演者の知名度

数年前までは、いわゆる素人が恋リアに出演していた。

中には芸能活動をしていた人もいるが、知名度がそこまで高くないか、高くても1人くらいしかそんなメンバーはいなかった。

しかし最近では、モデルやインフルエンサーなど、少なくとも若者の間では有名な人物が多く出演している。

その結果、「恋リア出演→ブレイク」だったのが、「若者の間で人気→恋リア出演」という流れに変わっていると言える。

これは別に悪い事ではない。

1でも述べたように視聴者の求めるものは高くなり、コンテンツとしての注目度も高くなっている以上、出来るだけ知名度の高い人を起用したいというのもわかる。

ただ、ここで難しいのはそのバランスだろう。

今の視聴者はメンバーの関係性を深読みする。

「この子はアイドルだから本気じゃないだろう」「このカップルが付き合えば一緒に売り出せるから」そんな風にメンバーや成立カップルを見る人が少なくない。

つまり、何か月間に渡って見てきた恋愛模様の結果が本心から生まれたものだと、100%は思っていないと言える。

その結果、カップル成立となったにも関わらず、不満を持つ人が現れるのだろう。

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3.有料コンテンツの増加


こちらについてはそのままであり、それほど説明は必要ないだろう。

最近は以前にも増して、有料会員のみが見られるコンテンツが増えているように感じる。

基本的には本編に関係ない部分であるが、それでも視聴者にとっては本編を完結させるために必要だと感じているところであったりもする。

課金すれば良いだけの話だとも言えるが、そもそもが無料で見られるコンテンツが故に、課金への抵抗感も強くなる。

シンプルだが、やはりお金に関わる部分は視聴者としてもシビアになるのだ。

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これら3つの変化が、恋リアに対する評価に大きく関わっていると考える。

それではこのギャップを埋めて、モヤモヤすることなく楽しむにはどうしたら良いか。

あくまでも視聴者側が出来ることに限定しての考えだが、答えは簡単だ。

「恋愛リアリティーショー」はドキュメント番組ではなく、「ショー」であることを再認識すべきである、ということだ。


【恋愛リアリティーショー】は「リアリティのあるショー」だということ

そもそも「リアリティーショー」とは何か。

その単語をそれぞれ読み解けば、その言葉の意味が見えてくる。

リアリティとは「現実感や現実味(のある事柄)」を指している。

これはつまり「現実(リアル)」とは違うとも言える。

そして「ショー」を日本語に置き換えれば「見世物」となる。

従って、恋リアとは「現実味(感)のある見世物」なのだ。

もう少し俗っぽく言うと、「ガチっぽいエンタメ作品」である。

これはすごく大切な点である。

恋リアには台本がない。

これはよく言われることであり、僕もそうだと信じて見ている。

しかし、誰の手も加わっていない「現実」かと言われればそうではない。

番組内には、「第三者=製作側」が設けたルールやイベントがあり、メンバーはそれを忠実に実行している。

場合によっては話をするタイミングさえも限定されていて、気軽にツーショットが出来るというわけでもない。

その中で行われることはもちろん「ガチ」だが、そこに至るまでの間にはあらゆる設定やルールが存在しているのだ。

その時点でこれはもはや、本当の意味での「現実(リアル)」ではない。

「現実味(リアリティ)」のある見世物だ。

そしてもう1つ忘れてはならないことが、視聴者が見せてもらっているのはごく一部であるということだ。

限られた放送時間の外でもメンバーの心には動きがあり、それらを含めたすべてが「現実(リアル)」なのである。

つまりその全てを見ていない視聴者は、第三者(制作陣)によって作られた「ショー」を見ているだけなのだ。

この点を視聴者は忘れてはならないと、僕は思う。

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どんな見方をしてもそれは視聴者の自由である。

好きなカップルが結ばれなくてモヤっとするのも、「大人の事情が働いている」と疑って見るのも自由だ。

それをとやかく言うつもりはない。

ただ、恋リアを楽しく見たいのであれば、これが「現実(リアル)」の話ではなく、「現実味のある見世物(リアリティショー)」なのだと頭の片隅に起きながら見ることをオススメする。

メンバーは皆、本気で恋愛をしている(と、僕は信じている)。

その恋愛模様を楽しむのが恋リアの醍醐味であり、いちいち裏を読んだり見えない部分にまで考えを巡らせたりするのは不要なことであると思う。

そんなことをしていては、どんなおもしろい恋リアも楽しく感じられないだろう。

恋リアはあくまでもショーであり、その放送の中で起きた事柄を楽しめばいいのだ。

裏では何があったのか。その後はどうなったのか。

もちろん気になる。

それでも、恋リアという空間内で起きたこと以外を知る術はないのだから、その空間で起きた物語を純粋に楽しんだ方が良いのではないか。

恋リアで起きた恋愛物語はその期間限定のものであり、その「ショー」が終われば同時に完結なのだ。

そもそも、恋愛というデリケートな出来事を見せてもらっているのだから、その公開期間が終了した後にまで踏み込もうとするのはさすがに野暮ではないだろうか。

僕はこの先も恋リアを楽しみたいと思っている。

だからこそ、実際に見ることが出来る「ショー」に全集中していこうと思う。(古い)

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最後に

いろいろと偉そうなことを述べてきた。

しかし、正直言えば僕も不満を持ったことはある。

いくら頭で割り切っていても、納得できないシーンはいくつもあった。

だからここからは、もしかしたら制作に携わる方々にこのnoteが発見されるかもしれないという可能性に賭けて、僭越ながら1点だけお願いを述べる。


恋愛という題材は非常に難しいものだと思う。

人間は恋をすると自分の感情を上手くコントロールできないし、周りから見たら疑問が残るような行動をしてしまうこともある。

それは、恋リアに参加しているメンバーだって同じだと思う。

いくら芸能人でも、その感情は変わらないはずだ。

だからこそ、どうかメンバーの心理描写を丁寧に放送して頂きたい。

しっかりとその心が伝わるような編集をお願いしたい。

限られた放送時間と期間の中では難しいかもしれない。

しかし、場合によっては出演者の心が軽いと捉えられてしまい、いらぬ誤解を生んでしまう。

考えて考えて考えて考え抜いた末に出したメンバーの答えが、ただの浮ついた気持ちに捉えられてしまう。

恋リアのファンとして、こうなってはほしくないと切実に思う。

もちろん製作サイドの方々も、そんなことは既にわかっていらっしゃるのだろうが・・・

それでも改めて、視聴者からのお願いとして申し上げておく。

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いくらショーでも、作られすぎた物語には感動しない。

泣かせようとされると、意外と涙は出ない。

視聴者はわがままだから、メンバー1人1人の素直で自然な様子を見た上で泣きたいのだ。

ファンを代表してとか、そんな大それたことではなく、恋リアが好きな1人のファンとして、心からお願いしたい。

メンバーの繊細な心の内を、出来る限り余すことなく届けてほしい。

まとまりのある綺麗な終わり方よりも、1人1人が心のままに動いた先にある結末を、視聴者は期待しているのだと思う。

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制作に携わる方々、出演者の皆様。

いつも楽しい物語をありがとうございます。

これからも恋リアを存分に楽しませていただきます!


ビブル

画像出典:ABEMA

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